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日賑グローバルニュースレター第365号

1. 連邦政府の閉鎖を自らの権力基盤強化に生かそうとするトランプ政権

 

トランプ大統領一期目で連邦政府が閉鎖されたのは、201812月で、米墨国境に壁を建設するための数十億ドルもの予算要求を民主党側が認めなかったため

国民の怒りが高まる中も、トランプは記録的な35日間も譲らなかったものの、最終的に上院共和党の反乱に直面して妥協を余儀なくされた

その教訓を生かしてか今回の閉鎖では、トランプ政権が議会共和党指導部と足並みを揃え、政権に有利な方向に生かそうと迅速な動きを見せている様子をワシントン・ポストが報じた。

トランプ政権2期目で最初の政府閉鎖が始まって直ちにホワイトハウス公式サイトには「民主党が政府を閉鎖してからの経過時間」というタイトルの時計が掲載されている。

食品医薬品局(FDA)のような政府機関のウェブサイトも「民主党主導の政府閉鎖」と説明している。

そこには民主党が予算案に反対する理由、即ちトランプ政権が、民主党の求める医療保険税控除の来年以降の延長を認めないこと、は触れられていない

トランプは、むしろ今回の政府閉鎖を利用して連邦官僚機構を縮小し、「民主党に近いと感じる機関」を閉鎖し、青い州(民主党が強い州)に向けられた数十億ドルのインフラ資金を差し止めると脅して政敵を牽制しようとしている。

閉鎖初日の先週水曜日、ホワイトハウスのヴォート行政管理予算局(OMB)長官氏は下院共和党議員への電話で「連邦職員の解雇は数日以内に始まる」と伝えたという。

またOMBは、2024年大統領選で民主党のカマラ・ハリスに投票した19州のうち16州で、インフラやクリーンエネルギー事業の資金を凍結すると発表した。

ホワイトハウスが民主党に責任を押し付ける攻撃的な姿勢は、「トランプ2.0」で先鋭化している。

政権はこれまでに15万人以上の政府職員を退職や解雇で減らしてきたが、今週は逆に「民主党は(政府閉鎖で職を失いかねない)政府職員を気にかけていない」と非難した。

さらには、民主党の反対が、オバマケアに基づく医療保険の税控除延長予算を予算案から除いているためであるのに対し、民主党の反対によって国民の医療保険を危険にさらしていると主張

民主党は、不法移民に無料の医療保険を与えるという要求のために、アメリカ国民を人質に取り続けている」と、ホワイトハウス報道官のカロライン・レヴィットは閉鎖3日目の金曜の会見冒頭で述べた

これに対し、民主党のチャールズ・E・シューマー上院少数党院内総務(ニューヨーク州選出)は、この主張を「真っ赤な嘘だ」と一蹴した。

民主党が延長を求めている保険補助金は、不法移民は対象外である。

トランプ1期目の政府閉鎖では、戦略を疑問視する共和党議員から「内輪もめ」が絶えなかったと、当時政権にいた元高官は匿名を条件に証言している。

ただ、議会共和党とホワイトハウスが今回は首尾よく一枚岩で政府閉鎖の責任を民主党に押し付けているにもかかわらず、それがどこまで功を奏しているかは疑問のようである。

政府閉鎖の責任の所在に関し、ワシントン・ポストが先週木曜に発表した世論調査によれば、多くの人々は「よく分からない」と答えているものの、「民主党よりもむしろトランプ大統領と議会共和党にある」と答えたアメリカ人の方が、その逆の回答者より有意に多かった。  

双方の主張の是非は別として、トランプホワイトハウスは1期目の教訓を大いに生かし、政府閉鎖という“イベント”を「防ぐ」努力よりも、「確信犯」として、速やかに自らの政治資本に取り込むためのシナリオと根回し的準備を行っていたといえる。

 

2. ようやくファイティングポーズを取り出した民主党

 

トランプ大統領に対し、議会民主党はもとより州政府そして民主党員が「協調」から「対決」の姿勢に劇的にシフトしている様子をワシントン・ポストが報じた。

ほんの数か月前までは、トランプ圧勝に衝撃を受けた民主党内の一部有力者たちは、多くの有権者の支持を得たトランプ政権との早い段階での無用な争いを避けるよう注意すべきだと助言していた。

しかし、今回の政府閉鎖をめぐる戦い、そして全国各地で増えている政治的対立を通じ、政権に抵抗するマグマが急速に膨れ上がっている

当初、民主党内には「(大統領就任直後の)トランプ大統領の嵐のような行動が収まるまで待とう」と考える人々もいたが、トランプが攻撃の矛を収めることはないことが明らかとなっている

今回、民主党は新しい予算案に合意する前に、年末で失効する医療保険税控除の上乗せ措置の延長を求めている。

共和党側は、それについて議論する用意はあるが、圧力の下では応じないと主張している。

共和党系世論調査員ウィット・エアーズは「議会を支配している共和党が一歩も引かないと知ったとき、民主党支持層の怒りはさらに増すだろう」と述べた。

リベラルな活動団体インディビジブルの共同創設者エズラ・レヴィンは、「トランプ当選直後の雰囲気は、『抵抗は無意味、反抗は愚かだ。民主党はトランプと協力することで合理的であると示すべきだ』というものだった。だが我々は反対した。彼のような権威主義者に「協力」は意味がないと考えたからだ」と語る。

