ニュースレター国内版 2022年・春(286号)
日賑グローバル・ニュースレター国内版(第286号)
1. 2024年民主党大統領候補者人気ランキングトップ10
2. ロシア系アメリカ人のふるさとFort Ross
3. 東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の最新レポートを弊社にてダイジェスト版化
4. IT導入支援事業者に採択されました
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1.2024年民主党大統領候補者人気ランキングトップ10
2024年の次期大統領選について、英国に本社を置くYouGovというインターネットベースの市場調査およびデータ分析会社が行った民主党大統領候補の世論調査では、民主党支持層のわずか21%しか現職のバイデン大統領の再選を支持しないことがわかった。それでも21%という率は現状で考えられ得る候補者の中ではトップである。但し、18%もの人々は誰を支持すべきか不明と答えている。昨年11月の調査でも、民主党支持層の過半数がバイデンの再選を支持していなかった。とはいえ、共和党支持層の多くも2024年にトランプ前大統領が大統領候補としてカムバックすることを希望しないと回答しつつも、その他の候補とのレースを想定した場合にはトランプをトップで走らせることになるとみられている。支持率が落ち込んでいたカーター大統領の再選時に民主党内から故エドワード・ケネディ上院議員がチャレンジして現職大統領としての価値に疑問を呈するイベントとなり、結果として本選で共和党に敗れるといった1980年の選挙戦の二の舞を民主党としては繰り返したくはない。バイデン大統領が再選に出馬せず、支持者を定めてキングメーカーとして禅譲するか、或いはバイデン自身の支持率が大きく回復し、自ら再選を目指すのか、はたまた支持率低迷のまま、再選を目指し、そこに他の民主党大統領候補がチャレンジするのか、現段階での判断は難しい。以上のような状況を前提として、現段階でのYouGovの調査に基づく民主党大統領候補者ランキングトップ10を下記する。
1位 バイデン大統領
2位 ピート・ブティジェッジ運輸長官(前回の民主党大統領候補予備選参加)
3位 カマラ・ハリス副大統領(同上)
4位 エリザベス・ワレン上院議員(同上)
5位 エイミー・クローバチャー上院議員(同上)
6位 ロイ・クーパー ノースカロライナ州知事
7位 シェロッド・ブラウン上院議員(オハイオ州選出)
8位 コリー・ブッカー上院議員(前回の民主党大統領候補予備選参加)
9位 ギャビン・ニューサム カリフォルニア州知事
10位 アレキサンドリア・オカシオコルテス下院議員(ニューヨーク州選出)
現在、ウクライナ危機への対応からコロナ対応、物価対応まで陣頭指揮を執っているバイデン大統領だが、今年の中間選挙後すぐの11月20日に80歳の大台に乗り、仮に再選すれば86歳までホワイトハウスに居ることになる。日本では80歳でエベレスト再登頂を果たした三浦雄一郎氏のように知力、気力、体力の充実された80台の方は多くいらっしゃるが、2020年の平均寿命が前年より1.5歳も短縮し77.3歳(男性は1.8歳縮まって74.5歳)となったアメリカにおいてはリスクがあると見る向きも多いであろう。
2.ロシア系アメリカ人のふるさとFort Ross
米国バージニア州のジェームズタウンは、イギリス人が北米大陸に入植してきて最初に永住した町として歴史に名を残している。一方、ロシア系アメリカ人にとってのジェイムズタウンと呼べる地はカリフォルニア州のFort Rossという現在はカリフォルニア州立公園となっている地域であるとワシントンポストが紹介している。17世紀初頭のイギリス人の入植から200年以上遅れて1812年にこのFort Rossにロシア人が入植してきた。サンフランシスコから北へ車で2時間ほど行った海岸沿いのこの地には古いロシア産の風車のレプリカが飾られている。これは現在アメリカ政府から制裁を受けているオリガルヒの一人のViktor Vekselberg氏が寄贈したもの。ロシアの社会主義革命後、多くのロシア人が祖国を逃れてカリフォルニアの地に移住した。その中にはロマノフ王朝の子孫もいた。
