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日賑グローバルニュースレター#316

1.生成AIで歴史上の人物と対話

 

生成AIが様々な分野に進出し始めている米国で、学校の授業で歴史上の人物とチャットで対話することを可能とするシミュレーションツールが実証実験を行っている様子をワシントンポストが特集した。

オンライン教育プロバイダーのKhan Academyは生成AIChat4技術を基にKhanmigoという学習ツールを開発、学校教育で取り上げている過去の歴史的著名人をシミュレーションで再現し、生徒がチャットでライブインタビューすることを可能にするサービスを提供することを目指しており、現在いくつかの学校と数千人のボランティアにより利用試験の最中にある。

現時点でも、ベンジャミン・フランクリンについての試験授業を行った教師は、Khanmigoを使うことで「ベンジャミン・フランクリンに何を尋ねるか」を生徒に考えさせることがとても良い教育になっていると熱く語っているという。

ワシントンポストの記者がこのKhanmigoの実証モデルでシミュレートした19世紀後半の黒人女性活動家ハリエット・タブマン・デイヴィスというアメリカ合衆国の元黒人奴隷、奴隷解放運動家、女性解放運動家とのインタビューを試みた

その一言一句のやり取りは省略するが、Khanmigoによる受け答えは極めて自然で、同記者曰く、学校で学んできたハリエット・タブマン・デイヴィスの宗教性や粘り強さ、信仰心、勇気といったものが生の人間として感じられたという。 

一方で、ウィキペディア的な情報の受け売り的返事もあった。

また、人種問題など今日の政治問題と関連付けた質問に対しては「私はAIによるシミュレーションなので本人の生きた時代に関することは答えられるが、それ以降のことについては答えられない」と回答した。

ただ、驚くべきは、質問する記者に対し、逆に質問を返したり、「~のときは怖かったですか?」という感情に関する記者からの質問に対しても、説得力のある理由をつけて「~により怖さを乗り越えて行動した」と本人の感情を的確に表現していた「人間的」対応である。 

それでも不正確な内容が出て来ることもあり、まだまだ完成には時間がかかるようである。 

聖徳太子や、信長、秀吉、家康、西郷隆盛などの偉人とリアルにチャットできる時代が近づいている。

 

2.マリファナを吸うアメリカの高齢者の増大

 

アメリカで団塊の世代が現役をリタイアする時期を迎え、そのマリファナ利用の割合が増えている様子をワシントンポストが伝えている。 

ベビーブーマーと言われる彼らの一番若い年代が20歳となった1984年の頃に、若者(18歳~29歳)のマリファナ利用者の割合は約30%であった。 

因みに2020年の調査では、今の若者のマリファナ利用は33%となっている。 

常習に限らずマリファナを吸ったことのある人は米国全体では49.1%となっている。  

団塊の世代より前の沈黙の世代(1920年代後半から1940年代前半生まれ)は若いころからマリファナを試すことは無かったことから年老いてからも吸うことはほとんどないが、団塊の世代は、彼らが14歳から32歳の頃の1978年に大ヒットしたUp in Smokeというバンド結成の資金稼ぎのために、マリファナ探しをする2人組が繰りひろげる珍騒動の映画シリーズの影響が強いという。 

加えて、医師の処方に基づきマリファナを吸うことが合法化されて以降のシニアの人々のマリファナ利用率が倍増した。 

それに対し、若者は合法化と関係なくブラックマーケットと繋がっているので、利用率は特に変わっていない。  

リタイアメントエージを迎え、時間と金に余裕があり、法に触れる疚しさもなくなってきたことが団塊の世代のマリファナ利用急増につながっているようである。 

さらに、高齢者が抱える不眠や不安への対応や、ペインリリーフ(鎮痛)としての利用も多い。 

一方でマリファナ中毒に至らなくても、その常習で何らかの障害を感じている人も5人に一人の割合でいるという。 

マリファナを吸ったことのある割合を人種で見ると、白人とネイティブアメリカ人の割合が最も高く、次いで黒人となり、ヒスパニックとアジア系は最低となっている。 

州別では首都ワシントンDCが最高で、バーモント州、オレゴン州、アラスカ州と続き、ユタ州やテキサス州が最低となっている。

これは多分にリベラルな州か保守的な州かの違いで、州法としてマリファナを合法化しているかどうかに関わっている。 

日本の団塊の世代はアメリカより幅が狭く今年後期高齢者となられる世代が中心の数年間であるが、お酒を飲むことはあっても麻薬とは無縁の健康なときを過ごされているイメージがあります。

 

3. 東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の最新レポートを弊社にてダイジェスト版化

 

(1)  中国・台湾

l  中露海軍合同演習

中国のマスコミ報道によると、ロシア太平洋艦隊(司令部ウラジオストク)に所属するフリゲート艦である「グロームキイ」と「ソベルシェーンヌイ」が上海に入港している。

両艦は寄港中に中国海軍と合同演習を行っている。

また、上海入港に先立って、台湾と沖縄の近海を航行しており、日台に対する牽制を行っている。

こうした中露の動きに、台湾としても神経を尖らせている。

 

l  デフレ傾向が見える中国経済

米国経済が予想以上に堅調に推移していると見られる一方、中国経済は予想よりも回復が遅れているのではないかとの見方が出ている。

中国本土経済は、外需環境が回復せぬ中、予想以上に国内の需要が戻ってきておらず、最近では、こうした需要不振により、「デフレ渋滞」に陥っているのではないかとの見方も出始めている。

