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日賑グローバルニュースレター第368号

1. トランプ大統領のAI産業過剰支援の影響

 

トランプ大統領は第2期目の就任初日からAI産業への支援を重視してきている。

ホワイトハウスにチャットGPTを開発するOpenAIのサム・アルトマンCEOを含むテック企業の大物たちを招き、米国内の新しいデータセンターに数千億ドルを投じる計画を発表した。

大統領の最高技術顧問はAIと暗号資産担当のデービッド・サックス氏で、彼は自らを「シリコンバレーとトランプ政権のワシントンをつなぐ架け橋」と称する影響力ある投資家である。

今年は多くのテック業界のリーダーがホワイトハウスを訪れ、トランプ氏への贈り物として、国内への数千億ドル規模の投資計画を次々と発表している。

トランプ政権は、半導体輸出規制の撤廃、データセンター建設の迅速化、そしてマイクロソフトのデータセンター向けに電力を供給するためスリーマイル島原発の再稼働企業に10億ドルのローン保証を与えるなど、AI産業を後押ししている。

テック業界のリーダーたちは、AI技術への巨額投資は多くの雇用を生み、中国との競争に打ち勝ち、最終的には医療や科学で変革的なブレークスルーをもたらすと主張している。

しかし、フロリダ州のロン・デサンティス知事、アーカンソー州のサラ・ハカビー・サンダース知事、ミズーリ州のジョシュ・ホーリー上院議員など、共和党内の一部議員らは、AIの急速な成長が共和党の本来の求心力を損なう可能性があると警告している。

その中には、オートメーションによる雇用喪失から国民を守る規制、チャットボットによる10代への悪影響を抑える対策、AIを支えるエネルギー多消費型データセンターに起因する公共料金の高騰を抑える規制を求める声もある。

この共和党内の亀裂は、トランプ大統領の支持母体内の対立の溝を浮き彫りにしている

すなわち彼に一票を投じた労働者階級の有権者と、彼の第2期で近しい盟友・助言者となったテック・ビジネスリーダーたちの間の溝である。

AI関連の資金が経済に流れ込む一方、多くの有権者は日々の生活費の高さに苦しんでおり、両者の利害はますます対立している。

ワシントン・ポスト/ABCニュース/イプソスが10月に実施した世論調査では、アメリカ国民の多くが大統領の第2期の職務遂行に不満を示している。

ChatGPTのようなAIツールが経済全体の生産性向上につながるという期待は、テック株や株価指数を最近の数カ月で史上最高値に押し上げた

しかし、AIが米国経済や生活の中で存在感を増していることに、国民の多くが不安を抱いている

ピューリサーチセンターが6月に実施した調査によると、米国成人の半数が「AIが日常生活で存在感を増すことに“期待より不安”が大きい」と回答している。

2021年ではその割合は37%だった。

実際、ウォルマートやアマゾンを含む著名なCEOらは、従業員に対し「AIによって職務内容が変化したり、職務そのものが消滅したりする」可能性に備えるよう警告しており、雇用市場が減速している兆候もある。

バイデン前大統領も米国のAI開発を支持してはいたが、その潜在的な悪影響を抑えようとし、2023年の包括的には、連邦機関にAI活用を求める一方で、企業に対し、AIシステムの安全性テストデータを提出させる大統領令を発していた。

この大統領令はテック業界の多くに不評で、トランプ氏への支持や選挙資金寄付の理由に挙げる者もいた。

トランプは第2期初日にこのバイデン氏のAI大統領令を撤廃し、業界の期待にすぐ応えている

トランプのAIに対する自由放任的なアプローチとは対照的に、ワシントンの外では各州でAI規制法が提案・制定されている

赤い州(共和党優勢)でも青い州(民主党優勢)でもだ。

共和党内のAIをめぐる分断が決定的になったのは先週のことで、トランプ氏と政権が議会に対し、州法に優先するAI規制法案を可決するよう求めた際だ

州・連邦レベルの共和党政治家に加え、保守系の活動家やメディア関係者もこれに反対している。

「私たちはすでにソーシャルメディア企業に子どものメンタルヘルスを破壊させ、国を引き裂かせるという間違いを犯した。再び同じ過ちを繰り返すべきではない」といった反論である。 

AI関連企業の1社の企業価値が日本のGDPに匹敵するような状況にAIバブルを指摘する筋もアメリカに出てきていますが、日々の物価高に悩む労働者層は蚊帳の外というよりも自分のジョブを奪う「敵」という構図になりつつあるのでしょう。

 

2. MAGAとの対立を恐れエプスタインファイルの公開を支持する姿勢に転じたトランプ大統領

 

連邦議会で共和党が支配する上下両院が、司法省に対しエプスタイン関連のファイル公開を義務づける法案に、ほぼ全会一致で賛成した

数週間にわたりトランプ大統領はこの動きに強く抵抗し、「ファイル公開を求めるのは“民主党の捏造だ”」と言い張っていた

下院議長マイク・ジョンソン(ルイジアナ州選出の共和党)は歩調を合わせ、政府閉鎖の最中に下院を休会させたが、その理由の一部は、採決のスケジュールを組むことを避けるためだったと見られている。

上院院内総務ジョン・スーン(サウスダコタ州選出の共和党)は態度を明確にせず、下院の様子を伺っていた。

下院共和党の中ではわずか4人の議員だけが、トランプ氏に公然と反対していた。

同時に、MAGA支持層はオンライン・インフルエンサーたちの煽りもあり、政府が握っているエプスタイン情報の公開を強く求めていた

その結果、下院議員の必要数が署名したことで司法省に対しエプスタイン関連のファイル公開を義務づける法案の採決を強制できる請願が成立すると、多くの共和党議員は選択を迫られた

