ニュースレター国内版 2020年・秋(252号)

日賑グローバル・ニュースレター国内版(第252号)

 

1. トランプ大統領の今後

2. これまでと異なる大統領就任式

3. 東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の最新レポートを弊社にてダイジェスト版化 

 

-------------------------------------------------------------------

1.トランプ大統領の今後

トランプ大統領の今後の身の振り方についてワシントンポストが特集していたので紹介する。

来年120日のバイデン次期大統領の就任後、トランプ大統領はまずフロリダの彼が持つフロリダのマールアラーゴクラブに移るとみられている。 

彼自身の元々のビジネスの業績が下降気味なのでテコ入れを行う可能性がある。 

彼の娘のイヴァンカとその夫のクシュナーも同時にホワイトハウスを出て夫々の道を進むとみられる。 

 

一方で、それらの移動の起こる前の年内に、トランプは次回2024年の大統領選出馬の意向を表明する可能性を周辺に明かしている。 

その狙いは、2024年の大統領選に共和党から出馬する可能性のある候補を早めに抑え込むことにある。 

 

例えばペンス副大統領やポンペイオ国務長官、そして前国連大使のニッキー・ヘイリーなど。 

ただ、これまでもそうであったようにトランプ大統領の気分は猫の目のように変わりやすく、彼の本心がどこにあるかはまだ不明という。また、並行して企業集団向けのスピーチなど比較的少ない労力で高収入を得ることも考えている模様。もちろん回顧録執筆やテレビ出演も予想されているさらにはメディア会社を新たに創設する可能性も噂されているが、成功の保証はないので疑問視されている。

 

このようにトランプが今後も稼がなければならない背景に、次の4年で返済期を迎える個人的借金が4億ドルを超え、かつ多くの調査と訴訟に関する法律事務所への支払い費用が今後かさむとみられるため彼の長きにわたる親友のクリストファー・ラッディ氏は、「トランプは政治的にもメディア的にも権力者であり続けようとする」と語る。 

 

メディアでは、Fox News Channelがこれまでトランプのお気に入りであったが、同TV局が多局に先駆けアリゾナ州でのバイデンの勝利を宣言したことや、トランプ大統領が軍の兵士を“おめでたいやつら”とか“負け犬”と呼んだとの他社の報道をFox Newsの特派員が「事実」として確認したことなどから同局を憎み、報復を考えているという。 

 

彼が本当に2024年に出馬しようがしまいが、トランプは共和党内の政治を支配し続けようとするとみられている。 共和党の反トランプ運動のリーダーで前全米共和党委員会(RNC)の委員長のマイケル・スティール氏は「トランプは現役であり続けようとし、そのために党を彼の狂気で支配し続けようとするであろう」と語る。ツイッターはその彼の目的にかなう最もパワフルなツールの1つとして使われ続ける。 

 

実際、最近のツイートで、今のRNCのロナ・マクダニエル委員長の再選・留任を支持すると表明している。従来、去りゆく大統領はこの手の人事を含めたポリティクスには一切タッチしないのが慣習であった。このようにして来年120日正午以降も、表向きの役職はなくとも共和党の実質トップとして君臨する可能性はあり、2022年の中間選挙後には次期大統領選共和党候補の最右翼になっていく可能性は十分にあるという。 ただ、彼は共和党のために働くのではなく、あくまでも自分個人のために動くのであって、今回の大統領選でトランプの思うように動かなかったジョージア州の共和党幹部に腹を立てている大統領は、来年1月早々に行われる同州の上院2議席の決選投票の応援に行く素振りを見せていない

 

分断のメッセージを吐き続けるトランプに来年120日以降、バイデン次期大統領と既存メディアはどこまで付き合わされるのであろうか。

 

2.これまでと異なる大統領就任式

 

通常、連邦議会の西側に貴賓席用特設会場を設けて行われる大統領就任式では、ザ・モールと呼ばれる議会とリンカーンメモリアルの間を埋める芝生上に大勢の一般聴衆を入れて行われる。初の黒人大統領が誕生した2009年のオバマ大統領の就任式では特設会場も多くの貴賓で埋まったが、モールには200万人もの人が集まったとも言われた。来年120日に予定されるバイデン大統領の就任式は、新型コロナウィルス感染症の感染予防の見地から従来と異なったものとなる加えて従来と異なるのがバトンを渡すべき前大統領の態度、振る舞いであろう。 

 

ワシントンポストによればトランプ大統領はバイデン氏の宣誓式典には参加しないどころか、これまで行われてきたホワイトハウス内での新旧大統領夫妻4名によるティーセレモニー、そして連邦議会に一緒に車で移動するといった伝統的流れを取らないと見られているバイデンとしては伝統にのっとり、厳かに就任することが彼の大統領としての正統性を支えるもので、逆に未だに選挙結果を認めないトランプとしてはその場にいることはそれを認めたことになると見られることを避ける必要がある。一方、コロナ対応を最優先に取り上げたバイデン次期大統領は就任式自身を彼の政権のコロナ対応のショーケースとする狙いもある。 

 

