他国に先駆けて人口減少が急速に進む日本において中小企業が家業を「継続」するためによき人材を採用し定着させる必要性は論を待ちません。 今後採用可能な人材の中でも外国人材については単に人手不足への対応だけでなく、輸出・新市場開拓、生産性向上、創発、デジタル化・情報発信といった企業の「成長」に貢献している事例なども見てきました。 今回のブログでは一歩引いて、日本全体での外国人材の存在の状況を見ていきたいと思います。
1.居住外国人比率でほぼ最下位の日本
海外の先進国では外国人居住者即ち移民を受け入れる割合が高いイメージがありますね。日本も年々外国人居住者が増えてきているものの、2024年のデータでみると上図の通り、主要国の中では最下位にあります。移民の国アメリカよりも移民の割合が高いG7先進国としてカナダ、ドイツ、英国があります。
2.日本国内の外国人労働者の状況
厚生労働省の「外国人雇用状況」の届出状況【概要版】(令和7年10月末時点)によれば、国内の外国人労働者数は2,571,037人で前年比268,450人増加し、届出が義務化された平成19年以降、過去最多でした。ただ、対前年増加率は11.7%と前年の12.4%から0.7ポイント減少しています。
外国人を雇用する事業所数は371,215所で前年比29,128所増加、届出義務化以降、過去最多であり、対前年増加率は8.5%と前年の7.3%から1.2ポイント上昇しています。
国籍別では、ベトナムが最も多く605,906人(外国人労働者数全体の23.6%)、次いで中国431,949人(同16.8%)、フィリピン260,869人(同10.1%)の順となっています。
在留資格別では、「専門的・技術的分野の在留資格」が最も多く865,588人で、前年比146,776人(20.4%)の増加、次いで「身分に基づく在留資格」が645,590人と前年比16,473人(2.6%)増加、「技能実習」が499,394人、前年比28,669人(6.1%)増加、「資格外活動」が449,324人、前年比51,157人(12.8%)増加、「特定活動」が111,074人、前年比25,388人(29.6%)増加となっています。
労働者数が多い上位3都府県としては、東京 652,251人(全体の25.4%)、愛知 249,076人(同9.7%)、大阪 208,051人(同8.1%)となっています。事業所数が多い上位3都府県もトップ3は同じで、東京 87,512所 (全体の 23.6%)、大阪 31,715所(同.5%)、愛知 28,976所(同7.8%)となっています。
そして外国人を雇用する事業所数は「30人未満」規模の事業所が最も多く、事業所数全体の63.1%、外国人労働者数全体の36.1%となっていました。産業別の状況としては、外国人労働者数は、「製造業」が最も多く、全体の24.7%となっており、外国人を雇用する事業所数は、「卸売業、小売業」が最も多く、全体の19.0% となっています。
3.日本のブルーワーカーニーズの支えとなる特定技能
国内の深刻な現場ワーカー不足に対応するため、2019年に新設された外国人労働者のための在留資格です。 一定の専門性や技能を有し、即戦力として認められた外国人材が日本の特定産業分野で働くことができます 特定技能には1号と2号の2種類があり、その特徴は上図の通りです。
特定技能1号の対象となる業界分野は上図の16分野です。 ただ、夫々の分野に受入れ上限が決められています。 実際、外食業の分野では2024年度から2028年度の5年間で5万人が上限ですが、本年5月には上限に達するとの見込みから 2026年4月13日以降に受理された新規申請は、原則不交付となりました。 但し、技能実習からの移行、および既に外食分野で働いている人の転職(変更申請)は例外となっています。
レストランや居酒屋の調理、接客、店舗管理、デリバリー業務などを含む外食業でのこの特定技能1号新規受け入れ停止の運用は、2029年3月まで継続される見込みです。
一方、特定技能2号はそれぞれの技能レベル、専門性が高いという前提から1号のような人数の上限はありません。特定技能2号の業種分野は下記のとおりです。
4.技能実習制度から育成就労制度へ
1993年に始まった技能実習制度は、当初の目的は途上国の若者を日本の農林水産業や中堅中小企業の現場で受入れ技能を習得させ、一定期間後に母国に戻って母国の発展に寄与してもらうという途上国支援でした。 ただ、実態は高齢化が進む日本の一次産業や人手不足が目立つ建設や製造現場などの現場ワーカー不足を補う人材供給という日本側のニーズを満たす制度に実態が変わっていきました。
そうした制度上の矛盾はもとより、米国など外部から本制度の人権上の問題を指摘されるなどもあって、政府は本制度を実態に即した外国人材受入れ制度に発展的に解消すべく来年4月から育成就労制度を開始することとなりました。
技能実習制度と同様現場で就労しながら技能を習得したうえで前述の特定技能1号の在留許可を得ることを目指すことになります。現場のブルーワーカーの予備軍を育成する制度といえます。
5.日本の第一次産業や建設・工事・製造・整備現場、介護、飲食・宿泊・接客業を支える外国人ブルーワーカーを受け入れるメカニズム
上図は、来年4月以降の日本の第一次産業や建設・工事・製造・整備現場、介護、飲食・宿泊・接客業を支える外国人ブルーワーカーを受け入れる「育成就労」「特定技能1号」「特定技能2号」の関連を示しています。 いわばパイプラインとなっています。
ここでの問題点は前述の通り、特定技能1号における対象業種ごとの受け入れ人数の上限があることです。仮に特定技能1号の在留資格枠で外国人労働者を採用したい場合には、自社が属する業種に関する上限値までどれくらい余裕があるかあらかじめ確認しておく必要があります。
中小企業が初めてこのパイプラインから外国人労働者の供給を得るには育成就労制度を利用し自社での就労を通じて技能を習得させていくことが現実的かと思います。そのためには、「監理団体」と呼ばれる外部機関を通じて募集・手続きを行います。
監理団体の起用が決まると人物要件などを決め、当該監理団体と関係のある現地機関を通じて候補者を選抜し、現地面接・採用判断の上雇用契約を結びます。入国後には監理団体を通じ日本語や日本の生活習慣に関する研修を受けさせます。
日本人社員と同等以上の給与を支払うことは法で定められており、加えて母国と異なる日本での生活基盤立ち上げの支援や生活上のサポートなど、日本人以上に費用面でもケアの面でも負担はあることは覚悟しておく必要があります。 一方で、一旦そうした外国人労働者受入れのハードとソフトのインフラが整えば、外国人材の潜在能力は勤勉さをふんだんに引き出して会社の継続と成長に大いに貢献してもらうことも可能になると信じます。 いわゆる人材投資効果は高いと思います。
次回は営業や機械設計、ITエンジニアなど、いわゆるホワイトカラーの外国人材の雇用状況についてみていきたいと思います。

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