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#14 社員とのウィンーウィンの関係づくり(リンクトイン創業者リード・ホフマン著『ALLIANCE』(ダイアモンド社)より

#14 社員とのウィンーウィンの関係づくり(リンクトイン創業者リード・ホフマン著『ALLIANCE』(ダイアモンド社)より

 

前回、社員と会社のベクトルの揃え方に関し、会社が社員に対し、会社のベクトルを如何に分かりやすく社員に示すかについて会社のベクトルの示し方のお話と、幹部やマネジャーが会社の価値観をはっきり言葉で説明できることの重要性に触れました。 

一方、社員については、価値観も様々で、どこに自分の「成長」のベクトルを見出すかは時間の経過によっても変化し、そこに上司とのコミュニケーションを通じたベクトル合わせの必要性があるとしました。

今回は、そのコミュニケーションのあり方についてのホフマン氏のアドバイスをご紹介します。

まず、直属の部下とは「一人ずつ一対一で面談し、部下にとっての核となる価値観と、理想の姿を明らかにし、その価値観と会社の価値観がどう揃いそうかを話し合う。彼らの価値観とありたい姿を「なんとなくの手がかり」から「明確なポイント」へと転換する必要はある。部下の目標を知らないマネジャーに、どうして変革型コミットメント期間を設計することが出来ようか?」と語ります。

次にそのコミュニケーションの皮切り、いわゆるアイスブレークとしてユニークな問いかけの例を挙げています。 それは、「今までで最高の同僚はどんな人でしたか?」とか「どんな瞬間に自分のキャリアを最も誇らしく思いますか?」といったもので、即答はできないものの誰でも思い出せば心当たりのありそうな切り口から応えさせ、心理的な距離感を縮めることを勧めています。

また、同じシリコンバレーにあって金融ソフトウェアを専門とするアメリカのビジネスソフトウェア会社のインテュイットでは個人面接時に「3分から5分で今までの人生をざっと語り、どのように今の自分になったのかを教えてください。その中で、あなたがどんな人で、どのようにビジネスやリーダーシップに取り組むのか、私たちが理解する手掛かりとなるような大事な瞬間に触れてください。たとえば、いじめや愛する人の死、大きな選択を間違えたときなどの逆境にどう対処したかといったことです」というなかなかディープな問いかけから始める例を著書の中で紹介している。

そしてこの問いかけの手法のポイントは、まず質問者が自分の話をして、面接者に実例を見せると同時に、もろさをさらけ出してもいいのだというお手本を示すことと語っています。

他人に弱みをさらけ出すことはキャリアカウンセリングであっても日本では抵抗があるかもしれませんが、その辺りの心理的バリアを最初にどう乗り越えるかがこのベクトル合わせのコミュニケーションの最大のポイントの1つと感じます。

 

 

つづく