ニュースレター国内版 2021年・冬(260号)

日賑グローバル・ニュースレター国内版(第260号)
1. コロナ、大寒波、火星・・・、ニュースのたびに格差が際立つ米国
2. リベラルなアジェンダを推進するバイデン大統領と中間選挙の行方
3. 東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の最新レポートを弊社にてダイジェスト版化 
4. 「寺島実郎の世界を知る力」3月21日(日)TOKYO MX1にて午前11時放映
5. 日米女子サッカー友好バーチャルイベント We have the spirit!明日開催
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1.コロナ、大寒波、火星・・・、ニュースのたびに格差が際立つ米国

   

世界に先駆けて短期間に3種類ものコロナワクチンを開発、量産し、また火星に生命があったかを調査するための地表探査車の着陸に成功させる等、国家の威信と技術力を見せつけているアメリカであるが、一方で、その陰に驚くほどの貧困や虐げられた生活が存在しているという米国の極端な二面性にスポットライトを当てた特集をワシントンポストが組んでいる。219日にテキサス州ヒューストンにあるジョンソンスペースセンターからの指令で火星探査機パーシビアランスが見事に火星の地表に着陸したが、その1週間前にテキサス州を襲った大寒波はそのスペースセンターからさほど離れていな低所得層が多く居住する地域では元々パンデミックで職を失う人が多い中で、地域の配電網や水道網がダメージを受け非常に厳しい生活を強いられている。例えば、蛇口をひねると黒い泥水が出てくる状況がいまだ継続し、復旧が遅れている。直接の原因は寒波であるものの、根本的な原因に老朽化するインフラがある。その状況を、アイゼンハワー大統領が建設していったハイウェイ等の「1950年代のままのよう」と表現する人もいる。先進国の中でもなぜアメリカだけがそこまでインフラ整備が遅れているのか、その理由として記事では「米国が公益よりも私益を優先し、社会公正よりも個人主

   

義を重んじ、結果としてインフラの整備というパッとしないけれどもやらねばならない仕事を後回しにし、目立つ、新たな挑戦の方を優先してきたため」であるという。同様に、従来は8年から十数年はかかると言われた新種のワクチンの研究開発から接種までの期間をRNA解析の最新技術であっという間にコロナワクチン接種にこぎつ けた医療最先進国のアメリカだが、新型コロナウィルス感染症で亡くなったアメリカ人の数の全世界における割合は20%と、アメリカの人口の世界比率(4%)を大 幅に上回る悲惨なヘルスケアデバイドの状況にある。 

 

実際、コロナ前の2019年の時点で、メディケアを受ける権利のある65歳以上やメディケイド対象の貧困層を除くアメリカ国民のうち2890万人もの人が健康保険を持たない状況にあり、病院を避けている。また、アメリカのデジタルデバイドのひどさを象徴するシーンとして、自宅にインターネット接続環境の無い子供たちが、近所のメキシカンファーストフードチェーンのタコベルのすぐ外で、フリーWi-Fiの電波を拾って宿題をしている写真が全米に広まっている。

   

その場所はカリフォルニア州のSalinasという市で、シリコンバレーからそれほど離れていない場所にあることから、両者の格差を象徴する絵柄となっている。カリフォルニア州は連邦政府の予算を待たず、自らの予算で低所得・貧困世帯へのブロードバンドインフラ設置を進めつつあるが、全米で同様の格差が実在している。 2分に1つ給水本管がアメリカのどこかで壊れているという状況だが、一方で、人種の居住地域ごとにインフラの優劣がはっきりしていることも厳然とした事実で、バ イデン大統領はその事実に目を背けずインフラの公平化を強く打ち出している。  

   

本来、インフラ整備は超党派で進めやすい政策課題と言われているが、実際には実現できていない過去の政権の教訓をどのように生かしていくのかバイデン大統領の手 法が注目される。

   

2.リベラルなアジェンダを推進するバイデン大統領と中間選挙の行方

 

バイデン政権が議会に求めた総額1.9兆ドルものパンデミック救済法案は議会で可決され、バイデン大統領の署名をもって法制化された。党派での賛否分裂を残した格好だが、中道から左派まで振れ幅の大きい民主党内が今回は一丸となって投票した結果、弱者直接救済を主眼としたリベラルな法案を民主党内の中道の象徴であったバイデン大統領が実現した格好となった。 

   

昨年、バイデンと民主党大統領候補の立場を競ったバーニー・サンダース上院議員は、先月ホワイトハウスにバイデン大統領を訪ねた後、記者団に対し、「大恐慌に直 面したフランクリンDルーズベルト大統領のように、バイデン大統領はこの国が一連の未曾有の危機に直面していると理解している。 バイデン政権はこれらの危 機に対し、小出しではなく、ルーズベルト大統領のように大きく構想して、かつてないような方法で対応することでこそ歴史に名を残せる。その点で、バイデン大統領は非常に幸先の良いスタートを切っている」と語っている。 

