駅伝経営ニュースレター第6号:中小企業・ファミリービジネスが「継続」と「成長」を図るには ― デジタル化と情報発信をリードする外国人材

α世代(アルファ世代)と呼ばれる2010年〜2024年頃に生まれた世代がこれから徐々に労働市場に参入してきます。彼らは幼少期から学校教育を通じスマホやAIに触れて育った究極のデジタルネイティブであり、高いタイパ(タイムパフォーマンス)意識と多様性への肯定感を持ち合わせています。こうした若い世代を取り込んで、彼らのデジタル力で活躍してもらうためにも社内の雰囲気づくりが重要になります。

1990年代に登場したインターネットやホームページ制作の技術、GPS、電子商取引や電子決済、そしてグーグル検索やフェイスブック、YouTube、リンクトイン、ツイッター(現X)、インスタグラムといったSNSと、それらを用いたデジタルマーケティング技術は米国で生まれ、中国が激しくキャッチアップしています。また、それらの技術の利用度では欧州と東アジア、アセアン諸国は日本以上に活発です。

そうした一日の長のある海外のデジタル化や情報発信力を背景に、今回のブログでは中小企業のデジタル化、特にウェブサイトやSNSにおける欧米を中心とした外国人材の起用の成功例をご紹介したいと思います。

1. 日本のハンコを欧米に輸出するECサイトを作り運営しているアメリカ人

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ソース:hanko-square.com

印鑑製造販売の直営店とフランチャイズ店を合わせ全国に150店舗以上を有する株式会社東洋堂の松森武夫社長は日本のハンコ文化を世界に広めるという夢を持たれています。 筆者の経営する会社から紹介したドイツ人やインドネシア人を店舗での接客要員で迎え入れたこともありましたが、現在は日本に留学経験のあるアメリカ人男性を起用して越境ECサイトを構築し、アメリカを中心に世界中にハンコを輸出することに成功しています。

このアメリカ人は元々デザイン系のセンスがありましたが、アメリカの大学でウェブサイトのデザインや、ウェブサイトを訪れるビジターの使い勝手の良さ、機能性などの向上手法について学んでおり、東洋堂のハンコの輸出のためにアメリカ人好みのウェブサイトを仕立てました。

また、日本国内向けの印鑑販売サイトの様に印鑑の商品の写真を数多く羅列するのではなく、それぞれの印鑑の写真を日本の風景や伝統建造物などを背景にテーマを設けて映し出すことで日本の文化性を強調しました。さらには、アメリカのデジタルマーケティングの最前線で用いられている技やアプリケーションを用いて日本の文化に興味のある潜在顧客にメッセージが届くようにアレンジしてくれています。

当初我々日本人は、欧米人がハンコを贈答品として購入することを想定していましたが、このアメリカ人のウェブサイトのデザインやデジタルマーケティングの努力の結果、欧米にそれなりの規模で存在する日本文化愛好のアーティストや、空手や剣道など武道の海外にある道場の師範が東洋堂の落款印を数多く買い求めています。 また、文字としての漢字愛好家が自分の名前を漢字の当て字で表現すべくハンコを作るというニーズも多くみられています。 最近では、欧米以外でも中東などの富裕層がチタンやカーボンファイバー、ヒスイや琥珀、水晶、タイガーアイ、ラピスラズリなどの高価なハンコを買い求めています。

日本の文化が好きで、日本語力を通じて日本の各地を旅行して日本の良さを吸収しながら母国アメリカにアピールするデザインとマーケティング力を持ったこのアメリカ人無くしてこのハンコの越境ECサイトの成功はなかったと感じます。

2.ウェブサイトの日本語英語をネイティブ英語に切り替え、海外からの引き合いを得やすくしたアメリカ人

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ソース:株式会社バンテックのホームページ https://www.vth.co.jp/profile )

業務用から車用まで様々なエアコンやヒーター、冷凍装置に用いられるフィルターやストレーナーを製造する栃木県佐野市のメーカー株式会社バンテックは輸出事業に力を入れるべく外国人材を採用してきています。 その中で営業職に配属されたあるアメリカ人男性は、自社のウェブサイトの英語版を見た時に違和感を持ちました。 それはアメリカ人の感覚からするとデザインがいけてないだけでなく、使われている英語がネイティブ向けではなく、いわゆる和製英語だったからです。 さらには、そこで用いられているフィルターやストレーナーに関する専門用語が日本語の直訳で、ネイティブにとっては意味不明のものになっていることに気づきました。 そこで彼は本来の営業業務と並行して自発的にこの英文のウェブサイトをネイティブ用に改修しました。 その結果、その英文ウェブサイト経由海外から引き合いが舞い込むようになったのです。

3.舶用エンジン診断装置の海外向け情報発信をつかさどるシンガポール人とインド人

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ソース:株式会社カゴオのホームページ(https://kg3.jp/development)

高知県にある株式会社カゴオは50年にわたる中型船の修繕ドックヤードとしての経験をベースに洋上での舶用ディーゼルエンジンの不具合の予兆を掴み乗員に予防整備を促すシステムを開発しました。

カゴオに採用されたインド人男性エンジニアは過去の不具合データをAIに読み込ませ、そのAIをこのシステムに組み込むことで省人化、省力化を図ると共に、海外営業担当のシンガポール人女性と共にウェブサイトや動画制作、SNSを通じてこのシステムの英語ベースの海外向け情報発信を行っています。

この二人の活躍もあってシンガポール、ブルネイ、スウェーデン、韓国といった国々の企業から引き合いを入手しています。

4. 日本の弁当箱を輸出するサイトを設けたフランス人

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京都大学の大学院で機械工学を学んでいたフランス人男性は日本での生活の中で彼の目を惹いたものをSNSにアップしてフランス語で情報発信していました。 彼は特に日本のカラフルなお弁当に興味を持ち、様々なお弁当の写真をアップして発信していたところ、母国フランスから彼のSNSへのコメントとして日本の弁当箱を調達して送ってほしいという依頼が数多く寄せられるようになりました。 結果として、彼は日本の弁当箱をフランスに輸出する会社を起業、まずはオンラインECサイトでフランス語圏だけでなく英語での発信も行い弁当箱の輸出を事業化しました。 その成功の結果、京都に実店舗もオープンし、インバウンド客はもとより日本人観光客にも好評を博しています。また、品ぞろえも、弁当箱をはじめその周辺の箸や風呂敷などに広げ、成功しています。

日本人にはごく普通に見えるものが外国人の感性で取り上げて世界に発信することで輸出事業家される好例といえますね。

5. 日本を目指す海外のIT人材

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ソース: LNBTIウェブサイト

情報発信というよりは社内のDX(デジタルトランスフォーメーション)に必要となるIT人材としてアジアの人材が注目されています。

スリランカでは日系IT大学「ランカ・ニッポン・ビズテック・インスティテュート(LNBTI)」において日本での就労を想定したITと日本語教育を実施して今す。 同様の青田買い的な仕組みはベトナムやインド、バングラデシュなどでも存在しています。

また、モンゴルでは日本の支援を得て日本の高専をモデルとした高等専門学校を3校創設し、品川区の財政支援を得て日本へのインターンシップ派遣や卒業生の就労あっせんを行っています。

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ソース:品川区のホームページ

ここまで中小企業・ファミリービジネスの事業継続のためのランナー(人材)確保と、その成長(輸出、生産性向上、創発、デジタル化・情報発信)の両方の実現のために外国人材が大切な選択肢の一つであることを見てきました。 次回以降は、日本の労働市場における外国人材の浸透状況をデータで見ていきたいと思います。

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