駅伝経営ニュースレター第3号:中小企業・ファミリービジネスが「成長」を図るには  ―  輸出という選択肢

駅伝での「成長」

前回はファミリービジネスの襷をつないできた中小企業経営者にとって、日本の出生数激減に伴う将来の人手不足の懸念を取り上げ、一方で外国人材をランナーとして迎え入れる可能性について触れました。 今回は中小企業の「成長」について考えます。

駅伝の場合、「成長」といえば目標とするレースでの総合順位の上昇、各区間のタイムや順位のアップといった目に見える「成長」が思い浮かびます。 その「成長」を継続的につなぐには、次世代を担うランナー候補の採用、練習の質と量、レースの戦略・戦術、体調・栄養管理といったことを考える監督や指導層の存在と彼らの方針、それを徹底して遂行する実行力が必須だと言えるでしょう。

さらには、チーム内での役割分担、レース当日のサポート体制、応援、情報共有体制などチームメイト間の協力・連携体制も「成長」に影響を与えるでしょう。

そして、それらの体制を支えるチーム内のコミュニケーション、生活態度、礼儀・倫理観といったチームカルチャーの面も成長要因といえるのではないでしょうか。

中小企業の「成長」としての事業展開

中小企業における成長としては売上や利益、社員数や設備規模といった目に見えるものの増大があります。

駅伝の「成長」と同様、目に見える結果を出すために、社長や経営幹部が方針を決め、実行に移すと共に、社員間の協力・協働体制、社内文化といったものも直接・間接的に目に見える「成果」に関わってきます。

今回のブログでは「輸出」という新たな市場開拓の選択肢を通じた「成長」についてみていきます

何故輸出か?

過去30年間(おおよそ1995年〜2024年)の日本と世界全体のGDP成長率を見ると、かなり対照的な傾向があります。

 

  • 世界全体:平均すると年3%前後で成長
  • 日本:平均すると年1%未満の低成長

 

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30年間の特徴 日本

バブル崩壊後の「失われた30年」

人口減少・高齢化の影響

1997年金融危機、2008年リーマンショック、2011年東日本大震災で成長が鈍化

近年も0〜1%台の成長が中心

世界

中国・インドなど新興国が成長を牽引

長期平均は約3〜4%

リーマンショックとコロナ禍以外は比較的安定してプラス成長

このため、過去30年間で見ると、世界経済は約2.5倍拡大したのに、日本経済は約1.3倍の拡大に留まっています。

「成長潜在力」の高い世界市場に輸出を通じて刺さりこむことで増収増益の「成長」を継続的に実現することは中小企業にとっても大切な方向性となるはずです。

これまでの日本の輸出の特徴

約30年前の1995年には、日本の対GDP輸出比率は9%程度しかなく、主要輸出国としてはかなり低い水準でした。近年は約23%まで上昇していますが、それでもドイツ(40%超)、韓国(40%超)などと比べると低く、依然として内需依存度が高い経済構造です。

世界全体で見ても、対GDP輸出比率は1990年代後半の約20%から2022年には約38%まで上昇しており、特にサプライチェーンの国際化やデジタルサービス貿易の拡大という要因が目立ちます。

日本の中小企業で直接輸出を行う企業は少数派

中小企業庁の白書では、日本の中小企業のうち直接輸出を行う企業は、

 

  • 製造業でも数%〜十数%程度
  • サービス業ではさらに低い

 

とされています。 つまり、日本の中小企業全体が輸出しているわけではなく、一部のグローバル型中小企業が輸出を牽引しているという構造です。 つまり、日本の中小企業は「輸出していない内需企業」が中心である構造は変わっていない一方で、輸出を行う一部の企業群はこの30年間でかなりグローバル化しているというのが実態です。

同じファミリービジネスの、ドイツのMittelstand(中堅・中小企業)や韓国の中小企業と比較すると、日本はまだ輸出比率が低く、今後の成長余地が大きいとも言えます。

外国人材を通じた直接輸出で成長を遂げる事例 ― 大和合金株式会社

前項で「一部のグローバル型中小企業が輸出を牽引」と記しましたが、2025年6月27日付の日本経済新聞電子版の記事にそのような中小企業の例が掲載されましたのでその要約を以下にご紹介します。

埼玉県三芳町に世界が注目する町工場が実質的な本社を置く。 特殊銅合金の大和合金(東京・板橋)だ。フランスで建設中の国際熱核融合実験炉(ITER)に部材を納入するなど、萩野源次郎社長までの3代で築いた独自技術が評価されている。

大和合金は外国人と日本人がともに働き、海外事業の急拡大につなげた。 鍛造の轟音(ごうおん)が響く工場では多くの外国人社員が働く。 同社グループで働く178人のうち21人が外国人で、国籍は米国やデンマーク、ネパールなど多彩。

その中の11人には共通点がある。語学教育のため地方自治体が海外の青年を招く「JETプログラム」を経験し、その後も日本で働き続ける意思を持つ人たちだ。

外国人の採用を本格化したのは2016年。

海外航空機メーカーの需要開拓を目指していたが、英語で商談できる人材は限られていた。

JET経験者を対象とする企業説明会で米国出身のローレン・バークハートさんを採用。以降も毎年のように外国人材を迎え入れている。 外国人の配属は海外営業だけでない。品質保証や開発など様々な部署でキャリアを積んでもらい、海外企業からの技術面の問い合わせに即座に対応する体制を整えた。こうした取り組みが実り、17年3月期に3億3000万円だった海外直接販売高は25年3月期に7倍の23億2000万円まで拡大した。

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大和合金株式会社の方々 日本経済新聞2025年6月27日付電子版記事掲載写真

外国人社員が日本人社員からのバトンを受けつつ、輸出を通じた会社の成長に寄与している事例です。 同様の事例は越境ECサイトを通じた輸出や、インバウンド旅行客対応で活躍する外国人社員などにもみられています。

次週は、「生産性改善」という「成長」についても見ていきたいと思います。

以上

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