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#17 社員とのウィンーウィンの関係づくり(リンクトイン創業者リード・ホフマン著『ALLIANCE』(ダイアモンド社)より

 

前回までで、変革型コミットメント期間を導入するための4つの具体的なステップ、即ち、「コミットメント期間の目標設定」、「上司と社員の双方が定期的にフィードバックし合う仕組みを作る」、「コミットメント期間の終了前に次の期間の設計に着手する」並びに「コミットメント期間の途中での柔軟な変化対応の必要性」をご紹介しました。

改めてコミットメント期間の目的は、誠実な対話で相互信頼を重ね、社員が自発的に会社に留まる期間をなるべく長くする点にあります。

今回は、このコミットメント期間中に起こり得る問題について触れたいと思います。

まずは社員が一方的にアライアンスを破棄した場合です。

コミットメント期間の最中に何の手当もしないまま会社を去る社員がいれば、それはアライアンスを破棄したことになり、相応のペナルティを課されてもやむを得ないでしょう。

何よりもまず、本人の信頼と評判に大きな傷がつくでしょう。道義は大切であるとホフマン氏は語ります。無論、実務面でもペナルティがあります。「卒業生」ネットワークでの名誉ある地位や好意的な推薦といった将来のメリットが得られなくなるでしょう。

次に、コミットメント期間中に上司が替わってしまう場合です。

コミットメント期間の途中で上司が替わったからといって、新しい上司が合意済みの約束事を白紙に戻すのはその社員から見て当然不当な対応です。一方、新しい上司にとっても、前の上司が立てた計画に縛られるのもまた不当だと感じるでしょう。この場合、前任者の意向を尊重しつつ移行するのが正しいやり方だとホフマン氏は語ります。まずは、新しい上司もそれまでのコミットメント期間を継続するつもりで始め、その後、コミットメント目標を変更しなければならないと上司が考えた場合には、社員の方もそうする事由があると理解しておくべきであろう。但し、新しい上司は部下が上手に着地できるよう導く、という義務があると自覚すべきであるとホフマン氏は語ります。

それでは片方の当事者がコミットした成果を出せない場合はどうでしょうか?

一時的な好不調の波は誰にでも必ず起きますが、双方とも目先の乱高下に反射的な反応をせず、長期的な視点を保つべきとホフマン氏は語ります。一回の試合で不調だからと言ってプロ野球選手が切り捨てられることは決してありません。でも、その選手が一か月間もスランプ状態にあれば、チームが彼をトレードしたり首にしたりする可能性は十分にある得ます。

 

 

 

つづく