ニュースレター国内版 2021年・春(261号)

日賑グローバル・ニュースレター国内版(第261号)

 

1. 中間選挙資金調達をトランプブランドにのみ依存する共和党

2. アジア系アメリカ人女性へのステレオタイプの原因と改善への道

3. 東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の最新レポートを弊社にてダイジェスト版化 

4. 中東フリーランサー報告6

5. 寺島文庫リレー塾のご案内

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1.中間選挙資金調達をトランプブランドにのみ依存する共和党

 

共和党の選挙資金調達力はトランプ前大統領の現役大統領時代に倍増していた。RNC(共和党大会)は2016年の343百万ドルから2020年は890百万ドルへ、全米共和党上院委員会(NRSC)は同じく138百万ドルから338百万ドル、全米共和党下院委員会も同170百万ドルから280百万ドルに大きく増えている。このトランプの集金力は現在もなお続いており、共和党本体が選挙資金集めをトランプブランド力に大いに依存している様子をワシントンポストが報じている。例えば、NRSCは、“まだ私を待っている”といったメッセージとトランプ前大統領のシルエット付きのTシャツや、”トランプ親衛隊“カードの」販売を通じた資金調達、そして”トランプ大統領は上院与党奪回のためあなたを求めている“というメッセージの献金依頼のメッセージを発信している。 

 

共和党のトランプブランドへの便乗があまりに激しいのでトランプの法務チームは上述の3つの共和党組織に対し、前大統領の明白な同意がなければトランプ氏の名前や、彼を想起させるイメージを用いないように求める書状を送りつけているトランプ陣営のインサイダーによれば、トランプは共和党の選挙資金調達を支援する気持ちはあるものの、2020年の大統領選に関する法廷闘争を党として支援しきれなかったことや、彼の弾劾裁判に賛成票を投票した共和党議員もいたことなど怒りの感情もまだ残っていて複雑な心境にあるという。従い、共和党幹部はトランプ陣営を頻繁に訪れ、その怒りをなだめすかしながら協力を仰いでいるもちろん、協力の代償として、党幹部らは、トランプとそのチームに対し、2024年の大統領選への共和党候補者としての良い位置を占めることができるであろうと示唆している。特に議会与党の地位を奪還した場合にはトランプを担ぎ上げることになるであろうと伝え、中間選挙に向けた資金調達支援を求めている。  

 

一方、トランプブランドの乱用振りは、トランプ陣営自身による選挙資金調達のNPOや政治活動委員会(PAC)での資金調達はもとより、彼の周辺の人々がトランプブランドを語らって集金活動に励み、中にはリベラルなものも混じっているという混乱ぶりも紹介されている。当ニュースレターで数年前に現役大統領のブランドとして、ホテルはもとより、小物・アクセサリーなど様々なトランプブランドの商品が売られていることを紹介しましたが、今やトランプブランドはオンラインショップで200をはるかに超えるブランド商品として販売され、元大統領には億円単位のブランド使用権料が入っているようです。とはいえ、最大のブランド価値は未だに“政治市場”で累計数千億円規模の選挙資金として発揮されているということのようです。

 

2.アジア系アメリカ人女性へのステレオタイプの原因と改善への道

 

コロナ禍において米国内のアジア系アメリカ人に対する暴力や差別が繰り返される中、316日にジョージア州アトランタのマッサージパーラー数件を白人男性が銃で襲い、8名を射殺するという事件が起きた。犠牲者8名の内、6名がアジア系の女性であったことに関し、ワシントンポストは容疑者の特異性を認めつつも、背景にアジア系の女性に対する19世紀来の白人アメリカ人の長年のステレオタイプがあり、またそれを助長してきたのがハリウッド映画であるとの特集を組んでいる。このステレオタイプは、遡れば、1875年に中国人女性の米国への移民入国が制限された理由である売春と性病をもたらすというイメージから始まっているという。その後、ほどなくして中国人排斥法という文字通りのアジア人差別法が歴史に刻まれている。 そこから生じた偏見や先入観は、当時同じタイミングで登場したシネマによってアメリカ社会に浸透していく。

 

1987年に公開されたスタンレー・キュービック監督の“Full Metal Jacket”というベトナム戦争を舞台とした前線兵士の葛藤を描く映画の中で、ベトナム人の風俗嬢が歌う“Me so horny”が有名になり、男性がアジア人女性を冷やかすしぐさが助長されたという。アジア系の女性が演じる役どころも、「蓮の花」に象徴される、従順で、慰めの対象としてか、その対象をいじめるドラゴン役の女としてか、という単純なパターンが続いてきた。 

また、中国人を悪役に仕立てるストーリーも多かったそれでも、1993年公開の”The Joy Luck Club”から始まって、2018年の“Crazy Rich Asians”、2019年の“The Farewell”といったアジア系の監督によるアジアの家族、特にアジアの女性の何たるかをかつてない細やかな描写で表現することで、それまでの先入観や偏見が多少なりと解放されつつある本年度アカデミー賞で作品賞を含む6部門でノミネートされた“Minari”(韓国系アメリカ移民の家族の物語)は、アジア系ファミリーへの興味や理解を一層深めるであろうと期待されている

 

実際、この映画は”Crazy Rich Asians”と共に、ハリウッドに相応の収益をもたらし、その意味でアジアの人々に関するストーリーを映画とすることに関する敷居が下がったと言われているとはいえ、冒頭のアトランタの事件にはアメリカ社会にはびこるアジア系女性に対するステレオタイプが潜んでいる可能性があるのも事実と言われる。米国内の人種別人口増加率ではトップとなるアジア系アメリカ人だが、その比率はまだ一けた台に留まっており、ヒスパニック系やアフリカ系に比べてまだ様々な意味で発信力に制約があるのかもしれない。  