そのため、いくつかのイベントは中止かオンラインとし、実行するイベントでは参加者の制限やマスク着用、ソーシャルディスタンシングなどが実施されるまた恒例のペンシルバニア通りでの祝賀パレードでも、そして同夜のガラにおいてもコロナ制限が徹底される。さらには共和党の大統領に選ばれた最高裁でチーフを務めるロバーツ判事の誘導による宣誓や、その場を共和党議員が取り囲む様子を放映することも、バイデン政権の目指す「分裂から融和へ」、「亀裂から統合へ」の1つの演出となるものと期待されている。  

 

但し、コロナ感染予防対策として最高裁判事を招いての従来通りの宣誓式を行うか、またその場に96歳のカーター大統領を含め、ブッシュ、オバマの歴代大統領が物理的な参加をするべきかなども決まっていないという。 

 

1つはっきりしているのは、バイデンが、宣誓式ではマスクを着用せず、周囲と距離を取ることで感染予防を図ると自ら語っていること。その場にトランプ大統領いないことを国民がどうとらえるのかは史上初めてのことだけに予想がつかない。

 

3. 東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の最新レポートを弊社にてダイジェスト版化

 

(1)  中国

l  中国主導のRCEPが台湾の新たな頭痛のタネ

国際的なシンクタンクなどの調査によると、台湾がRCEPに参加しない場合、台湾の輸出額は2030年までに80億米ドル相当は減少するとの見方があり、RCEPに参加しないことの影響は、TPPに参加しないことよりも更に大きいとの見方がある。 

いずれにしても、中国本土主導のRCEPの動きは台湾にとっては今後も大きな頭痛の種となろう。

 

l  潜水艦8隻建造で防衛力強化を図る台湾

台湾政府は、新たな潜水艦の建造を開始すると発表している。

中国本土が急速に軍事力の刷新を行う中、台湾は防衛力強化に向けた長期計画として自力で潜水艦8隻を建造するとしており、まず1隻目の建造に着手し、2024年の就役を目指すとしている。

 

l  台湾政府の中国本土寄りのマスコミ劣遇問題 

台湾の行政機関である通信放送委員会は、衛星テレビ局である「中天ニュース」の放送免許の定期更新を認めないとする判断を示した。

同委員会は、「フェイクニュースや公序良俗に反する報道が多い」などと認定しない理由を説明したが、実は、「中国本土寄り」

との指摘がある同局に対して、許可をしなかったとの見方もあり、今回の判断に対して、自由と民主主義を原則とする台湾国民の中には、

「こうした判断は中国本土政府が行っている判断と同様であり、台湾らしくない」と言う声も出ており、台湾世論の賛否は分かれている。

 

(2) インドネシアとフィリピンの政策金利引き下げ

インドネシア中央銀行は11月19日、政策金利を突如引き下げた。

新型コロナウイルス流行で打撃を受けた経済を押し上げる狙いがあると見られている。

即ち、インドネシア中銀は7日物リバースレポ金利を25ベーシスポイント(bp)引き下げ、3.75%としている。 

これは、2016年以降の最低水準となる。

また、フィリピン中央銀行も、大方の予想に反して主要政策金利の翌日物リバースレポ金利を2.25%から過去最低の2.0%に引き下げた。

 

(3) 韓国/北朝鮮

l  在韓米軍の今後についての気になる放送

東アジア情勢を分析する者は、米国政府系放送である「ボイス・オブ・アメリカ(VOA)」の放送内容をチェックしている。

こうした中、そのVOAは、「在韓米軍が撤収すれば、二度と戻ることはないだろう」とする主旨見方を、米国の官・民の朝鮮半島専門家たちがコメントしていることを伝えている。

米国の次期政権の発足以降に米韓同盟に影響を与える要因として、「中国の変数」を挙げた上で、米国の外交関係者らが、これに対する韓国の態度を鋭意注視しているとも指摘している。

 

l  ドローン産業育成計画発表

韓国政府は、中国製の市場進出が早いとの認識の下、危機感を募らせている国内ドローン(小型無人機)産業の育成に向けた計画を発表した。

韓国を代表するドローン企業の育成や公共分野での韓国製品活用率の引き上げを骨子とし、更に、ドローン型空中タクシーの試運転も実施し始めている。

 

l  韓国でも販売好調のユニクロ

ユニクロは昨年、日本による半導体関連三品目輸出規制の影響などを受けて、韓国市場で「反日不買」運動の直撃を受けたが、今回のプラスJという高級品販売では韓国でも販売好調となっている。

ユニクロは、アジア市場を中心に、オンラインの売り上げが大幅に増えており、ユニクロの母企業であるファーストリーテーリングは、東京株式市場で11月13日には、前日対比3.49%上昇の8万3,430円で終え、史上最高値となっている。

 

[主要経済指標]

1.      為替市場動向

韓国:1米ドル/1,116.62(前週対比-7.19)

台湾:1米ドル/28.54ニュー台湾ドル(前週対比-0.03)

日本:1米ドル/103.80円(前週対比+1.22)

中国本土:1米ドル/6.5686人民元(前週対比+0.0393)

 

2.      株式動向

韓国(ソウル総合指数):2,553.50(前週対比+59.63)

台湾(台北加権指数):13,716.44(前週対比+443.11)

日本(日経平均指数):25,527.37(前週対比+141.50)

中国本土(上海B):3,377.727(前週対比+67.622)