日賑グローバル・ニュースレター国内版(第305号)
1. “フェイクニュース”との付き合いを再開した議会共和党
2. 平時でも恐ろしい核兵器の力
3. 東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の最新レポートを弊社にてダイジェスト版化
4. 中東フリーランサー報告18
5. 弊社ホームページが変わりました
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1.“フェイクニュース”との付き合いを再開した議会共和党
議会共和党幹部が今年に入ってメディアに対するアプローチを大きく変えたように見える様子をワシントンポストが伝えた。
トランプ前大統領はテレビではCNNやABC、CBS、NBCといったフォックスニュース以外の放送局を、新聞ではワシントンポスやニューヨークタイムズを“フェイクニュース”と称し、トランプ氏個人とトランプ前政権に関し正しい報道がなされていないと主張してきた。
その結果、議会共和党の議員たちもそうした伝統的メディアとは距離を置き、特に毎週日曜日の政治討論番組にはトランプに造反したリズ・チェイニー前下院議員のような例外を除き、出演していなかった。
共和党議員の一部は、それは議員側が出演拒否したのではなく、テレビ局側が出演依頼を彼らにしなかったためだと考えていたという。
というのも2021年1月6日のトランプ支持者による連邦議会襲撃事件の後に行われたバイデン大統領の勝利を認証するかどうかの投票でそれらの議員がバイデン勝利の認証を認めない投票をしたため。
ただし、その点についてはCNN、NBCはじめ政治討論番組のアンカーを務める人々がその投票をした議員を番組でどう取り扱うべきか公開で議論し、そうした出演拒絶はしないことにしていると語っている。
いずれにせよ出演したとしてもその問題の投票のことが問われると感じてか、共和党議員の出演がここ数年は全くなかった。
それが今年に入って1月28日に放映された各局の日曜討論会に5人以上の共和党現職下院議員やケビン・マッカーシー新下院議長が出演していた。
1月全体ではのべ24人もの共和党議員が出演したという。
この共和党の動きに対し、トランプに近い人々は不満なようである。
その意味で、トランプ前大統領の影響力の低下と見る向きもあるが、やはり久しぶりに与党に返り咲いた下院共和党が委員長を占める予算や監察の委員会で自らの政策を押し通し、またバイデン大統領の次男のハンター・バイデンの資金疑惑の追及など進めるにあたり世論に訴求していくためにメインストーリーメディアへの露出の必要性を強く感じているということなのであろう。
ただ、日本ではニュースをテレビや新聞に頼らずネットで仕入れがちなZ世代が投票のボリュームゾーンとなっていくアメリカにおいて、どこまで伝統的なテレビのしかも日曜午前の政治討論が彼らに見てもらえるのかは疑問の残るところではある。
2.平時でも恐ろしい核兵器の力
ウクライナ侵攻が思ったように進まないことに業を煮やしたロシアのプーチン大統領が戦術核を使用するのではないかという懸念や、アメリカ本土までも射程に入れる北朝鮮のICBMに迎撃困難な核弾頭が搭載されているという専門家の話もある。
また、中国が急速に中距離核ミサイルを増やすという話や、イランの核武装の動きと、それを許すまじとイスラエルが攻撃を準備しているという話も聞かれる。
こうした核兵器に対する世界の動きに、人類の最終時計は残り30秒にまで縮まったとの報道もあった。
そんな中、有事に備えて地下のサイロでICBMなどの核兵器の管理を行い、大統領から「発射」の命を受ければ直接発射ボタンを押す米宇宙軍(前空軍)の士官が悪性リンパ腫のがんで若くして亡くなっているというショッキングなニュースがワシントンポストに掲載されていた。
場所はモンタナ州にあるマルムストローム空軍基地にある地下サイロのICBM管理センターである。
過去約50年の勤務者の中で30人ものがん発症例があるという。
その内14人が悪性リンパ腫(非ホジキンリンパ腫)で、その殆どが30代から40代であり、既に4名が亡くなっている。
アメリカでこのがんの発症平均年齢は67歳であることから、軍幹部もラドンなどの放射性物質との因果関係の調査に入っている。
亡くなった士官の一人は37歳で、未亡人が語るには本人は極めて健康的で運動や食事の内容にも気を遣っていて病気らしい病気を患ったこともなかったという。
調査の結果、このマルムストローム空軍基地固有の問題か、あるいはICBM自身の保管環境に広く共通の問題なのかが判明するであろうが、後者の場合にはアメリカの核戦略を支えるICBMの管理に関わることだけに慎重な対応が求められることになる。 もちろん軍関係者の士気にも関わることになる。
最近中国の偵察気球が通過したのもこの基地があるモンタナ州であり、どういったデータを収集していたかは米軍が現在調査中である。
3. 東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の最新レポートを弊社にてダイジェスト版化
(1) 中国・台湾
l 米下院共和党で少しずつ支持者を増やす台湾独立支援決議案
米国のティファニー下院議員(共和党)は、台湾を独立国家として認めるよう米国政府に促す決議案を1月15日に提出したとしている。
この決議案では、台湾の国際機関加盟や米台自由貿易協定交渉の開始にも支持を表明されている。
また、米国大統領が時代遅れの、「一つの中国政策」を放棄し、台湾が中国本土に統治されていない、中国領土の一部ではないといった客観的な事実を認める政策を後押しすべきであるとも訴えている。
尚、2020年と2021年にも同様の決議案を提出したティファニー氏は、提案した議員の数が自身を含め1人か2人に留まった過去2回と違って、今回は18人から賛同を得たとし、
