ニュースレター国内版 2019年・冬(230号)

1.今年で最後となるか? ウーメンズマーチ
2017年のトランプ大統領就任を心情的に受け入れられない女性有権者達が就任式翌日にワシントンDC内を抗議デモの形で練り歩いてから、それが組織化され毎年
恒例のイベントとなったウーメンズマーチが1月18日土曜日に行われた。
単日のデモ動員数としては米国市場最大規模となった初回のマーチが女性差別的言動の大統領に対する感情の表現であったのに対し、今年のそれは一応①気候変動問
題、②移民問題、③女性の出産判断の権利、のテーマを掲げた抗議デモの形をとったが、結局最後は、行進者たちはホワイトハウスの住人に対する抗議の声に集約された
とワシントンポストが報じている。 
ワシントンポストが参加者の声を紹介しているが、その中で初回のデモがトランプ大統領に対する怒りや恐怖、絶望といった負の感情が中心であったものが、今年の抗
議の声には“Hope(希望)”のトーンが感じられるという。 
その希望の根拠がどこにあるのかは語られていないが、この抗議デモが全米はもとより世界中に呼応して拡大していることの手ごたえがその根拠となっているようでも
ある。
「今回でこの行進も終わりね。来年の今頃はトランプはいなくなっているから」と参加者の一人は語る。 
今年の大統領選に向け、何かしなければいけないと思う女性がこのマーチに参加しており、近くに大都市の無いアラバマ州やネブラスカ州など地方から70台以上もの
バスが首都ワシントンDCに集結し、行進に参加したという。
マーチンルーサーキングの偉業を偲ぶ休日の週末と重なったこのウーメンズマーチにおいてキング牧師の息子の妻が演壇に立ち、女性に参政権が与えられてようや
く100年経ったことを思い出しながら、新たな女性の権利向上に向けて立ち上がるべきと主張した。 
丁度先週バージニア州議会が性別にかかわらず平等な権利を認める憲法修正条項(Equal Right Amendment)を批准したので計38州が批准した
ことになり、これを以て憲法修正が効力を発揮したことになる。
民主党大統領候補が誰になろうが女性がこの女性のパワーをどこまで集約できるかが本選での勝敗のカギの1つとなろう。
2. 報道価値の本質を見失い気味の米国メディアと米市民
一応政治にも関心を持つアメリカの普通のニュース消費者にとっての先週のホットなニュースは第7回民主党大統領候補討論会の後にワレン上院議員がサンダース上院
議員が握手のために差し出した手を握らなかったシーンであった。
過去にサンダース議員が「女性では大統領にはなれない」と発言したかしないかという「言った言わない」の争いの象徴のシーンとなったからである。 
全く同時期にMSNBCやCNNにおいてトランプ大統領がウクライナ政府にバイデン候補を調査するよう圧力をかけようとしていた内容や、トランプに反抗的な駐ウ
クライナ米国大使を辞めさせる工作の新たな証拠が明らかにされたにも拘わらず、米国メディアでのそのニュースの取り扱いは冒頭の「言った言わない」の争いのニュー
スと同じ重要度か、それよりも劣るものであることに「民主主義を守る良心であるべきメディアの瀬戸際」との危機感を示すコラムがワシントンポストに掲載された。
このコラムニストによれば、今回明らかになった大統領の作為は少なくとも彼女の報道の価値観からして1974年のウォータゲート事件で民主党本部に潜り込んで犯
行に及んだ連中が、その黒幕はニクソン大統領であると明言してしまうほどのインパクトがあるものであるという。 
ただ、今回の場合、証言者に外国人が何人かいる(ロシアのビジネスマンだの、聞きなれない登場人物が何名も出てくる)ので視聴者には馴染みがなく、把握しにく
い内容であるのも事実。 
2018年のピューリサーチセンターの調査では、アメリカの市民がニュースを得るメディアはいまだにTVがトップで、次いで若者のソーシャルメディアとな
り、じっくりと背景を知ることができる新聞はその地位を失いつつある。 
画面やスマホ上で次から次へと流れる画像を伴うニュースの洪水の中で、政治もショーと化し、エンタメ化しているという。
その恩恵を受けているのがショーマンシップを発揮するトランプ大統領であり、ニュースリテラシーが低く、批判精神が涵養されていない有権者層が彼にとって「おい
しい票田」となっている。 
逆に良質の情報を持ち、状況を知る投票者ほどトランプにとって怖いものはないと政治専門家は語る。
「事の重大性を忙しい読者にわかりやすく伝える工夫こそが求められる」とこのコラムニストは主張する。 