 

3. 東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の最新レポートを弊社にてダイジェスト版化

 

(1)  中国

l  台湾沿岸警備に対する米台間の協力

米国の対台湾窓口機関である米国在台協会(AIT)は、駐米国台北経済文化代表処と沿岸警備ワーキンググループの設置に関する覚書を締結した発表している。米沿岸警備隊と台湾の海洋委員会海巡署を通じて意思疎通の向上や協力関係の構築、情報共有などを行うとしている。

そして、蘇貞昌行政院長は、「地域の平和を守る為に皆が各方面で協力している」とコメントし、中国本土に対して、地域の緊張を高め続けるのはやめるよう呼び掛けるようなコメントをしている。

 

l  中国の英国に対するさや当て

香港の民主化運動家47人が、香港国家安全維持法に基づく破壊の罪で起訴されていることは周知の事実である。

もし、これが犯罪と認定されることとなると、最悪の場合、「終身刑」の判決を受ける可能性も出てくる。一方、香港政府がワーキングホリデーの協定を締結している日本など14カ国に対して、香港の中国返還前に生まれた香港人に対して英国政府が発行してきた、所謂、「英国海外市民(BNO)旅券」について、受け入れを拒否するよう求めてきている。香港国家安全維持法(国安法)の施行を受け、英国政府が香港人の移民受け入れ拡大を決めたことへの対抗措置と見られている。

 

(2) 韓国/北朝鮮

l  地球観測用衛星1号打ち上げ成功

韓国で独自に開発されたと言われる地球観測用の次世代中型衛星1号が、中央アジア・カザフスタンのバイコヌール宇宙基地から打ち上げられた。

韓国政府・国土交通部と科学技術情報通信部が発表した。

 

l  本年1月の出生数前年比6.3%減少

韓国政府・統計庁が3月24日に発表した「人口動向」によると、本年1月の出生数は前年同月対比6.3%減の2万5,003人となっている。

1月としては統計を取り始めた1981年以降で最低となった。出生数は2015年12月以降、62カ月連続で前年同月比減少している。人口減による潜在成長力の低下も否めない。

 

[主要経済指標]

1.    為替市場動向

韓国:1米ドル/1,130.75(前週対比-1.63)

台湾:1米ドル/28.62ニュー台湾ドル(前週対比-0.23)

日本:1米ドル/109.56円(前週対比-0.69)

中国本土:1米ドル/6.5349人民元(前週対比-0.0279)

 

2.    株式動向

韓国(ソウル総合指数):3,041.01(前週対比+1.48)

台湾(台北加権指数):16,305.88(前週対比+235.64)

日本(日経平均指数):29,176.70(前週対比-615.35)

中国本土(上海B):3,418.327(前週対比+13.664)

 

4.中東フリーランサー報告6

 

元三井物産戦略研究所シニアフェローの大橋さんから掲題報告を頂戴しましたので皆様と共有させて頂きます。

大橋さんからは以下のメッセージを頂いております。

 

「今月は「311」の10周年と言うことで、未だに復興の明るい姿が見えない東北に思いを寄せながら書いている内に時間が経ってしまいました。せめてもの未来志向の話題として、法王フランシスの歴史的イラク訪問と、その周辺情報の分析に焦点を当て、さらに国際女性デイもあったことから、本レポートお得意の?女性関連記事も入れました。最近お会いした方々にも新規配信させて頂きますので、コメント等頂けましたら、まことに幸甚です」

 

詳細のレポートはこちらをクリックしてご覧ください。

 

5.寺島文庫リレー塾のご案内 

 

()寺島文庫・GIN総合研究所 寺島文庫リレー塾事務局様から掲題のご案内を以下の通り頂戴しましたので共有させていただきます。

 

「寺島文庫リレー塾」は、寺島実郎監修のもと、国際情勢や政治、経済、歴史文化やジャーナリズム等の各分野を代表する識者を招き、リレー形式の連続公開講座として、2010年から昨年(第11期)まで毎年開催してまいりました。コロナ禍の影響下ではございますが、4月より「第12期寺島文庫リレー塾」を開講いたします。第12期〔前期〕につきましては、新型コロナウイルスの感染拡大防止を考慮し、「オンデマンド(WEB配信)」にてご受講いただく形式とさせていただきます。日本工業倶楽部会館でのライブ講義は開講致しませんのでご注意ください。

 

お申し込みの際は下記の点にご注意ください。

・特別ご優待(通常の受講料より半額)のため、寺島文庫ウェブサイト上で公開されている受講料とは異なります。必ず専用のフォーム(https://www.terashima-bunko.com/bunko-relay12-7v5id.html )またはFAXにてお申込みください。

 (今期より、受講料の振込先の口座が変更となっておりますのでご注意ください)

・今後の情勢により講義方式等に変更が生じた場合、改めて事務局よりご連絡致します。

講義の受講方式や受講料等の詳細は別添のご案内をご覧の上、お申し込みの際は、番組サポーター用専用申込フォーム(https://www.terashima-bunko.com/bunko-relay12-7v5id.html )、またはこちらのご案内の裏面の「受講申込書」FAXまたはメール添付にてお送りください。

皆様からのお申込みをお待ちしております。

 

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