ニュースレター国内版 2019年・冬(232号)
1. クローバチャー旋風は起こるか?
2. 米海兵隊硫黄島上陸作戦75周年
3. 東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の最新レポートを弊社にてダイジェスト版化
4. 弊社キャリアコンサルティングサービスのご紹介
5. 中東フリーランサー東京報告45のこと
1.クローバチャー旋風は起こるか?
ニューハンプシャー州の予備選でサンダース上院議員とブティジェッジ市長に次いで3位となったクローバチャー上院議員が泡沫候補(underdog)の夢に向かって突き進んでいるとワシントンポストが伝えた。
同予備選前のディベートでの彼女のパフォーマンスが良かったことがバイデン前副大統領やワレン上院議員を抑えた理由とみられている。
ただ、他の候補者と比べてスタッフや機材が少なく、ニューハンプシャー州での予想外の好結果から、明日行われるネバダ州の予備選のための選対部長やキャンペーンバスを他州から急遽調達し急場をしのいでいるという。
彼女の場合、派手さはないものの、一貫して有権者に対し丁寧な説明を行うこれまでの政治姿勢がディベートで広く理解されているようである。
ハリー・リード前民主党院内総務はネバダ州選出であり同州の民主党支持層に未だ影響力を有するが、その彼がクローバチャーを高く評価している。
「みなさんは「なんで彼女がレースに参加しているの?」と言い続けていたが、どっこい彼女は2回のディベートで優れたパフォーマンスを見せ、今や多くの世論調査で第二位につけている。憶測で可能性を排除せず、候補者に候補者独自のコースを走らせるべきなんだ」とリードは語ったという。
さて、昨晩の第10回目のディベートが当のネバダ州ラスベガスで行われ、サンダース、ブティジェッジ、クローバチャー、ワレン、バイデンに加え、元ニューヨーク市長のマイケル・ブルーンバーグの6人で夫々の政策が戦わされた。
ヘルスケア、気候変動、貧富の差、教育などについて各候補者の政策が戦わされるとともに、大統領としての資質、資格、人間性とその結果、若手やマイノリティを起動できるのかといった議論もなされた。
資質、人間性の面でセクハラ、パワハラ疑惑があり、市長時代に黒人とヒスパニックの若者ばかりを職務質問して人種差別問題を起こしたブルーンバーグに他候補からの集中砲火があったが、クローバチャーに対しては過去のインタビューでメキシコ大統領の名前を失念したことをブティジェッジから資質の問題として指摘されてもいた。
民主党の中の中道、白人、高学歴層の票田を争うブティジェッジとクローバチャーは何かにつけぶつかり合うように見える。
いずれにせよ、彼女の場合、リソース不足からキャンペーンの機動力が弱く、黒人有権者層とのつながりが薄いところが弱点と記事でも指摘されていた。
明日以降のクローバチャー候補の活躍にも注目したい。
2. 米海兵隊硫黄島上陸作戦75周年
75年前のこの時期、米海兵隊が硫黄島に上陸、総攻撃をかけた様子をワシントンポストが現在96歳の作戦参加者の記憶を基にかなりの長文の記事で紹介している。
2月23日には摺鉢山の頂に海兵隊6名が米国旗を立てるその様子がそのまま彫像としてワシントンDCのポトマック河を挟んで対岸のアーリントンにある海兵隊戦争記念碑となっている。
コンクリートでできた掩体に立てこもった日本兵に火炎放射器を放つ様子や、至近距離で破裂前の手りゅう弾を投げ合う様子、或いは銃を打ち合うよりも間近であったため、日本兵の日本刀に襲われ腕を失った米兵の話など生々しい話が出てくる。
日本兵を火炎放射器で多く殺した96歳の彼が母国に戻り悪夢に悩まされた過去なども紹介されている。
米海兵隊にとってはこの硫黄島の戦いは南北戦争のゲティスバーグの戦いにも匹敵するものであり、海兵隊が米国に未来永劫必要なものとして認められた出来事と海兵隊自信が認識しているようである。
7万人もの海兵隊員がこの作戦に参加し、海兵隊の歴史の中で最大の戦死者(約6,800人)を記録したといわれる。
なぜこの時期に硫黄島の戦いの特集をしたのか今一つよくわからなかったが、75周年であるとともに、この記事に出てくる証言者が96歳(当時21歳)と数少ない生存者で、かつしっかりした記憶を持っているうちにリアルに再現し、今の世代に伝えたいとことがきっかけであることは間違いない。
日本と同様、戦争経験者が少なくなる中、戦争の悲惨さを伝えていくことの大切さと共に、海兵隊の存在意義を伝え続けるという政治的(?)目的もあるのかもしれない。
3. 東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の最新レポートを弊社にてダイジェスト版化
(1) 中国
l サモアが日本からの入国を制限
新型コロナウイルスによる肺炎が拡大が早いことから、太平洋島嶼国のサモアが日本からの入国制限を開始した。
感染者が増加トレンドにある日本からの入国制限の実施は同じく太平洋島嶼国のミクロネシア連邦、ツバルに続いて3か国目となる。
更に、サモアに続いて、同じく、太平洋島嶼国のキリバスも日本からの入国制限を決定した。
入国前に感染者が出ていない国に14日間以上、滞在することを求めている。
l 米中夫々の軍用機による台湾空域けん制
台湾政府・国防部は、米軍のMC130J特殊作戦機1機が台湾海峡上空を北から南に飛行したと発表している。
更に、米軍のB52戦略爆撃機2機も、同じ針路で台湾の東の空域を通ったとも発表している。
台湾への軍事的圧力を強め続けている中国本土を牽制したものとも見られているが定かではない。
一方、中国本土空軍も、台湾周辺で長距離飛行訓練を実施し、爆撃機が台湾海峡中間線を越えて台湾側に侵入している。
(2)韓国/北朝鮮
l 小中高生の北朝鮮に対する意識調査結果
韓国政府・統一部と教育部は昨年10月21日から11月29日にかけて、韓国各地の小中高生6万6,042人を対象に、
「2019年学校統一教育実態調査」を実施した。
その結果の中で、北朝鮮について、「協力の対象」と回答した青少年は43.8%となり、昨年の50.9%より7.1ポイント下落し、逆に、「警戒すべき対象」と回答した比率は35.8%で、前年の28.2%から7.6ポイント上昇している。
また、北朝鮮を「助けてやるべき対象」と考える児童・生徒は12.1%から8.2%に減少し、「敵と考えるべき対象」という回答は5.2%から8.1%に増えている。
南北融和を進める文政権にとっては悪い数字が出たと言えよう。
l 新型コロナウイルスの影響が最大?
