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日賑グローバルニュースレター第331号

1.政治と司法の独立と健全性が試される空前の状況にある米国

 

ちょうど一週間前の先週金曜日にフロリダ州の地方裁判所でトランプ前大統領による連邦政府機密書類の違法取り扱い嫌疑に関する事前ヒアリングが行われた。

その様子をワシントンポストが伝えた。 

トランプ本人が連邦検事とトランプの弁護士とともに出廷し、キャンノン判事に裁判手続きとスケジュールについてのそれぞれの要求を伝えた。 

トランプ陣営のスタンスは、4月末に口頭ヒアリングを最高裁が始める「大統領としての絶対免疫」が仮に本件に適用されないと判断された場合、今年11月の大統領選への影響を避けるべく、裁判の開始を同選挙後にすべきとのもの。 そして、どうしても大統領選挙前に裁判を開始すると判断する場合でも8月以降とすべきと。

これに対し検察側は裁判の開始を仮に8月以降まで遅らせると、ワシントンDCの地裁で予定される別の裁判(トランプが2020年のバイデンの大統領選勝利を阻止しようとした嫌疑)の予定に悪影響を及ぼすとして遅くとも7月までに開始すべきと主張

この日の長い時間をかけたヒアリングの後も、キャンノン判事は“いつ”裁判を開始するかについては言及していない。

ニューヨーク地裁では325日から裁判(口止め料支払い嫌疑)が開始されるが、そのころまでには“被告”のトランプは共和党予備選を勝利し、事実上の共和党大統領候補としての地位を固めている(一昨日の報道ではトランプがスーパーチューズデーの15州中14州で勝利、ヘイリー候補が撤退の方針を固めたとのこと、さらには最高裁がコロラド州におるトランプ前大統領の立候補権限否定の判断を認めない判断を示したことから彼の共和党大統領候補の地位はほぼ確定した)。 

元大統領が犯罪嫌疑で起訴されるということ自体米国史上初であるうえに、その元大統領が再選を目指すという状況下で米国の司法と政治の機能が試されるという空前の状況にある。 

昨年トランプが起訴されたときには共和党支持層における彼の支持率がさらに上昇したという状況で、1月に行われたNBCニュースの世論調査でもトランプ支持が47%とバイデン支持の42%をリードしている。 

但し、現在起訴中の事案でトランプが有罪判決を受けた場合にも支持するかとの問いには、支持と答えた割合は43%にまで下がっている。 

大統領選の不在者投票は9月から始まる州もあり、トランプを巡る4件の裁判の行方がそれ以前に明らかになるかどうかは有権者にとっても気になるところといえよう。

 

2.子供のSNS利用制限 ― 制限年齢と親の関与の在り方で議論が分かれる連邦政府と州政府

 

ユタ州とアーカンソー州では13歳未満の子供がSNSのアカウントを設けることを禁止し、13歳以上のティーンでも親の了解を得ることを求める州法をつくっている。

これに対し、SNSを運営するテックカンパニーの団体のNetChoiceは「憲法が認める表現の自由の権利」に反するとして差し止め請求を行い、連邦判事はその請求を認め、アーカンソー州とオハイオ州での制限は差し止められている。 

今般、フロリダ州では15歳以下の子供がSNSアカウントをつくることを禁じる州法を通したものの、デサンティスフロリダ州知事はその内容を修正するよう議会に差し戻すべく一旦否認したことをワシントンポストが報じた。

デサンティス知事の不満は子供の親の判断を州法が想定していないこと。  

現在、連邦レベルでは子供のオンラインのプライバシー保護法で、オンラインサービス企業が13歳未満の子供のデータを取得する場合には親の同意を得ることを求めている。 

その結果、デジタルプラットフォーム企業の多くは13歳未満の子供がサービスを受けようとすることを禁止するルールを設けている。 

しかしながら、デサンティス知事は連邦政府としてのこの法律の取り締まりが弱く、多くの子供が身心に被害を受けていると批判している。 

結局、連邦レベルでもサービスを受ける年齢制限を設けるか、親の許可を前提とするか、はたまた企業側に子供がサービスを利用できない手法を編み出すかというアプローチの中で(当然企業側のロビーイングもあって)結論が出ていない状況にある。

