米国情報アーカイブ

米国情報
9月の米国情報を送らせていただきます。 テーマは「米国における企業の非財務価値向上と開示に向けた政府の政策動向、企業の取り組みと今後の展望」です。 従来の印象では投資ファンドは気候変動や人権、ダイバーシティや社会貢献といった直接利益と関係ないと見られる分野での活動まで企業の活動情報開示を求め評価して投資するというリベラルな方向に進んでいるイメージがありました。 それが昨今はフロリダ州など保守系の州を中心にそういったESG情報重視型ファンドを排除する動きが顕著になってきています。 背景にトランプ共和党の人種問題のとらえ方や世代間ギャップがあるようです。 人口動態的にはいずれ白人がマイノリティになっていくことへの危機感、一方でシニアの方は2050年を過ぎても白人のマジョリティが続き共和党を支える基盤が続くこともあります(若年層は既に白人はマイノリティ)。 もう1つ共和党の強気の背景に、リベラルなテーマで規制や情報開示を民主党政権が求めても、州の訴訟で最終的に最高裁でひっくり返せるという自信があるからでしょう。  なにせ6対3で保守判事が圧倒的に多い現在の最高裁ですから。
米国情報8月
テーマは「米国における重要インフラ(電力・水・通信など)の災害対応・防衛(サイバー・物理的防衛)を巡る政策動向と、インフラ関連企業に求められる規制対応の展望」です。ハリケーンや竜巻、山火事などの自然災害による米国内の損害規模は別紙2の通り急増中です。同様にコロニアルパイプラインへのランサムウェア攻撃に象徴される米国内インフラへのサイバーアタックの被害も増えています。気候変動に関しては協力し合うべき中国がサイバーアタックでは最重要脅威となっており、その点で米国内のインフラ防護は今や軍事施設のような安全保障対象に位置付けられています。 グローバルにはアメリカは中露北イランなど専制主義国に対抗し、自由・人権・民主主義というソフトインフラとハードインフラを世界に広げていくことを重視し、中国の一帯一路に対抗する「G7グローバル・インフラ投資パートナーシップ(PGII)」を推進中です。 以上の動きは超党派ですが、企業に対するインシデント報告の義務付けなどの規制についてのあり方については企業の負荷も高いため、議会でも議論がなされています。

米国情報7月
タイトルは「米国によるAI(生成 AI 含む)推進政策・企業の対応・取り組みと、倫理的課題などをめぐる検討動向」です。てっきり2045年ころのシンギュラリティとやらに向けてAIもゆっくり進化しているのかと思いましたが、実際は昨年11月のChatGPTリリースで一気に人間を知的に超えるAIの現実感と加速感をもたらしています。アメリカのイノベーションの一端を担ってきた米軍の国防先端研究プロジェクト局は半世紀以上AIへの投資を行っており、2018年にも2千億円を超える投資を行っているようで、生成AIがもたらす新たなパラダイムに対する軍事的な準備に抜かりはないようです。 米国の産官学は個人情報や知的所有権侵害から偽情報問題まで様々なリスクの問題でブレーキを踏むふりをしながら、その実、対中国など地政学的にもビジネス的にも米国の優位を大幅に増すパラダイムシフトのチャンスととらえ、その戦略化に余念がありません。AI規制を求めた全米映画俳優協会や脚本家協会のストが続いていますが、現在の米国のタイトな労働市場と流動性の高さを見ると、「AIに雇用が奪われる」という危機感よりはまだ処遇交渉の段階のようです。
米国情報6月号
●米国におけるサーキュラー・エコノミー(循環型経済)を巡る政策動向と今後の 展望 はじめに  米国の循環経済の話題は、プラスチックごみの海洋投棄問題などが大きく取り上げられた際にはプラスチック製品を紙や木製素材に切り替えるといった企業努力がメディアを賑わしたが、最近の話題ではやはりサプライチェーンのレジリアンス確保のニーズからサーキュラーエコノミーを求める政治的な動きが目立つ。  循環経済に関わる米国の官民の動向を時系列的に調べ、考察してみた。

米国情報4月号
今月の米国情報を送らせて頂きます。 タイトルは「米国におけるデータガバナンスを巡る政策動向と産業界への影響」です。 インターネットやGPSといったアメリカがしつらえたネットワークインフラを世界中が利用して「個人データ」が生じるようになりました。...
米国情報2023年3月
● 米国 におけるウクライナ危機1年を経た各種影響・対応の回顧と今後の見通し (経済・財政、通商、対露外交姿勢、国内世論の動向など) はじめに  昨年2月24日のロシアによるウクライナ侵攻から1年を通じてのサプライチェーンを含めた経済や通商への影響と、軍事支援に伴う財政への影響、対露制裁を含めた西側諸国との外交連携の状況、そしていわゆる「支援疲れ」の有無の状況などについての調査結果を提示しつつ、バイデン政権としての今後の見通し、目算について考察する。

米国情報2023年2月
今月の米国情報をお届けします。 今月のテーマは『米国による 半導体・ EV などの自国育成と同盟国連携( CHIPS 科学法など)・対中技術管理措置を巡る動向』です。 元々米国防省のDARPAという研究機関が開発した集積回路がICとなって民間にスピンオフし、産業のコメとなって電気製品を支え、さらには90年代初頭の冷戦構造崩壊に伴うヒトモノカネ情報技術のグローバルな流れが加速し、クリントン政権による中国のWTO取り込み、ファクトリーチャイナ化を通じたオフショアリングなどいわゆるグローバル化が進み、半導体のサプライチェーンも米国から遠く台湾にまでストレッチしていました。 それが今回のパンデミックや、米国への敵対意識を隠さない習近平政権の存在から経済安全保障の名の下でブロック経済の方に緊縮しつつあることご承知の通りです。 半導体のデザインを山の頂点として、AIやIoTなど半導体の適用を河口とするサプライチェーンの川の流れを自国内や同盟・友好国内に限定し、中国の支流とは交わらないというバイデンの政策は、こと半導体に関しては、米国がデザイン力や開発力を持つ限りある程度勝算はあるのでしょうが、EV
2023年米国情報アーカイブ
1月の米国情報をお届けいたします。 タイトルは「米国による、エネルギー安全保障を見据えた中東関係(湾岸協力会議(GCC)を中心に)を巡る動向と今後の展望」です。...

2022年12月米国情報アーカイブ
「政治」では来年早い段階でバイデン大統領が再選出馬の意思表明を行うのが一つのイベントでしょう。トランプは今年11月15日にさっさと出馬表明をして、現役時代に機密情報を別荘まで持ち出した疑惑などを司法省が訴追することをけん制しようとしましたが、同省はさっさとジャック・スミスという特別検察官を任命、“大統領候補”に配慮しない姿勢を示しました。来年の共和党サイドのイベントはトランプ以外の立候補者の動向です。