その後、数百万人規模の抗議者が4月の「Hands Off Day」や6月の「No Kings Day」などのイベントに参加し、タウンホール集会では有権者が弱腰の民主党議員を激しく非難するようになった。

今年3月、上院民主党が共和党に「協力」してその予算案を通したにもかかわらず、今回は拒否して政府閉鎖に持ち込んでいる理由がこの草の根から吹き上がる対決姿勢だとレヴィンは説明する。

一方、トランプ就任直後、山火事と闘っていたカリフォルニア州を率いるニューサム知事は、大統領との「共通点を見つける」ことを呼びかけ、「協力関係、事実への共通のコミットメント、そして相互尊重」を訴えていた

さらに彼は自身のポッドキャストにトランプ寄りの人物を複数招き、多くの進歩派を怒らせた。

5月には、映画産業向け税額控除で大統領と協力する用意があると申し出て、カリフォルニアは「国内制作をさらに強化し、『Make America Film Again』を実現するためにトランプ政権と喜んで協力したい」と述べた。

だが6月、トランプが連邦軍をロサンゼルスに派遣すると状況は一変

カリフォルニア州は大統領を提訴し、ニューサムは「トランプは法も憲法も無視しようとしている」と非難した。

それ以降、ニューサムのSNS投稿は、トランプに対して辛辣な批判を繰り返している。

今回の政府閉鎖をめぐる戦いで、民主党は「手頃な医療保険へのアクセスを守るために闘っている」という単一のメッセージで団結している。

今年初めには、反民主主義的行動、経済運営の不調、移民への扱い、その他の問題など、どこでトランプに挑むべきかをめぐり民主党は分裂していた。

しかし、今回の戦いは、トランプ当選以来初めて、党が一貫したメッセージを掲げたと言える。

「今の民主党指導部に見られるのは、これまでとは異なる精神であり、本来もっと早く採用されるべきだった精神だと思う」と、サウスカロライナ州チャールストン郡民主党委員会の議長を務める牧師トーマス・ディクソンは語った。

「いまの大統領はただのいじめっ子だ。そして、いじめっ子への対処法を私は知っている。闘うことだ。彼らは力以外のものを理解しない。」

 

3. 東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の最新レポートを弊社にてダイジェスト版化 

 

(1)  中国・台湾

l  国連重視の姿勢を示した中国

李強首相は、米国のトランプ大統領による国連批判を念頭にして、国連の重要性を強調した。

即ち、李首相は9月26日、国連総会で演説を行った際にこうした発言をしている。

李首相は、「一方的主義と冷戦意識が再び浮上している。過去80年間に築き上げられた国際ルールと秩序が深刻な脅威に晒されている」とコメントしている。

更に李首相は、中国が国連と協力して、開発途上国を支援する為の新たな枠組みを構築することも提案している。

 

l  米国からの半導体製造提案に揺れる台湾

米国のラトニック商務長官が提案した、台湾と米国による半導体製造の50対50の分担は、台湾国内業界内では懸念を引き起こしていると伝えられている。

国民党(KMT)台北市議会議員で、元TSMCシニアエンジニアの曽氏は現在、頼政権は台湾が米国に搾取されるのを防ぐ為、中台両岸の緊張緩和と開発の遅延を優先すべきであると主張している。

 

l  双十節に緊張が高まる中台

台湾の顧立雄国防部長(国防相)は10月3日、中国本土軍の活動を追跡し、早期警戒の兆候を探っているとし、10日の双十節(中華民国の建国記念日)の後に昨年のような軍事演習が再び行われるかどうかという仮定の質問には答えられないとしている。

頼清徳総統は双十節に演説する予定であり、その内容も注目されている。

中国本土は昨年、「分離主義者の行動」に対する警告として、直後に台湾周辺で軍事演習を行ったことから、今年の中国本土の反応が注目されているのである。

 

(2)  韓国/北朝鮮                                  

l  国軍の日に軍事プレゼンスを押さえたイ・ジェミョン政権

10月1日は韓国では国軍の日となっている。

その日、韓国中部の忠清南道・ケリョンででは記念式典があった。

昨年に比べると、参加する軍人の数や関連予算が大幅に減ったほか、市街地で実施された軍事パレードがなくなっている。

こうした状況に関して、韓国国内では、

「軍事力を強調した前政権との差別化と、南北間の緊張緩和を推進するイ・ジェミョン政権の意向が反映された」と伝えている。

軍事パレードを拡大している中露とは好対照である。

 