世界的なシンクタンクの一部は本年1~3月期の中国本土の経済成長率が0%台にまで低下するとの見通しを示し始めている。
そして、その影響を最も受ける国は、貿易の25%を中国本土に依存する韓国という見方も出ている。
過去の新型肺炎(SARS)や中東呼吸器症候群(MERS)の際には経済成長率が0.2~0.25ポイント低下した。
そして、今回の武漢発の新型コロナウイルスによる影響はそれより大きいのではないかと見られ始めており、昨年ようやく2%台の経済成長率を達成した韓国の経済成長率が今年は1%台に低下する可能性も出てきたとの見方もある。
そして、既に国内消費に悪影響が出始めている。
また、特定の中国製部品の供給が止まり、現代・起亜自動車の工場が全面ストップするなど、製造業の生産障害も顕在化し始めている。
韓国政府は、「新型コロナウイルスで不安になる必要はない」とコメントしているが、こうしたことから、国民の不安は拡大しているとの見方も強まっている。
l 韓国国債格付けAAマイナスに据え置き
世界的な格付け機関であるフィッチ・レーティングスは、韓国の国債格付けを上から4番目の「AAマイナス」に据え置くと発表している。
今後の見通しも「安定的」を維持している。
そして、フィッチ・レーティング社は、
「韓国は、北朝鮮に関する地政学的リスクや高齢化と生産性の低下による中期的な構造的課題を抱えているものの、堅実に財政管理を行い、マクロ経済を安定的に運営している。
また、韓国については、経済成長の見通しが暗いが、韓国は昨年12月に国会で可決した2020年度(1~12月)予算で相当な景気浮揚策を打ち出しており、また、短期的な景気浮揚策を行えるだけの財政的余裕がある」
とコメントしている。
韓国政府としては、世界的な格付け機関によって、こうした結果が示されて、安心しているものと思われる。
[主要経済指標]
1. 対米ドル為替相場
韓国:1米ドル/1,183.48(前週対比+10.39)
台湾:1米ドル/30.02ニュー台湾ドル(前週対比+0.13)
日本:1米ドル/109.86円(前週対比-0.29)
中国本土:1米ドル/6.9859人民元(前週対比+0.0104)
2. 株式動向
韓国(ソウル総合指数):2,243.59(前週対比+31.64)
台湾(台北加権指数):11,815.70(前週対比+202.89)
日本(日経平均指数):23,687.59(前週対比-140.39)
中国本土(上海B):2,917.008(前週対比+41.044)
4.弊社キャリアコンサルティングサービスのご紹介
新たに弊社で始めますキャリアコンサルティングについて下記リンクにてご紹介を行っております。 元々は外国人材を正社員として採用された会社向けにその人材の定着化のための面談として行っておりましたが、それとは別に日本人社員向けに、「主体性、意欲、やる気を高める」目的で提供いたします。
厚生労働省のキャリアコンサルティングの資格に基づき、社員のキャリアと会社の目標のマッチングを図ります。
5. 中東フリーランサー東京報告45のこと
三井物産戦略研究所の大橋誠研究員から掲題のレポートを入手いたしましたので皆様と共有させていただきます。
大橋さんからは以下のコメントを頂いています。
「正月早々のソレイマニ司令官爆殺事件以降、トランプ大統領の「世紀のディール」発表まで、中東では一気に騒ぎが巻き起こり、これに関連しての社内の報告書、社外のセミナー参加、社内外の講演要請等々に忙殺されている内に気が付いたら2月10日になってしまいました。
新型コロナウィルスで中東問題が少し霞みがちですが、この間にイラン・イラク方面、シリア・レバノンの「シーア派の三日月地帯」でも深刻な動きがありました。
今回は紙数の関係で次号に回すことと致しました。次号もご期待ください。
皆様にはどうかお体に気を付けてお過ごしください。」
-------------------------------------------------------------------------------
本ニュースレターの配信の停止を希望される方は恐縮ですが、下記メールアドレス宛に「配信停止希望」のタイトルのみ打っていただき返信いただければ幸いです。