生産者物価上昇率は既に9カ月目マイナスを記録中であり、消費者物価もマイナス傾向を示してきている。

米国、ヨーロッパなど主要国がインフレと戦う中、中国は正反対にデフレ懸念が出ているとの見方である。の道を歩いている。

デフレは中国の景気後退の深化を誘引する危険性があり、通貨・人民元の米ドルに対する価値もさらに下落する危険性がある。

人民元安が長びけば、中国本土への外国人投資が減り、中国本土からの資金流出が起こり、世界2位の中国本土経済がより深い低迷に陥る危険性も出てくる。

また、これが世界経済の新たな不安要因、不安定要因に繋がる危険性もある。

 

(2)  韓国/北朝鮮

 

l  限韓令の影響を受ける在中韓国企業

韓国国内では、中韓関係を背景として、中国は「限韓令(韓流禁止令)」を展開していると見る向きがあるが、実際に2016年以降、韓国の大企業が中国に置いた生産現地法人46社の撤退(売却・清算)を決断、その影響で中国法人の売り上げが約13%減少したとの見方を強めている。

特に、現代自動車の中国本土法人の売り上げは76%も減少していると見られている。

こうした見方はね企業データ研究業者のCEOスコアが、韓国500大企業のうち、中国本土生産子会社の業績を開示している113社を対象にして調べた結果として発表しているものであり、中国生産子会社による昨年の売上高は111兆424億ウォンと、2016年の127兆7,292億ウォンに比べて13.1%減少したとしている。

最近は電池市場が急成長し、やや持ち直してはいるものの、事態は深刻である。

 

l  6か月連続トップの訪韓日本人

韓国観光公社によると、本年1~5月に韓国を訪れた日本人観光客は約66万6,000人に達し、訪韓外国人客全体の19.2%で、最も大きい割合を占めたと報告されている。

前年同期に比べると58倍以上の増加で、新型コロナウイルス禍前の2019年1~5月の48.5%水準となっている。

日本からの観光客数は昨年12月に月間の訪韓観光客統計で国別1位に浮上し、そこから6カ月連続してトップとなっている。

1~5月に韓国を訪れた日本人観光客のうち、客室乗務員などを除く約66万3000人を性別に見ると、男性が34.2%、女性が65.7%とにり、女性が男性の1.9となっている。

特に、21~30歳の若い女性が約18万3000人と、性別、年代別のいずれも最も高い割合(27.6%)を占めている。

 

l  米国に於ける輸入エコカートップとなった韓国車

韓国のシンクタンクである産業研究院は、韓国貿易協会の統計を分析した結果として、本年1~3月の米国のエコカー輸入額のうち韓国車が21億3,000万米ドルとなり、最も多かったと報告している。

以下、日本(18億8,000万米ドル)、ドイツ(15億4,000万米ドル)、カナダ(12億米ドル)、英国(4億3,000万米ドル)の順となっている。

韓国は2020年まで米国のエコカー輸入ランキングで4位であったが、2021年には2位と2ランク上昇し昨年から首位となっている。

 

[主要経済指標]

1.    対米ドル為替相場

韓国:1米ドル/1,268.31(前週対比+34.25)

台湾:1米ドル/30.96ニュー台湾ドル(前週対比+0.32)

日本:1米ドル/ 138.67(前週対比+4.12)

中国本土:1米ドル/7.1403人民元(前週対比+0.0893)

 

2.      株式動向

韓国(ソウル総合指数):2,628.30(前週対比+101.59)

台湾(台北加権指数):17,283.71(前週対比+619.50)

日本(日経平均指数):32,391.26(前週対比+2.84)

中国本土(上海B):3,237.701(前週対比+41.092)

 

4.イスラエルセミナーのご案内

 

日本とイスラエルのハイテクビジネスの懸け橋となっている株式会社ミリオンステップスから下記のセミナーの案内を得ましたので共有いたします。

 

CalcalistCEONoa Tamirからも以下記事にて発表された通り、11月に、日本企業向けにイスラエル現地でのカンファレンス+視察ツアーを開催することになりました。

https://www.calcalistech.com/ctechnews/article/skb00hsxl3

 

現在は以下の予定で計画中です。

・日程:1124日〜1130日(羽田発着)

・予算:およそ100万円程度(渡航費、宿泊費込)

・内容:

①日本企業向けカンファレンス

スタートアップ、VC、イスラエルイノベーションエコシステムのキープレイヤーからのプレゼン+交流会+B2Bミーティング等

②視察ツアー

スタートアップのオフィス訪問、インキュベータやリサーチセンター、政府機関等への訪問、市内視察(カルチャー体験)

本企画はCalcalistと、我々ミリオンステップスがタッグを組み、企画しています。

ミリオンステップスではこれまで6年以上、イスラエルと日本間のビジネスに日本企業側から携わってきました。

日本企業の皆さんがイスラエルに期待すること、知りたいことなどを知り尽くしたスペシャリストチームが、参加者の方々に満足いただけるよう、Calcalistや他パートナーとコンテンツ設計を進めています。

もし、興味を持っていただけましたら、ぜひ一度ご意見などお伺いできると嬉しいです。