ニュースレター国内版 2022年・夏(295号)

日賑グローバル・ニュースレター国内版(第295号)

 

1. 中間選挙に向けキャンペーンを開始したバイデン大統領

2. 米国労働市場を襲うGreat Resignationに続くQuiet Quittingの懸念

3. 東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の最新レポートを弊社にてダイジェスト版化 

4. 寺島実郎氏メディア登場情報

 

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1.中間選挙に向けキャンペーンを開始したバイデン大統領

 

バイデン大統領は米国時間の昨日から11月の中間選挙に向けた応援キャンペーンを正式にスタートさせた。まずはメリーランド州の州知事選応援である。

 

今月、米国内の半導体サプライチェーンの強化を図るCHIPS Actと、気候変動対策と処方薬価の値下げ及び大企業への増税による財政赤字削減を図るInflation Reduction Act of 2022に署名して法制化に成功したバイデン大統領は、この大きな成果を引っ提げて接戦州にいる上院、下院及び知事選の民主党候補の応援に入り、上下両院での多数党の地位を何とか死守しようとするわけである。 

 

一方、当の候補者の方は、必ずしもバイデン大統領に応援に来てもらうことを望んでいない状況を、ワシントンポストが接戦州の民主党候補者60名以上に対するアンケート調査の結果として伝えている。背景にはインフレ問題で支持率を大きく下げている大統領が応援に来ても逆効果になるのではとの肌間隔を気にしているところがある。

 

さらに今回の選挙戦の特徴として、キャンペーン用のテレビCMが大統領を標的として、これまでが失政であったと訴求する内容のものが多く放映されていることも挙げられる。 

キャンペーンCM5本に1本がバイデンを揶揄するもので、共和党側が中間選挙の対民主党戦略として現在の大統領の不人気を民主党のイメージに重ねているようである。従い、その不人気のアイコンに応援に来てほしくないということになるのであろう。

 

ただもちろん大統領に面と向かって応援を断る民主党候補者はいない。応援に来てもらうことを躊躇しているだけでも「政治的背信行為だ」と民主党全国委員会の幹部は語る。驚くべきは現職でもないトランプ前大統領の名がこの中間選挙のキャンペーンの中でバイデン大統領と同じ頻度で(共和党の宣伝なのでポジティブに)語られていることである。名だたる予備選でトランプに歯向かった現職議員に刺客が送り込まれ、勝利していることが前大統領の名前に言及する背景となっている。元々議会上院でも従来の共和党には友人が多くいて超党派で動ける政治家であったバイデン大統領は、オバマ大統領の一期目の2010年の中間選挙ではオバマ大統領の人気の無い州でも副大統領として候補者から歓迎されて応援演説を行っていたが、共和党がトランプ共和党となって全く勝手が異なっている。 

 

また、カマラ・ハリス副大統領もバイデン大統領の代わりに歓迎される場はなさそうである。残り2か月強でバイデン大統領がインフレをどう抑制し、求心力を取り戻せるのか注目される。

 

2.米国労働市場を襲うGreat Resignationに続くQuiet Quittingの懸念

 

当ニュースレターで度々取り上げた“Great Resignation”という表現はアメリカでパンデミックと共に生じた就労者の退職・転職増の顕著な傾向を表している。実際2021年は毎月平均400万人もの就労者がコロナ禍に伴う職場の安全性やワークライフバランスの改善を求めて職場を去った。 

 

この“Great Resignation”現象に引き続き、新たな現象として”quiet quitting(静かに止める)“というバズワードがTikTokユーザーを中心に広がっている様子をワシントンポストが伝えている。特にZ世代を中心とした若い就労者で強い共感を呼んでいるという。 

 

このquiet quittingとは転退職するわけではなく、為すべき仕事を淡々とこなし、余計なハッスルをせず私生活を重視するというニュアンスで、かつて「職場からの解放」という意味で用いられた”employee disengagement”を新しく言い換えたものと説明する人事専門家もいるが、やはりコロナ禍の影響を受けたワークライフバランスの見直しの動きと感じられる。雇用主からすると従業員がルーチンだけをこなし、問題意識や当事者意識を持たず、成長のための新たな努力を行わず、さっさと帰宅されては先行きが不安になり、さらにはその態度が他の従業員に伝染する懸念もあることから安穏とはしていられない。雇用主としてはコロナ禍がもたらした人生における仕事の重要度の見直しや人間関係の分断の影響に理解を示しつつも、従業員の様子を良く観察し、quiet quittingの兆候を早めに掴んで善処することが必要になるとの人事コンサルタントの様々な話を紹介している。 

