· 

#13 社員とのウィンーウィンの関係づくり(リンクトイン創業者リード・ホフマン著『ALLIANCE』(ダイアモンド社)より

#13 社員とのウィンーウィンの関係づくり(リンクトイン創業者リード・ホフマン著『ALLIANCE』(ダイアモンド社)より

 

前回、社員と会社のベクトルの揃え方に関し、会社側もまた社員の成長ベクトルの方向を知る努力をするということを著者のホフマン氏やシリコンバレーの企業が行っているとお伝えしました。

今回はまず会社が社員に対し、会社のベクトルを如何に分かりやすく社員に示すかについて会社のベクトルの示し方について語られているので、そこをご紹介します。

ホフマン氏は次のように語ります。

「素晴らしい製品をつくり顧客のニーズに応える」というミッション・ステートメントは実質的に無意味である。そんな抱負はあらゆる企業に当てはまるし、当たり前のことだからだ。

ミッションと価値観を表す優れたステートメントは、一部の有能な人たちに強い整合性を感じさせる一方で、他の人たちには「この会社は自分に合わない」と気づかせるほど十分に具体的かつ厳密でなければならない。その会社や集団に強い整合性を感じられない人々を失うことになるかもしれないが、彼らを失うのは会社にとって「よいこと」だ」

社員から見て、この会社は自分の成長の方向に合っていると入社の段階で、あるいはコミットメント期間終了時にわかるほどに会社の成長ベクトルの方向がある種、個性的で他社と異なる独特な部分を持つ必要があるということでしょう。

その上で、「大切なのは会社の価値観が存在すること、そして、幹部やマネジャーがその価値観をはっきり言葉で説明できること、である。その目的は社員が自身の個人的価値観を会社やチームの価値観と比較できるようにする点にある」とホフマン氏は語ります。

一方、社員については、「自分のキャリアに関する目標や価値観については、人によって具体性のレベルがばらばらだと思っておくといい。少数だが自分が人生に望むことを正確に把握している人もいる。それはいいケースだ。こうした人たちとの会話は比較的簡単だ。そうでない人は、目標やありたい姿といても漠としたものしかない。たいていは、何かの分野で「向上」を目指すといった程度だ。だが、それでかまわない。具体的なコミットメント期間について上司と話し合う中で、そのコミットメント期間における本人の「向上」がなにを差すのか、上司の助けを借りて明らかにすればいい」と語り、コミットメント期間についての上司との話し合いの中で、社員も自分のライフプランやキャリアプランを思い描きながら会社と自分のベクトルを意識していくというパターンがひとつ存在することを示しています。

昨年惜しまれてお亡くなりになった京セラ創業者の稲盛和夫氏は著書で、会社にとって大切なのは社員の能力と情熱、そして努力方向が会社の成長の方向に沿っていることと語られていました。そのベクトルが互いに沿っていないと互いにハッピーではないわけで、この点、ホフマン氏はそうした社員が転職していくことは互いに「よいこと」としています。

 

つづく