弾劾裁判での判断を求められる共和党上院議員こそ正しく状況を把握し、民主主義の本質に則った投票行動を取ってもらいたいものである。
3. 東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の最新レポートを弊社にてダイジェスト版化
(1)  中国
*  上海市、プラハ市との友好都市関係解消
上海市政府は、チェコの首都プラハ市との友好都市提携を解消したと発表している。
プラハ市は、昨年、台湾・台北市と友好都市提携を締結したが、これに対する報復措置とも見られており、実際に上海市政府は、
「『一つの中国』原則に反した誤った行動である」とプラハ市を厳しく批判してきたことから、こうした状況となったとの見解は正しいのではないかと思われる。
*  台湾に親しみを感じる日本人
台北駐日経済文化代表処が日本人を対象に実施した台湾に対する意識調査によると、日本人回答者の8割弱が台湾に親しみを感じ、6割以上が台湾は信頼できると答え
たと報告されている。
同処は、過去3年間、良好な傾向が続いており、現在の日台関係の発展を評価するとコメントしている。
尚、詳細を見ると、台湾に「親しみを感じる」と回答した日本人は78.1%で過去最多となり、2016年(66.5%)、2017年(69.0%)、201
8年(74.0%)と増加を続けている。
また、親しみを感じる理由で最も多かったのは「台湾人が親切、友好的」(77.6%)であり、次いで「歴史的に交流が長い」(46.0%)、「東日本大震災
時に支援」などとなっている。
(2)韓国/北朝鮮
*  韓国の総人口微増
韓国政府・行政安全部が発表した人口統計によると、2019年末現在の韓国の住民登録人口は5,184万9,861人となり、前年から0.05%(2万3,80
2人)の増加に留まっている。
増加率と増加数は共に2008年の統計開始以来、最低を記録している。
*  現代建設、カタールとシンガポールで大型受注
韓国の現代建設は、中東・カタールとシンガポールで計1兆5,000億ウォン規模の工事を受注したと発表している。
特に、カタール関連のビジネスについて同社は、サッカーの2022年ワールドカップが開かれるカタールに造成中の新都市ルサイルに建設される「プラザタワー」の
プロット(区画)3の工事を6,093億ウォンで受注したと発表し、既に受注したプロット4(6,130億ウォン)と合わせ、計1兆2,000億ウォン規模の工
事を行うことになると説明している。
[主要経済指標]
1.     対米ドル為替相場
韓国:1米ドル/1,159.07(前週対比-0.32)
台湾:1米ドル/29.94ニュー台湾ドル(前週対比+0.03)
日本:1米ドル/110.18円(前週対比-0.55)
中国本土:1米ドル/6.8580人民元(前週対比+0.0651)
2.      株式動向
韓国(ソウル総合指数):2,250.57(前週対比+44.18)
台湾(台北加権指数):12,090.29(前週対比+65.64)
日本(日経平均指数):24,041.26(前週対比+190.69)
中国本土(上海B):3,075.496(前週対比-16.795)
4.外国人材アクセス.comコンテンツのご紹介
新たにアップしたコンテンツをいくつか紹介をさせていただきます。
1.       【動画】(株)バンテック社長、大島徹さんとのインタビュー, YONEYAMA ASKS:
2.       株式会社バンテックについて:https://www.gaikokujinzai-access.com/post/shacho-2-1
3.       バンテックで働く外国人材からのTestimonial:
4.       戦力化支援についてのTestimonial:
5.       戦力化支援について:https://www.gaikokujinzai-access.com/forces-support
5.『2020年生き残りの戦略―世界はこう動く』に拙稿掲載
拙著『知立国家イスラエル』の縁で、拓殖大学教授・海外事情研究所所長の川上高司さんが企画・編集されました著作『2020年生き残りの戦略―世界はこう動く』
(創成社、2020年)に共著で参加させていただきました。 
イスラエルの情勢、見通しについて触れております。
同書は来週書店に並ぶそうですのでチェック頂ければ幸いです。
また、本書出版記念討論会にも参加することとなりましたので万一お時間があればご参加いただければ幸いです。
詳細は下記のリンクの通りです。