 

中には就業時間内の休憩や有給休暇の取らせ方の改善から、会社主催のヨガ教室やメンタルヘルス相談会の手配、心理的安心を感じられる職場づくり、そして自らの成長を感じられる機会や場の提供など、日本でも良く語られる人事対策も紹介されていた。

 

今や人材確保はもとよりその定着・維持が課題となっている米国労働市場で”quiet quitting”が“蔓延”しないよう気を配っている様子が伝わってくるが、日本も対岸の火事ではないのかもしれない。

 

3. 東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の最新レポートを弊社にてダイジェスト版化

 

(1)  中国

l  7月の新車販売台数前年同月比29.7%

中国自動車工業協会が発表した本年7月の新車販売台数は、前年同月対比29.7%増の242万台となっている。中国政府による自動車購入支援策が寄与していると見られ、2カ月連続のプラスとなり、伸びも前月から拡大している。中国当局は、上海市のロックダウンなどを受けた景気対策として、6月から一部乗用車を対象とした取得税の減免措置を導入している。

 

l  「北戴河会議」で3期目の足場固めをした習近平国家主席

中国の習近平国家主席は遼寧省を視察したと報告されているが、これに先立ち、共産党幹部や長老らが重要政策や人事を議論する「北戴河会議」が終了したと見られている。米国のペロシ下院議長の台湾訪問に軍事的威圧などで強い姿勢を示した習近平政権の評価は高まっており、秋の共産党大会で異例の3期目を目指している習近平国家主席にとっては有利な形で会議は終了したとの見方も出てきている。

 

一応、この秋に予定されている中国共産党の党大会では習近平国家主席が最高指導者として異例の3期目続投を決めるとの見方が、今のところは支配的となっている。10年前に、党総書記に就いた習近平氏は、すぐに激しい「反腐敗」キャンペーンを繰り広げ、党内の政敵を排除して権力基盤を固めたといっても過言ではない。周囲で支えたのが、習近平氏と同様に、革命世代の高官を父祖に持つ「紅二代」と呼ばれる幹部たちであり、紅二代は共産党政権の「創業家」としての意識が強く、中央・地方の幹部の専横で民意が離れていく状況に危機感を強めていた中、習近平氏と共に異例の粛清を強化、推進し、結果的に習近平氏を支持した。

 

三期では、こうした紅二代の処遇や新たな勢力の台頭、そして、江沢民派や胡錦涛派の時代のリーダーたちの処遇なども気に掛かる。

 

(2)  韓国/北朝鮮

l  一社気を吐く三星電子

本年上半期には、韓国株式市場(メーンボードに相当する有価証券市場)の上場企業の売上高と営業利益がいずれも増加しているが、三星電子を除けば営業利益はマイナスとなっている。三星電子の業績を取り除くと、上半期に上場企業の収益性は悪化したとも言えるのである。

 

即ち、韓国取引所によると、有価証券市場上場696社の本年上半期の売上高は、単独ベースで746兆9,320億ウォンとなり、昨年同期(627兆2,324億ウォン)に比べ19%増え、営業利益も54兆1,480億ウォンと7.4%増と韓国全体としては堅調な業績動向となっている。

 

しかし、上述したように三星電子を除いて集計すると、売上高は約18%増加したものの、営業利益は34兆8,373億ウォンと約9%の減少となる。三星電子の上半期の営業利益(19兆3,107億ウォン)は市場全体の営業利益の何と36%という大きな割合を占めていることから見られる結果であり、三星電子の「一本足打法?!」による韓国経済の課題がここに見え隠れする。

 

l  給油のため台湾に着陸した韓国空軍特殊飛行チーム

韓国空軍の特殊飛行チームである「ブラックイーグルス」が8月18日、台湾南部の高雄国際空港に寄着し、給油した。ブラックイーグルスはT-50B訓練機でフィリピンから飛行し、給油目的で台湾に着陸、韓国に戻った。台湾軍当局は、詳しい内容の公開を拒否したが、「現行法に則り、外国軍がストップオーバー(途中寄港)の際に必要な措置を提供した」としている。

 

[主要経済指標]

1.    対米ドル為替相場

韓国:1米ドル/1,334.83(前週対比-30.93)

台湾:1米ドル/30.11ニュー台湾ドル(前週対比-0.12)

日本:1米ドル/136.96円(前週対比-3.49)

