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#12 社員とのウィンーウィンの関係づくり(リンクトイン創業者リード・ホフマン著『ALLIANCE』(ダイアモンド社)より

前回、コミットメント期間の3つの類型、すなわち「ローテーション型」「変革型」そして「基盤型」の人事戦略のさらなる詳細として、コミットメント期間終了前後に経営者としてどうするべきかという点で夫々の類型における社員とのコミュニケーションのあり方、姿勢についてのホフマン氏の考え方を紹介しました。

今回は会社と社員のこうした話し合いにおける方向性のすり合わせ、いわゆる「ベクトルを揃える」ことについて本書の提言を紹介したいと思います。

ホフマン氏は次のように語ります。

 

「会社と個人の目標をあらゆる面で完璧に一致させることではない。ある期間、一定の条件の下でのみ、自然な形で両者をそろえる「整合性」を目指そう。整合性を目指すには、「企業の目標と価値観」と「社員のキャリア目標と価値観」との間にある共通点をマネジャーが意識的に考えて明示しなければならない」

 

と、社員のベクトルの方向性を上司が把握し、確認する必要性を強調しています。

さらにホフマン氏は、

 

「全てに整合性を求めなくていい。アライアンスを長続きさせるのに、必要十分な整合性を実現するだけで良い。会社と社員の価値観と将来の展望の整合性を取るのは難しい作業だ。だが、コミットメント期間を導入すれば、整合性が必要となるのは特定の任務が終了するまでの限られた期間となり、整合性にまつわる諸問題を解決可能なレベルまで限定できる」と語り、その「ベクトルを揃える」期間をコミットメント期間に限ることで社員のうつろいやすいキャリアプランに期間を区切って沿って行く現実的なアプローチを提言する。

距離を区切っての「良き伴走者」のイメージです。

一方で、3つの類型ごとに、ベクトル合わせの程度は異なるといいます。すなわち、「ローテーション型の場合、会社の利害と社員の利害が重なる部分は比較的少なくてもいい。変革型の場合、両者の価値観および利害はかなりの重複が必要になる。基板型になると、重複はほとんど100%に近い」と語ります。

 

日本企業の場合、従来は社員の方が会社のベクトルに自らの生活とキャリアプランを重ね合わせることを想定していましたが、社員のキャリアプランにおける選択肢が増えてきている中、会社側が社員の考えを知り、可能な範囲で社員の希望に寄り添うキャリアオプションを提示する柔軟性が少なくともシリコンバレーでは求められているということでしょう。

 

つづく