すなわち「トランプ大統領に従い続けるのか、それとも選挙区の有権者の願いを優先するのか」である。

この選択の構図のリスクを察したトランプは、突然態度を変えファイル公開を支持すると表明した。

候補者時代のトランプは、エプスタインをめぐる未解決の疑問を“ワシントンのエリートがどう動くか”を示す象徴として利用していた

しかし、いまや自分自身が同じことをしていると批判される立場にある

ただ、こうした共和党内反乱の兆しが見られる背景には、民主党が今月の州知事選挙やニューヨーク市長選挙を総なめにしたこと、治安や移民といった共和党が優位を保ってきた分野でもトランプ氏の支持率が低下していること、そして有権者の間で「生活費を下げる」というト最重要公約を大統領が果たせていないとの認識が広がっていることなどの状況があるとみられる。

両院で多数派を維持したい共和党にとって、これらすべては来年の中間選挙で“大敗”につながる兆候を示している。

しかし議会の民主党議員たちは、「共和党が本当にトランプ氏と決定的に決裂したわけではない」と見ている

前述のAI産業と労働者の間の溝と共に、今回のエプスタイン問題で見られたMAGAからの批判など、共和党内の大きな亀裂につながるのか、それともトランプが早い段階で裂け目を修復できるのか注目されます。

 

3. 東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の最新レポートを弊社にてダイジェスト版化 

 

(1)  中国・台湾

l  重要な技術獲得の為、高所得国に「債務の罠」を仕掛けようとする中国

米国バージニア州公立大学ウィリアム・アンド・メアリー大学の研究機関であるAidDataの報告書によれば、中国が海外への融資と助成金供与に対するアプローチを変え、中国政府が重要な技術獲得の為、高所得国に焦点を移したと指摘している。

同研究所・研究チームは3年間を費やし、中国の公的援助機関と金融機関が2兆2,000億米ドル相当の助成金と融資で資金提供した3万件以上のプロジェクトと活動を基にして分析したとしている。

 

l  AI関連売り上げが1兆台湾ドルに達する勢いのTSMC

台湾積体電路製造TSMCは、Nvidia、AMD、Broadcomといった主要顧客からの受注急増の恩恵を受けているとしている。

アナリストは、AI関連の売上高が今年は飛躍的に成長し、1兆ニュー台湾ドルの大台に挑むと楽観視している。

また、来年もこうした成長傾向が続き、3年連続で過去最高の業績を達成すると予想している。

TSMCは、この好機を捉えて、米ドル建て売上高でも業績拡大を目指したいとしている。

尚、市場では、TSMCの受注好調は2028年まで続くと予想されている。

 

l  AI対応ロボットのアプリをリリースする鴻海グループ

鴻海グループは、高度なソフトウェアとハードウェアのシステム統合を備えた、高度に統合された物理AI(AI対応ロボット)のアプリケーションが間もなく登場するとの見方を示している。

鴻海グループは、スマート組立工場の建設を積極的に進めており、ロボット・エコ・システムの構築に於いては、パートナー企業と協力し、高水準のスマート製造エコシステムを構築することで、AI改革の実現を目指していくとしている。

 

(2)  韓国/北朝鮮                                  

l  インドのリライアンスグループトップによる三星電子訪問

アジア最大の富豪の一人として知られるインドの財閥であるリライアンスグループのムケシュ・アンバニ会長が韓国を訪問するものと見られている。

アンバニ会長は三星電子のイ・ジェヨン会長と会い、未来事業の協力について議論するとしている。 

韓国財界によると、アンバニ会長は長男でリライアンス傘下の通信大手であるリライアンス・ジオ・インフォコム取締役会のアカシュ・アンバニ議長と共に1泊2日で来韓し、25日にイ会長と夕食会を開く可能性が高いと見られている。

この席では高速通信規格「5G」の通信設備と「6G」の技術開発、人工知能(AI)など未来事業での協力拡大が議論されると予想されている。

尚、リライアンスグループは石油化学、鉄鋼、通信、小売業、金融など幅広い領域で事業を展開する財閥であり、リライアンス・ジオ・インフォコムの加入者数は5億人に上り、三星電子は同社のインドにおける4G通信網構築の為に装備を供給した実績がある。

同社は現在5G通信網を構築中で、三星電子が追加で設備を供給する可能性があるとの見方が出ている。

 

l  UAEとの間で原子力やAI分野での協力の覚書を交わした韓国

韓国とアラブ首長国連邦(UAE)は、UAEの首都・アブダビで開催されたイ・ジェミョン大統領とムハンマド大統領の首脳会談を機に両国の先端産業分野での協力強化に向けた了解覚書(MOU)7件を締結した。

例えば韓国電力公社とアラブ首長国原子力会社(ENEC)の社長が、原子力の新技術と人工知能(AI)、世界市場での協力に関するパートナーシップを締結している。

これにより両社は次世代原発に挙げられる小型モジュール炉(SMR)や原発とAIの連携技術など新産業育成で協力すると共に世界市場に共同進出する為の足場を築いている。

 

[主要経済指標]

1.    対米ドル為替相場

韓国:1米ドル/1,469.56(前週対比-19.63)

台湾:1米ドル/31.34ニュー台湾ドル(前週対比-0.63)

日本:1米ドル/156.35(前週対比-1.85)

中国本土:1米ドル/7.1066人民元(前週対比-0.0074)

 

2.      株式動向

韓国(ソウル総合指数):3,853.26(前週対比-158.31)

台湾(台北加権指数):26,434.94(前週対比-962.56)

日本(日経平均指数):48,625.88(前週対比-1,750.65)

中国本土(上海B):3,834.891(前週対比-155.601)