2023年米国情報アーカイブ

1月の米国情報をお届けいたします。

タイトルは「米国による、エネルギー安全保障を見据えた中東関係(湾岸協力会議(GCC)を中心に)を巡る動向と今後の展望」です。

昨年7月にバイデン大統領がサウジアラビアなどを巡ったのはインフレの原因の一つである原油価格を抑えるためにOPEC+の中心にあるサウジアラビアに供給量を増やすことを依頼することが主目的でした。

レポート本文をお読みいただくとわかる通り、米国は石油(製品)の純輸出国であり、原油であれ、石油であれ、中東への依存度は低く、エネルギー安全保障の観点からは懸念はありません。

原油価格の話も、価格が上がれば、世界最大の産油国のアメリカの企業がもうかる構図で、今回はインフレが激しすぎて政治問題化したことから中間選挙もこれありでジェスチャーとしてバイデンが動いたものの安全保障とは全く無縁の動きといえます。

むしろ中東や欧州から米国の関心がアジア・太平洋に移った間隙を縫って中国が中東に入り込み、地政学的利害を意識した拠点づくりや、ロシアとともに同地域の最大の脅威であるイランと手を組んだり、さらには一帯一路のターゲット市場としての市場への刺さりこみといった現状に対中覇権争いの観点でアメリカの中東に対する懸念が膨らんでいると言えます。

GCC諸国はイラン怖さの用心棒としてのアメリカ頼み、特に兵器供給と軍事協力関係はキープしつつも、イランとの対話さっさと再開するなど外交面で融和を進めています。

一方、アメリカの中東外交の切り口にイスラエルとGCC、北アフリカ諸国の仲介を通じた経済連携があり、いわばイスラエル+の外交となっています。

アブラの切れ目が縁の切れ目と見られがちな中東ですが、エジプトなど含め8億人を超える巨大市場を形成しつつあり、そこにしっかり刺さりこもうとしている中国の方にしたたかな戦略性を感じますね。

 

アメリカにはいまだ9-11以降のアラブ人に対する懸念や敬遠があるのかもしれませんが・・。

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2023年1月 米国情報
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