「米国議会で、台湾の重要性を認識する人が増えつつある」ともコメントしている。
l 株価上昇とともにSDGsへの流れを強化するTSMC
旧正月の連休休暇を終えて1月30日に再開した台湾証券市場では、株価が上昇した。
台湾証券市場時価総額の約30%を占めると見られている台湾積体電路製造TSMCの株価がこの日、7.95%上昇したことにより、台湾の加権指数も3.76%上昇したのである。
中華圏の証券市場が旧正月連休で休場中に、米国・ニューヨークをはじめとする主要先進国各国の証券市場が上昇傾向を示していたこともあり、台湾証券市場も上昇したと見られている。
台湾証券市場は昨年10月末以降、じわじわと上昇傾向を示している。
また、そのTSMCは、世界的なSDGsの流れの中、環境的及び社会的に責任のあるオペレーティングモデルの構築につなげたいとして半導体のグリーンサプライチェーンを積極的に確立する為に、サプライヤーと連携して低炭素社会実現に向けて動きたいとしている。
そして、TSMCとしては、例えばSDGsをテーマとしたワークショップの開催や、煩雑な検査工程を見直し、低炭素社会構築の実現に向けた経営努力をしたいとしている。
(2) 韓国/北朝鮮
l 内外で好調な韓国自動車業界業績
現代自動車、起亜自動車、韓国GM、ルノーコリア自動車、双龍自動車の韓国完成車メーカー5社が発表した本年1月の世界販売台数は計60万404台となり、前年同月対比6.6%増加している。
自動車搭載用半導体不足の解消によって生産台数が回復したほか、新車の販売好調が牽引したと分析されている。
内訳を見ると、国内販売は7.1%増の10万523台、海外販売は6.5%増の49万9,881台となっている。
また、1月の販売台数をメーカー別にみると、現代自動車は世界販売台数が8.4%増の30万6,296台となり、国内販売は11.5%増の5万1,503台、海外販売が7.8%増の25万4,793台となった。
昨年11月に韓国で発売した主力大型セダン「グレンジャー」の新型車が9,131台と好調で、国内での最多販売モデルとなっている。
l 輸出好調な韓国車だが、盗難防止策不足が米国で問題化
韓国政府・関税庁が発表した統計によると、2022年の韓国の乗用車輸出額は前年対比15.0%増の490億2,000万米ドルと過去最高を記録している。
車載半導体の需給改善やエコカー需要の拡大、北米や欧州連合(EU)、主要国での需要回復が追い風になったと同庁は説明している。
国別では、米国(29.7%増)、カナダ(8.7%増)、オーストラリア(33.4%増)、英国(16.1%増)、ドイツ(4.0%増)、イスラエル(30.4%増)、サウジアラビア(31.4%増)などへの輸出が前年比で増加した。
一方、フランス(1.8%減)、オランダ(15.7%減)、イタリア(9.4%減)向けは減少した。
一方、韓国の自動車メーカーの盗難防止対策が不十分となり、その結果、米国国内での盗難被害などが増えていることから、米国の一部保険会社が、韓国の現代自動車と起亜自動車の一部モデルに対する保険提供を拒否し始めている。
米国メディアによると、保険会社のプログレッシブとステートファームなどはコロラド州デンバー、ミズーリ州セントルイスなどの都市で盗難防止技術がきちんと適用されていない現代自動車および起亜自動車のモデルに対する保険加入を受け入れていないとしている。
[主要経済指標]
1. 対米ドル為替相場
韓国: 1米ドル/1,230.22(前週対比+4.54)
台湾: 1米ドル/29.71ニュー台湾ドル(前週対比+0.56)
日本: 1米ドル/128.51円(前週対比+1.39)
中国: 1米ドル/6.7935人民元(前週対比-0.0110)
2. 株式動向
韓国(ソウル総合指数): 2,480.40(前週対比-3.62)
台湾(台北加権指数): 15,602.66(前週対比+669.73)
日本(日経平均指数): 27,509.46(前週対比+126.90)
中国(上海B): 3,263.406(前週対比-1.408)
4.中東フリーランサー報告18
三井物産戦略研究所研究員でらっしゃった大橋さんから掲題のレポートを頂戴しましたので共有させていただきます。 大橋さんからは以下のメッセージを頂いております。
正月挨拶にはもう遅すぎますが、今年最初の中東フリーランサー報告をお送りします。引き続きご愛読頂ければ幸甚です。
本稿執筆中に米英独がウクライナに主力戦車の供与を決めました。バイデン大統領は「米欧完全に団結」と豪語していますが、要は自分だけ突出したくないとの気持ちの表れであることはメディアの指摘する通りで、結果としてみんな仲良くウクライナの要求に引き摺られて、軍事支援はエスカレートするばかりです。次はいつ「NATO軍を寄こせ!」になるかが心配です。
そんな中、スウェーデンの極右政治家がコラーンを燃やすと言う愚挙を演じ、エルドアンを激怒させましたが、結果的には来る大統領選に向け「強いエルドアン」の演出に使われている形です。中東だけではないのでしょうが、とにかく暴挙でもなんでも、都合の良いものはなんでも活用すると言うのは、政治の貧困としか思えませんが、これがポピュリズムの行き着くところなのかと思うと寒心に堪えません。
と言うことで、私の新春第一作もいささかお屠蘇気分が抜けていない内容ですが、ご笑覧頂ければと存じます。ご意見・ご批判などを賜れば、また次号への励みになりますのでよろしくお願いします。
大橋誠
5.弊社ホームページが変わりました
先週から弊社のホームページ (http://www.nisshin-global.com/) がリニューアルされ、以前よりは見やすく(?)なったかと思いますのでご笑覧頂ければ幸いです。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。