   

このパンデミック救済法に続くリベラルなアジェンダとして、「最低賃金時給15ドル化」、「不法移民に市民権獲得のための8年の予備在留資格の付与」、「個人の武器購入の制限」、「有権者の投票の簡素化」、「クリーンエネルギー分野で1千万人の雇用創出」にバイデン政権は取り組もうとしている。このバイデン政権の動きに対し、民主党のリベラルサイドは歓迎であるものの、中道派は不安を隠せない。 

   

というのも、来年には中間選挙を控え、これらのリベラルな実績は共和党対立候補による攻撃の格好の餌食となるため。 特に移民政策は国民の関心も高く、かつトランプ政権の移民政策の評価は他の政策に比べ高かったことから移民政策が共和党勝利の重要な争点の1つとなり得る。 バイデンは就任早々トランプ政権の政策を転換、ムスリム人口の多い国からの入国制限の撤廃やメキシコとの国境の壁建築予算の無効化を行っているが、今後は前

述の不法移民対応やその子供たちの取り扱いが議会での争点となる。 

   

一方、元来超党派で進められるべきアジェンダのインフラ整備もバイデンの次の政策ターゲットとなっている。ただ、その財源をPPPなどを通じ民間からねん出しようとしたトランプ政権に対し、バイデン政権が富裕層増税から得ようとするとなると党派対立が予想される。バイデン政権にとってはインフラとみなされないメキシコとの国境の壁の周辺に、今、過去20年で最大規模の流民が集結し、国土安全保障省が警報を出してい る中、政権の対応が注目される。

   

3. 東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の最新レポートを弊社にてダイジェスト版化

   

(1)  中国

   

    *  台湾経済の自由度世界第6

   

    米国のシンクタンクであるヘリテージ財団は、2021年版の「経済自由度指数」を発表した。

   

    これによると、台湾は前年から5つ順位を上げ、統計が始まった1995年以来最高の6位となっている。台湾で国の発展戦略などを担う国家発展委員会は、自由で開かれた経済を推進してきた成果と、汚職撲滅、司法改革などの取り組みが国際社会に評価されたとの見方を示している。

   

尚、この調査は、「法制度」、「政府の規模」、「規制の効率」、「市場の開放」の4つのカテゴリー、計12項目を採点評価するもので、今回は184カ国・地

 域が対象となり、上位5位はシンガポールを筆頭に、ニュージーランド、オーストラリア、スイス、アイルランドとなっている。 因みに、日本は23位、韓国は24位、中国は107位で、香港、マカオは、中国政府の管理下にあるとして対象から除外されている。 台湾の総合得点は78.6点(前年対比1.5ポイント増)となり、世界平均(61.6点)、アジア太平洋地域平均(60.2点)のいずれも上回っている。

 

 

    *  経済好調を背景に不動産バブルを抑制する中国政府

   

    中国政府は、「中国国内の不動産バブル抑制」に注力し始めていると見ている。 こうした中、不動産開発業者のチャイナフォーチュンランドデベロップメント(*)は債務履行の為に動いたものの5億3,000万米ドル相当の債券のデフォルトを起こした。  

 

これは、中国での一連の企業の流動性資金危機の最新の事態であるが、中国国内では、中国政府が企業をすべからく救済するのではなく、必要に応じて淘汰させようとしているようにしていると見られ、政策変更が起こっている可能性も示唆されている。

   

*)China Fortune Land Development Co.Ltd.は、北京に本拠を置き、Wang Wenxueが率いる工業団地を中

    心とする中国本土の不動産開発会社である。

   

中国経済を全体的に見ると、2020年10~12月期の実質国内総生産(GDP)成長率は前年同期対比でプラス6.5%と、2020年7~9月期の同プラス4.9%から成長が加速し、景気回復が進んでいることを印象付け、2020年通年の実質GDP成長率も前年対比プラス2.3%と、経済大国の中では唯一となるプラス成長を維持している。

   

そして、世界全体ではGDPが新型コロナウイルス発生前の水準に回復するのが2021年の後半と見込まれる中、中国は世界の主要国に先駆けて既に2020年4~6月期には回復トレンドを価値実にするとも見られている。こうしたマクロ経済の良さを背景として、中国本土政府は、不動産、金融バブルをここで一気に沈静化し、安定成長に誘導していこうともしていると見られている。

   

そして中国の金融情報サービス会社Windによると、中国の国有企業及び民間企業が発行した社債のうち、2020年に債務不履行(デフォルト)となった銘柄件数は150件、金額は1,697億人民元と、2019年の1,495億人民元を上回り過去最高額となっており、国有大手のデフォルトも目立っており、懸念の声も見られているが、バブルのガス抜きを中国政府が意図的に誘導しているとの見方もある。