実際アンドリュー・ロマノフ皇太子はこのFort Russに移住し、今年の1月に亡くなっている。グーグルの共同創業者のセルゲイ・ブリンは冷戦終了、ソ連崩壊後にロシアからカリフォルニアに移住してきている。今回のロシアによるウクライナ侵攻後、米国政府がウクライナを支援していることに対し、あるロシアの国会議員は、ロシアに敵対する賠償としてロシアが1867年に米国が720万ドルでロシアから購入したアラスカと共に、このFort Rossをロシアに返還することを求めたことで、久方ぶりにこのロシア人入植地の名が取り上げられた。このFort Rossでは米ロの学生交流のイベントから文化交流まで長年開催されてきたが、それらの資金が上述のオリガルヒからの寄付やロシアのエネルギー企業からのスポンサーシップがあったことから、今回の米政府の対ロ制裁の一環で中断されている。そしてFort Rossにあるロシアレストランの窓が壊されたり、脅迫メールが来たりといった明らかな嫌がらせも出始めているようだが、それでもまだ目立つほどではないようである。日系アメリカ人にとっての心のよりどころの1つにロスアンゼルスのリトル東京がある。
そこにある日系米人博物館では、日本から移住してきた一世の人々の苦労の物語と共に、第二次世界大戦中の抑留キャンプの様子が克明に展示され、そうした出身国に基づく差別がアメリカにおいて繰り返されないように訴えている。日系アメリカ人の組織は2001年9月11日に発生した同時多発テロにおいて国内に生じたムスリム系アメリカ人への差別行為に非難の声をあげ、ムスリムの人々に寄り添う姿勢を示した。そして最近ではパンデミックでのアジア人への嫌がらせに対抗しつつ、今般の侵攻でのロシア系アメリカ人への差別の問題が生じればまた相応の行動を採るのであろう。
3. 東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の最新レポートを弊社にてダイジェスト版化
(1) 中国
l 台湾独立活動家の逝去
台湾の社会運動家で、元総統府資政(顧問)のホウ明敏氏が亡くなった。98歳であった。同氏は、中部・台中市大甲出身であり、日本統治時代の1923(大正12)年生まれであり、1964年には台湾の独立を訴える「台湾自救宣言」を発表して逮捕され、翌年に懲役8年が言い渡されたものの、特赦を受け釈放され、海外で逃亡生活を送った後、1996年に台湾で初めて行われた直接選挙の総統選に民進党から出馬し、国民党の李登輝元総統に敗れたが、陳水扁政権時代の2000年に総統府の資政に任命された人物である。蔡英文総統は同氏の訃報に触れ、「深く悲しみ、ホウ氏の提言や台湾民主化への貢献を感謝している。ホウ氏の信念や台湾への愛は、必ず後世に受け継がれるだろう」とするメッセージを伝えている。
l 台湾TSMC微細半導体量産動向
台湾有数企業の一つである台湾積体電路製造(TSMC)のWei社長は、3ナノ半導体は計画通り今年下半期に量産され、2ナノ半導体は2025年には量産される予定であると発表している。TSMCは、3ナノ半導体は、今年後半には大量生産が開始され、高性能コンピューティングとスマートフォンアプリケーションをサポート、顧客の需要は強く、機器サプライヤーと協力して、顧客のニーズを満たす製品の生産体制をしっかりと構築したいとしている。
l 中国の3月の対露輸出7.7%減、同輸入14.7%増
中国の輸入は、主として新型コロナウイルスの感染拡大を背景として、19カ月ぶりに減少している。即ち、中国政府・税関当局は、中国の本年3月の輸入額は、前年同月対比0.1%減の2,280億米ドルとなったと発表している。中国の多くの工場は、新型コロナウイルスの感染拡大により操業を停止し、生産量も減らしていた中での実績である。 更に、一部の地域では物流にも困難が見られており、貿易に関するビジネス環境は芳しくない。一方、本年3月の中国の輸出は同14.7%増の2,760億米ドルを記録、これにより、通関基準の貿易収支は480億米ドルの黒字となっている。 特に、欧米向け輸出は好調であった。
尚、対ロシア輸入額は、前年同月対比26,4%増の約78億米ドルとなっている。2月のロシアのウクライナ侵攻を受け、米欧日は対ロシア制裁を科してきたが、中国政府は制裁に反対し、ロシアとの貿易を継続する意向を示してきたことの反映であろうか。
一方、対ロシア輸出額は前年同月対比7,7%減の約38億米ドルと減少してはいる。
こうした状況に関しては、輸入額の増加は、ロシアからの輸入の多くを占める原油や小麦など穀物の価格高騰が背景にあると見られ、輸出額の減少は金融制裁によるロシアの決済能力が影響している可能性があるとの見方が中国ではなされている。
(2) 韓国/北朝鮮
l 組閣を進めるユン・ソクヨル次期大統領
ユン・ソクヨル次期大統領は来月発足する新内閣の候補者の名前を発表している。
ユン次期大統領は、元経済官僚のチュー・ギョンホ氏を副首相兼財務相に任命、統合参謀本部議長のイ・ジョンソプ元副議長を国防相に、ウォン・ヒリョン済州道知事を国務相に、更に外相には、ユン氏が所属する保守系最大野党である「国民の力」の国会議員の朴振氏を指名したと述べている。