l   

日本と同様、米国のトランプ政権によって、3,500億米ドルと巨額の対米投資を強いられている韓国は、反米的な意識を持つ国民も増えてきている。

韓国政府は「無制限通貨スワップ」を3,500億米ドル規模の対米投資交渉の一つの条件として米国側に要求した。、

これが米国から得られれば、常に外貨資金繰りに悩む韓国にとっては大いなる「武器」となる。

イ・ジェミョン政権の交渉手段の巧みさが垣間見られる。

しかし、こうした対応について、韓国金融業界からは、「合意に至るのは容易ではない」との指摘が出ており、むしろ米国の反発を招くのではないかとの不安の声も出ている。

そして、「通貨スワップは通貨危機に備えた一種の安全装置であり、まるで国家間の大規模投資のための手段のように見なすのは適切ではない。

通貨スワップを締結すれば、問題が相当部分解決されると考えるべきではない」との声が出ている。

通貨スワップとは一国の外貨準備高が底をついた場合に備え、自国通貨を差し入れ、他国から外貨を借り入れる事前の取り決めを指す。

現在、韓国銀行が中国、日本、オーストラリアなど8カ国および多国間で締結した通貨スワップの上限は合計1,482億米ドルで、韓国が米国に約束した対米投資額(3,500億米ドル)の半分以下となっていることもこうした金融界の懸念の背後にはある。

 

l  今年1~8月の訪韓観光客数前年同期比16.0%増

韓国観光公社は、8月に韓国を訪れた外国人観光客は前年同月対比16.4%増の182万199人であったと発表している。

2019年8月の114.8%と、新型コロナウイルス禍前に比べて約15%増加した。

先月韓国を訪れた観光客が最も多かった国・地域は中国(60万5,000人)で、続いて日本(37万9,000人)、台湾(19万2,000人)、米国(11万2,000人)、香港(6万5,000人)などとなっている。

今年1~8月の訪韓観光客は前年同期比16.0%増の1,238万人であり、新型コロナウイルス感染拡大前の2019年同期と比べると107.9%に回復した。

訪韓外国人の増加傾向は秋以降も続く見通しとされている。

米動画配信大手ネットフリックスの人気アニメ映画「KPOPガールズ!デーモン・ハンターズ」のヒットが続いているのに加えて、9月29日から3人以上の中国人団体観光客のビザ(査証)免除が始まったことが好材料として作用すると見られている。

一方、先月海外を訪れた韓国国民は前年同月比2.7%増の242万2,218人であった。

本年1~8月の合計は1,942万人で、2019年同月対比で96.7%の水準まで増加している。

 

[主要経済指標]

1.    対米ドル為替相場

韓国:1米ドル/1,407.40(前週対比+1.36)

台湾:1米ドル/30.38ニュー台湾ドル(前週対比+0.09)

日本:1米ドル/147.44(前週対比+2.10)

中国本土:1米ドル/7.1190人民元(前週対比+0.0169)

 

2.      株式動向

韓国(ソウル総合指数):3,549.21(前週対比+163.16)

台湾(台北加権指数):26,761.06(前週対比+1,180.74)

日本(日経平均指数):45,769.50(前週対比+414.51)

中国本土(上海B):3,882.777(前週対比+54,671)

 

  1. 中東フリーランサー報告39

 

元三井物産戦略研究所研究員の大橋さんから掲題の報告を入手しましたので共有させていただきます。 

大橋さんからは下記のメッセージを頂いています。

 

3カ月のご無沙汰です。まさに中東並みの酷暑でしたが、皆様如何お過ごしでしたでしょうか。ようやく暑さも和らいだところでホッとしております。久しぶりですが、「中東フリーランサー報告39」をお送りします。

一方中東情勢は、気象上だけでなく地政学上もホットな状況が続いていますが、地経学的には変に落ち着いており、湾岸諸国の不動産市場は相変わらずの活況で、トランプ関税砲には興味なく、米国の利下げを歓迎しているような風情です。

そうした中、トランプ大統領はやったやったと自画自賛しているナゴルノ・カラバフ停戦合意ですが、実態はロシアの立ち位置の変化に伴う、トルコ、UAEとの関係調整など(イスラエルも間接的に絡む)、虚々実々の動きが南コーカサスと言う、地政学上の境界線上で起きつつある変化を俯瞰するつもりだったのですが、イスラエルのドーハ空爆と言う事件が発生し、イスラエルの軍事的脅威に目が移ってしまい、今号ではそちらの報告に集中してしまいました。既にメディアであれこれ報じられているものですが、何かの参考になれば幸甚です。

 

大橋  

 

5.第5回外国人材活躍応援セミナーのご案内

 

先にご案内の通り、1021日午後に開催されます川崎市産業振興公社主催の掲題のセミナー(参加無料)に小生がファシリテーターとして参加させていただきます。

今回のテーマは「「成功/失敗事例から学ぶ外国人材雇用・活用戦略」です。

外国人材の採用、育成、活用にご関心のある皆様のご参加をお待ちしております。

詳細は下記リンクをご参照ください。

https://kawasaki-sanshinkaikan.jp/wp-content/uploads/2025/08/2991193b8babdf69f9a55e631ce646aa.pdf 

 

 

 

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