   

    

   

(2) 韓国/北朝鮮

   

    *  特殊出生率0.84で人口減少が加速する韓国 

韓国は2020年、韓国政府予想より9年早く、人口減少に転じ始めている。

即ち、同年の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産むと見込まれる子どもの数)は0.84となり、1970年の統計開始以来、最も低い水準となっている。 経済協力開発機構(OECD)加盟37カ国のうち1を下回っているのは韓国だけであり、日本の1.36(2019年)と比べても大幅に低い水準となっている。

   

韓国経済の成長力の低下はこうした人口統計からも推測される状況となっている。

   

 *  5GビジネスのXP(拡張現実)アライアンス

韓国有数企業の一つであるLGユープラスを中心に結成した5G(第5世代移動通信)コンテンツ連合体である「XR(拡張現実)アライアンス」に、米国、フラン ス、台湾のトップクラスの移動通信会社が強い関心を示している。 XRは5G時代の核心コンテンツと呼ばれるVR(バーチャルリアリティ)、AR(拡張現実)、MR(複合現実感)と、将来的に登場する新技術まで包括する用語と言われている。

   

世界中のキャリアは、キラーコンテンツになることがあるXRコンテンツ、サービスを確保する為に競争を激化している。

   

    

   

  *  ベトナム最大規模の展示場を運営する韓国貿易協会

韓国貿易協会とKOEXがベトナムに最大規模展示場を運営することとなった。

即ち、貿易協会とKOEXは、ベトナム投資開発公社ベッカメックスと、

「ビンジュン新都市展示場」の運営契約を締結したと発表している。

この展示場は、ベトナム政府主導で2月に完成され、3月開館したものであり、延べ面積(2万2,000平方メートル)は、ソウルのKOEXの半分の規模となる。展示場が入ったビンズオン省は、ホーチミン市近所南部主要経済区に位置し、3,200社のグローバル企業と800社以上の韓国企業が入居した最大規模の産業都市でもある。

 

 

    [主要経済指標]

   

    1.    為替市場動向

   

    韓国:1米ドル/1,135.25(前週対比-5,85)

   

    台湾:1米ドル/28.22ニュー台湾ドル(前週対比-0.27)

   

    日本:1米ドル/109.06円(前週対比-0.55)

   

    中国:1米ドル/6.5027人民元(前週対比-0.0139)

   

    

   

    2.    株式動向

   

    韓国(ソウル総合指数):3,026.26(前週対比+13.31)

   

    台湾(台北加権指数):15,855.23(前週対比-98.57)

   

    日本(日経平均指数):28,864.32(前週対比-101.69)

   

    中国(上海B):3,501.987(前週対比-7.093)

   

    

   

    4.「寺島実郎の世界を知る力」321日(日)TOKYO MX1にて午前11時放映

 

 

    ()寺島文庫・GIN総合研究所から寺島実郎さんのメディア登場のご案内を下記の通り頂きましたので皆様に共有させていただきます。

 

 

    お世話になっております。

    寺島実郎のメディア出演情報をお知らせ致します。

   

 

    TOKYO MX1「寺島実郎の世界を知る力」

   

    第6回目放送:321日(日)午前11時~

   

    番組前半では、進む日本の埋没と「アジアの世紀」の現実化についての寺島独自の分析に加え、

   

    3.11から10年を迎えた復興の実情と防災力を高める産業構造への転換の必要性について、語ります。

   

    (一財)日本総合研究所が窓口となり、同じ問題意識を持つ企業や団体が参画する「医療・防災産業創生協議会」についても触れます。

   

    

   

    後半では、21世紀の日本における最大の課題ともいえる「中国とどう向き合っていくか」というテーマの集大成といたしまして、尖閣問題を取りあげます。

日本が外交的解決に向けて、どのように段階を踏んでいくべきか等、近現代史における日米中トライアングルの視点から、寺島ならではの広く、深い視座で踏み込みます。ぜひご視聴ください。さらに、これまでの第1回~第5回までの放送につきまして、おかげさまでYoutubeでの再生回数が合計50万回以上となり、日本国内にとどまらず海外在住の方にもご視聴頂き、大変多くの反響を頂いております。ぜひ皆様のネットワークご関係者へ、引き続きお知らせ頂ければ幸いに存じます。

 

 

    5. 日米女子サッカー友好バーチャルイベント We have the spirit!明日開催

   

    駐米日本大使館主催の掲題オンラインイベントの情報を、同イベントの企画運営母体のワシントンコア社から入手しましたので共有させていただきます。

   

    明日の土曜日朝8時開始ですのでご興味のある方は下記の登録リンクから必要情報の入力をお願いします。 登録は無料です。

   

     <https://wehavethespirit.com/ja/> https://wehavethespirit.com/ja/ 

   

    イベントの詳細は添付フライヤーをご参照ください。

   

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