駅伝経営ニュースレター第8号:中小企業・ファミリービジネスが「継続」と「成長」を図るには ― 日本で就労する外国人材の実態 パート2

前回は日本で就労する外国人をマクロでとらえるとともに、その中でも人手不足が顕著な現場労働に就労者を供給する特定技能1号と2号並びにその予備軍の育成就労制度についてご紹介しました。今回のブログでは営業や人事総務、システム管理、設計技術、IT技術。生産技術や品質管理といった いわゆるホワイトカラーの頭脳労働職に就く外国人材の様子を見ていきます。

1.ホワイトカラーのための在留資格「技術・人文・国際」

Article content
ソース:出入国在留管理庁

外国人材がホワイトカラーの頭脳労働職に就くために求められる在留資格の主要なものがこの「技術・人文・国際」です。

在留資格「技術・人文知識・国際業務」の在留資格者数は、令和7年(2025年)末時点で 47万5,790人 です。これは前年と比べて5万7,084人増加しており、過去最多を記録しています。

この在留資格者は基本的に大学や大学院、高等専門学校といった高等教育で特定の分野の技術や語学、業務能力などといった技能や資格を保有していることが前提となっています。 詳細は上図の出入国在留管理庁の説明の通りです。

なお、配偶者が日本人の場合や、日系2世や3世といった日系人の外国人材はこの技術・人文・国際の在留資格を取らなくても同等の就労は可能です。

2.審査が厳格化される傾向の「技術・人文・国際」

昨年7月に行われた参議院議員選挙において「物価高騰問題」や「政治とカネ」といった争点とは別に、外国人政策(入管制度や在留外国人の急増に伴う受け入れ制限や不動産取得の規制等)を主張した新興政党の参政党が大きく議席数を伸ばしました。 その影響もあってか、自民党高市政権は入管制度の見直し、在留資格の厳格化を進めています。

今回フォーカスしている「技術・人文・国際」に関しては、採用する企業の規模が出入国在留管理庁の定める「カテゴリー3」(源泉徴収税額1000万円未満)または「カテゴリー4」(新設法人など)である場合で、業務内容が翻訳、通訳、営業、販売、ホテルフロントなど、主に日本語能力を用いて直接顧客や取引先とやり取りする「対人業務」の場合、日本語能力試験(JLPT)でN2以上か、ヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR)の B2レベル以上であることの日本語能力証明が求められるようになりました。

一方で例外もあります。

日本の大学(大学院含む)を卒業した留学生や、日本の専門学校(専門課程)または高専を修了した留学生はこの日本語能力証明は必要ありません。また、ITエンジニアや設計職、機械・電気エンジニアなど、社内でのデスクワークや専門作業がメインで、日本語での折衝がほとんどない場合も原則として対象外です。

技術系ではなくても、バックオフィス業務(書類作成のみの貿易事務や、海外マーケティングなどやはり日本語での折衝がほとんどない場合も日本語能力証明の縛りが無くなる可能性は高いようです。

3.増加傾向にある海外留学生数とその就労状況

文部科学省が引用する独立行政法人日本学生支援機構が実施している「外国人留学生在籍状況調査」によると、2025(令和7)年5月1日現在の外国人留学生数は408,069人(対前年度比71,361人(21.2%)増)となり、前年度に引き続き過去最大となっています。

在学段階別には以下の通りです。

・大学(大学院、短大を含む)は156,593人(対前年度比7,692人(5.2%)増)

・高等専門学校は527人(対前年度比21人(4.2%)増)

・準備教育課程は3,946人(対前年度比288人(7.9%)増)

・専修学校(専門課程)は106,829人(対前年度比30,427人(39.8%)増)

・日本語教育機関は140,174人(対前年度比32,933人(30.7%)増)

主な出身国(地域)別に見ると、中国131,097人(対前年度比7,612人(6.2%)増)、ネパール100,239人(対前年度比35,423人(54.7%)増)、ベトナム43,366人(対前年度比3,043人(7.5%)増)となっており、特に南西アジア圏(ネパール、ミャンマー、スリランカ、バングラデシュ)からの受入れ数が大幅な増加となりました。

下表は、彼ら留学生の卒業後の就労状況を独立行政法人日本学生支援機構が集計したものです。

卒業後に日本国内で就職した留学生の割合は38.8%と前年2023年の38.1%に比べて増大しています。一方、大学院や博士課程など進学を選択する割合も30%と2023年の28.5%に比べて高まっています。いずれにしても卒業後母国に戻らず日本に止まる留学生の割合は高まっています。

因みに、母国に戻って就労した割合は6.4%で、前年の6.6%よりも減っています。

前述の通り留学生が日本で就労する場合の在留資格として「技術・人文・国際」が想定されますが、留学生の場合、日本語能力証明は不要となることから在留資格取得は比較的容易になると期待されます。

Article content
ソース:独立行政法人日本学生支援機構

4.接客業の人手不足解消と生活費確保のニーズが合致した海外留学生のアルバイト

Article content
ソース:Bingのオンライン画像

皆さんがコンビニや飲食店、居酒屋などで外国人就労者を見かける場合、その多くが留学生アルバイトである可能性が高いと思います。

外国人留学生のアルバイトは、入管法で原則「週28時間以内」に制限されています。本業である学業に影響を及ぼさない範囲でという建前ですね。具体的には出入国在留管理庁から 「資格外活動許可」を得た上で、学期中は週28時間以内、夏休みなどの学校の長期休業期間中は、1日8時間・週40時間まで就労可能となります。

学費はもとより住居費、食事代など生活費の足しにするために一時間でも多く働こうとアルバイトを掛け持ちをする留学生もいますが、1人の留学生が複数のアルバイトをする場合も、すべての合計で週28時間以内におさめる必要があります。

5. 国内学生に比べインターンシップ参加率の低い海外留学生

新卒学生のためのインターンシップ・採用情報サイトのキャリタス就活の調査では、国内学生のインターンシップ参加経験率が90.6%であるのに対し、外国人留学生は50.5%に留まっています。

上述の通り留学生は学業とアルバイトに明け暮れて、国内学生に比べて時間の余裕がなく、且つ、いわゆる「就活」の一環としてのインターンシップの位置づけに慣れていないことが原因なのかもしれません。

一方で、「言語・文化の壁」や「実務指導の手間」を重荷と感じ、受入体制が整っていないと自分で判断して外国人留学生のインターンシップを受け入れていない企業が存在することも事実なのでしょう。

駅伝経営として会社の継続と成長のために、今後外国人材の採用も検討される中小企業の経営者の方々には正規採用に至る前の外国人材受入れの環境づくりや体制づくりの機会として是非インターンシップを活用されてはと思います。

Article content

次回は留学生を実際に採用した企業のアンケート調査の結果をご紹介しながら外国人材を採用する企業側の思惑や期待値、満足度や課題と言ったところを見ていきたいと思います。

Write a comment

Comments: 0