日本のSNSは多くのプラットフォームが12歳以下はアカウント作成不可とのルールを出してはいるが、どこまで厳しく管理されているかは疑問である。

成人と子供の境目という点で、日本では運転免許は18歳から、選挙も18歳に繰り上がったもののお酒とたばこは20歳から。 親の承諾なしの婚姻も18歳以上。

アメリカでは運転免許は16歳から、親同乗なら14歳でも可能な州もあるが、酒は21歳からで全米で統一されている(たばこはほとんどの州が18歳から購入可能)。 

婚姻はほとんどの州で日本と同じく18歳以上から親の同意なしに可能だそうです。 

 

3. 東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の最新レポートを弊社にてダイジェスト版化

 

(1)  中国・台湾

l  主要都市の住宅価格の下落が続く中国

中国で住宅価格の下落が続いている。

1月の新築の住宅価格は、調査をしている主要70都市のうち、8割に当たる56都市で下落している。

50都市以上で新築住宅の価格が下落するのは、2023年の8月以来、6カ月連続となっている。

また、中古住宅の価格も70都市のうち、ほとんど全てにあたる68都市で下落した。

中国本土では不動産大手の恒大集団が1月、香港の裁判所から清算を命じられるなど不動産分野の不振が続いている。

一方、中国の新築住宅価格は1月に前月対比での下落ペースが鈍化し、主要都市で幾分の安定化が見られたとの報告もなされている点は付記しておきたい。

 

l  中国製造業購買者担当者指数5カ月連続で50未満を記録

中国国内需要が低迷する中、中国本土の製造業の主要指標である購買者担当者指数は5カ月連続で好不況ラインを下回り、2月は49.1となっている。

前月に比べて0.1ポイント悪化した。

中国政府・国家統計局はこの指数を作成する為に製造業者3,200社を対象に調査を実施している。

最新の統計は国内需要の鈍化を反映している。

長期にわたる不動産市場の低迷と厳しい雇用情勢が景気減速の要因となっていると見られている。

尚、大企業の指標は50.4であったが、中堅企業は49.1、中小企業は46.4となっている。

また、サービス業を含む非製造業は0.7ポイント改善の51.4となった。

これは主に、旧正月休暇中に旅行や飲食の需要が高まったことによるものと見られている。

 

l  外交拠点数で米国を上回り続ける中国

世界の主要国・地域の外交拠点に関する調査結果を、オーストラリアのシンクタンクである「ローウィー研究所」が公表したが、これによると、近年、アフリカや南太平洋などの地域などで存在感を高める中国が、拠点の総数で米国を上回っている。

在外公館などの外交拠点は、海外における自国民保護などの足場になるのでその価値は高い。

そして、2023年11月時点の拠点総数は、中国が274カ所と最も多く、続いて、米国が271カ、トルコ252カ所、日本は251カ所となっている。

米中対立が続く中、中国は2019年版以降、総数で米国を上回っている。

地域別では、アフリカや東アジア、太平洋地域の島嶼国、中央アジアに於いて、中国が米国を上回っている。

 

(2)  韓国/北朝鮮

 

l  主要国との科学技術力比較を行った韓国

韓国政府・科学技術情報通信部は、国家科学技術諮問会議第57回運営委員会で、「2022年度技術水準評価結果案」について報告した。

韓国政府は科学技術水準をチェックするため11の技術について2年ごとに米国、欧州連合(EU)、日本、中国本土、韓国を比較・評価している。

今回の評価は建設、交通、災害安全、宇宙・航空・海洋、国防、機械・製造、素材・ナノ、農林水産・食品、生命・保健医療、エネルギー・資源、環境・気象、情報技術(ICT)・ソフトウェアの11分野136技術を対象に、論文や特許件数などを評価する定量分析と専門家の評価を並行して行ったものである。

結果としては、米国を100とし、EUが94.7、日本86.4、中国本土82.6、韓国81.5となっている。

こうした結果を受けて、韓国国内では、改めて、科学技術力の向上に対して産官学金融が力を合わせて動く必要があるとの声が出てきている。

                                        

l  ユン・ソンニョル政権で訪日旅行客が急増する韓国

公休日となる三一節(1919年3月1日の日本統治に反対する三一独立運動を記念する日)連休に、日本行き路線の予約率が90%を遥かに上回った。

日本のほか、東南アジアなどの短距離路線も満席に近い予約率を記録している。

格安航空会社(LCC)各社では今年1~3月期終盤の特需を期待している。

韓国の航空業界関係者が3月1日に明らかにしたところによると、今年の三一節連休の日本路線予約率は90%台半ば-後半を記録したとしている。

日本への旅行需要は新型コロナウイルス感染が世界的に流行する直前の2019年までは、「ノージャパン(日本製品不買)運動」の影響で急減していたが、昨年からは韓日関係改善や円安で爆発的に増加している。