これらの候補者は、韓国国会の同意を得て正式に任命される予定である。
特に外相は、米国通として知られ日本への留学経験もあり、ユン次期大統領の信頼も厚く、対米、対日外交を改善していく布陣となるとの期待が出てきている。
また、中小ベンチャー企業部長官候補者に指名されたイ・ヨン国民の力・議員は、ソフトウェア分野のベンチャー企業を20年間経営した国内第1世代女性ベンチャー創業家である。
ユン・ソクヨル次期大統領は、
「イ議員は新生ベンチャー企業を立ち上げ運営、国会では中小・ベンチャー企業育成のために旺盛な議定活動をした人物であり、中小・ベンチャー企業が一段階さらに躍進して成長できるようにする適任者であると判断した。」
と抜擢の理由を明らかにした。
いずれにしても、少しずつ、新政権の色が見えてきているが、とにかく、文政権との違いを示す組閣となりそうである。
l 米国アラバマ工場にEV拠点を設ける現代自動車
韓国有数企業の一つである現代自動車は、米国・アラバマ工場に3億米ドルを投資して、電気自動車(EV)の生産拠点として活用するとしている。
これは、アラバマ州のアイビー州知事が発表したものであり、アラバマ州政府によると、現代自動車のアラバマ生産法人(HMMA)は、アラバマ工場で「ジェネシスGV70」のEVと、スポーツ用多目的車(SUV)「サンタフェ」のハイブリッド車を生産する計画となっている。
サンタフェのハイブリッド車は今年10月から、ジェネシスGV70のEVは今年12月から生産に入る計画である。
3億米ドルを投じてEVの生産体制を構築し、200人の新規雇用を創出するとしている。
また、現代自動車の電気自動車(EV)「アイオニック5」と現代自動車傘下の起亜自動車の「EV6」は、800ボルトで充電が可能で、バッテリー残量10%の状態から80%まで充電するのに18分しか要しないと評価され、あのテスラの高速充電技術(400ボルト)よりも電圧が高く、充電所要時間はテスラのモデル3(約40分)の半分に満たないとされている。(尚、800ボルト高圧充電が可能な量産モデルを発表しているのはドイツのポルシェとこの現代・起亜自動車だけとなっている。)
また、その現代自動車が米韓首脳会談を契機として、電気自動車生産設備などで米国に8兆4,000億ウォンを投資する計画も発表している。
但し、現代自動車の労働組合からは、この投資計画が発表された直後に、「労組と相談せずに大規模海外投資を決定した」として、反対声明を出している点は留意しておきたい。
[主要経済指標]
1. 為替市場動向
韓国:1米ドル/1,227.97(前週対比+1.07)
台湾:1米ドル/29.11ニュー台湾ドル(前週対比-0.19)
日本:1米ドル/126.35円(前週対比-2.01)
中国本土:1米ドル/6,3705人民元(前週対比-0.0095)
2. 株式動向
韓国(ソウル総合指数):2,696.06(前週対比-4.33)
台湾(台北加権指数):17,004.18(前週対比-280.36)
日本(日経平均指数):27,093.19(前週対比+107.39)
中国本土(上海B):3,211.245(前週対比-40.610)
4. IT導入支援事業者に採択されました
政府の令和元年度補正及び令和3年度補正予算に基づく『サービス等生産性向上IT導入支援事業費補助金』における「IT導入支援事業者」として弊社が採択されました。
この補助金は、中堅・中小企業が業務の生産性向上のためにIT導入を進める際の投資額の最大4分の3を助成するものです。
弊社が登録されたITツールの名前は「アメリカ等英語圏向け輸出用越境ECサイト」で、登録ITツールNo.は「TL03-0077119」です。
このツールはアメリカのGriddable社による越境ECサイト構築サービスをベースにしたもので、最大の特徴は、日本文化と日本語を理解するアメリカ人スペシャリストが、アメリカ人消費者の触手が動くように日本の製品、商品、サービスを「映え」させ、表現する付加価値にあります。
これまでの実績例は下記の通りです。 是非この補助金を活用したオンラインでの輸出を検討してみてください。
ハンコの輸出用ECサイト https://hanko-square.com/
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中古ヘリコプター・航空機の輸出用マッチングサイト https://rotorcraft.market/
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