中国本土:1米ドル/6.8141人民元(前週対比-0.0751)

 

2.      株式動向

韓国(ソウル総合指数):2,492.69(前週対比-35.25)

台湾(台北加権指数):15,408.78(前週対比+119.81)

日本(日経平均指数):28,930.33(前週対比+383.35)

中国本土(上海B):3,258.078(前週対比-18.810)

 

4.寺島実郎氏メディア登場情報

 

寺島文庫から寺島実郎さんのメディア登場の情報を下記の通り入手しましたので共有させていただきます。

 

下記にて、821日放送のMXテレビ「寺島実郎の世界を知る力」第23回放送につきまして、

YouTubeでの見逃し配信が始まっておりますので、ご連絡致します。

 

TOKYO MX「寺島実郎の世界を知る力」(2022821日放送)

【第23回放送】

「岸田政権『黄金の3年』の経済や外交政策の進路/岩倉使節団、米国とロシアの不思議な関係―ロシア史の深層」

https://www.youtube.com/watch?v=p6jN9lIduec&list=PLkZ0Cdjz3KkhlIA30hZIT5Qnevsu0DBhY&index=1

 

また、今週末の「対談篇 時代との対話」(第17回放送・2022828日(日)午前11時~)は、ゲストに大谷徹奘氏(薬師寺 執事長)をお迎えし、「現代日本人の心のレジリエンス(耐久力、回復力)」をテーマに、対談致します。

 

ぜひご視聴頂ければと存じます。

 

 

《メディア出演情報(追加)》

2022/8/24(水)7:007:45

NHK NEWS「おはよう日本」

 

2022/9/11(日)08:00

TBS系列「サンデーモーニング」

 

2022/9/13(火)06:03頃~

TBS系ラジオ「生島ヒロシのおはよう一直線」

※うち、「今朝のニュースピックアップ」コーナー 全国33局ネット

 

さらに、全国約500店舗の「快活CLUB」で視聴頂けます

寺島文庫オリジナル動画及び寺島文庫YouTubeチャンネルに関して、お知らせ致します。

 

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◆◇『学びの再出発』◇◆

~寺島文庫のオリジナル動画が

 全国約500店舗の「快活CLUB」でご視聴いただけます~

【月1回更新】 8月分は23日(火)より配信!

 

今回は、「『宗教の時代』としての21世紀を生きる」をテーマに、人類史における宗教の淵源を紐解きながら、人間にとって宗教とは何か、現代日本において宗教とどう向き合うべきか、寺島が語ります。

 

また、「今月の本棚」では、朝日新聞編集委員・三浦俊章氏との対談(前編)をお送り致します。今回は、三浦氏が翻訳に携わられた『戦争の文化』(著:ジョン・ダワー)を入り口に、時代を超えて、戦争が引き起こされる構造等について、寺島との対談を通じて深めます。

 

ぜひ快活クラブの店舗にてご視聴頂けましたらと存じます。

 

・詳細はこちら

https://www.terashima-bunko.com/minerva/kaikatsu-manabi.html

 

・お近くの店舗の検索はこちら

https://www.kaikatsu.jp/shop

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■□寺島文庫【公式】YouTubeチャンネル□■

「寺島文庫とは?寺島実郎が本にかける想いからルーツを語る」、

https://www.youtube.com/watch?v=uOgcnHILN4U

 

◆寺島文庫リレー塾アーカイブス配信中!◆

★第12期(2021年度)後期

 第1回講義(講師:寺島実郎)、第2回講義(講師:二木芳人氏)

https://www.terashima-bunko.com/minerva/bunko-archives.html

 

◆寺島文庫オリジナル「60de新常識シリーズ」配信中!◆

★第1弾「資産運用『お金を増やす常識・非常識』」

★第2弾「ビジネスの新常識-グローバル化とダイバーシティ」

https://www.terashima-bunko.com/minerva/60min.html 

 

◆『「みねるばの森」基金 設立にあたって」配信中!◆

https://www.youtube.com/watch?v=rxB8V3pJQDc

 

◆書籍紹介コーナー◆

「寺島文庫×NHK出版 コラボ企画」配信中!

https://www.youtube.com/playlist?list=PLJPVVD8dB3b34896ZMEQIA9ze1WXR6S2l

 

「寺島文庫×岩波書店 コラボ企画」配信中!

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◆文庫犬エリゼ◆

「幸運を招くうわさのビションフリーゼ 文庫犬エリゼ」配信中!

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