航空会社別の予約率現況を見ると、ティーウェイ航空の熊本、大阪、福岡、沖縄路線は2月29日の予約率が99%~100%と満席となった。

3月1日~3日の東京路線の予約率も94%であり、ジンエアーも福岡、大阪、東京路線の予約率が最も高くなったとしている。

尚、抗日運動記念の三一連休に、日本訪問の韓国人が増えると言う皮肉な状態であると言う声も出ている

 

[主要経済指標]

1.    対米ドル為替相場

韓国:1米ドル/1,335.16(前週対比-5.98)

台湾:1米ドル/31.60ニュー台湾ドル(前週対比-0.15)

日本:1米ドル/150.55(前週対比-0.09)

中国本土:1米ドル/7.1965人民元(前週対比+0.0010)

 

2.      株式動向

韓国(ソウル総合指数):2,642.36(前週対比-25.34)

台湾(台北加権指数):18,935.93(前週対比+46.74)

日本(日経平均指数):39,910.82(前週対比+812.14)

中国本土(上海B):3,027.020(前週対比+22.139)

 

4.米中デカップリング?

 

中国・韓国情報でおなじみの真田教授からの情報で米中経済依存関係の低下が窺われる情報がありましたので下記いたします。

 

米中対立が深刻化する中、中国が、「米国の最大輸入相手国」では無くなると言う状況が生まれています。

米国にとっての最大輸入相手国は、昨年14年ぶりに中国ではなくメキシコになりました。

米国政府・商務省の2023年貿易統計によると、昨年、米国が中国から輸入した商品輸入額が合計4,272億ドルで前年対比20%も減少しました。

これに比べて、隣国・メキシコからの輸入額は4.6%増の4,766億ドルを記録し、メキシコが中国を抜いて米国最大の輸入国となったと報告されています。

2017年に、「アメリカファースト(米国優先主義)」を掲げたトランプ元大統領政権以後、米国政府が一貫して推進してきた、「脱中国政策」が7年で本格的な効果を示し、中国への依存度を引き下げていくことに繋がってきているとの見方も出てきました。

尚、米国だけではなく、米国のサプライチェーン再構築に呼応して動いている日本や韓国、また、ヨーロッパなどの親英米陣営の中国本土依存度も低くなっていると見られています。 

 

5.中東フリーランサー報告27 

 

三井物産戦略研究所の大橋誠研究員から掲題情報を頂きましたので共有させていただきます。 大橋さんからは下記のメッセージを頂いております。

 

メディアの中東ニュースはウクライナ戦争との対比も含め、ガザ危機に集中し、それが米大統領選挙にまで影響していますが、目の前の動きばかり追うのではなく、周辺の情勢も含めて振り返ってみました。そして、ガザとはまるで別世界のサウジアラビアの最新状況についても触れました。

中東は広く、北アフリカのモロッコまで含めたMENAイスラム圏は、東端から西端まで飛行機で10時間もかかる広さです。ところがこうした紛争報道ばかりが続く結果、中東転勤と聞いた途端、親族一同が寄ってたかって止めに入ると言う事例を、過去に見て来ました。こうした短絡的印象を払拭し、中東の全体像を伝えたいと言うのも、本レポートの趣旨のひとつです。

と言うことで、中東フリーランサー報告27をお送りいたします。ご批判を頂ければ幸甚です。

大橋誠 

 

6. 川崎市産業振興財団のイベントがジェトロのビジネス短信に紹介されました! 

 

弊社が先月ファシリテータを務めさせていただいた川崎市産業振興財団主催の外国人材支援に関するイベントがジェトロのビジネス短信で紹介されました。 

下記リンクからご覧ください。

https://www.jetro.go.jp/biznews/2024/03/3e2462ac3b02af71.html

 

 

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