ニュースレター国内版 2020年・夏(246号)

日賑グローバル・ニュースレター国内版(第246号)

 

1. オフラインのトランプに追い上げられるバイデン陣営

2. 米国は日本の致死率の低さから学ぶべきか?

3. 東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の最新レポートを弊社にてダイジェスト版化 

 

4. 中東フリーランサー東京報告52

1.オフラインのトランプに追い上げられるバイデン陣営

 

民主党に続き共和党の党大会が終わり、本格的な選挙活動が始まっている。 

党大会前の世論調査ではバイデン候補に大きく差を付けられていたが、共和党大会の後にMorning  Consultというデータ情報会社が行った世論調査ではバイデン50%に対しトランプが44%にまで追い上げている。 

バイデン陣営はコロナ感染を懸念し、党大会を含め、キャンペーン活動をオンライン中心で行ってきた。

コロナを気にせずにオフラインで気勢を上げるトランプ陣営の熱量の方が有権者に伝わりやすいことに気づいたバイデン陣営と民主党幹部はようやく屋外に出て、熱いキャンペーンを行おうとしている様子をワシントンポストが伝えている。 

トランプ大統領はウィスコンシンでのBlack Lives Matterの抗議デモに対抗するトランプ支持者のぶつかり合いをむしろチャンスと捉え、「法と秩序」を1つの主要なキャンペーンメッセージとしている。

特に郊外に住む白人女性など暴力や過激な抗議活動を嫌う有権者層を取り込もうとしている。 

2016年の選挙でトランプはアリゾナ、フロリダ、ノースカロライナ、ペンシルバニア、ウィスコンシン及びミシガンで勝利することで大統領選を優位に展開できた。 

バイデン陣営はこれらの6州を取り戻すべく屋外のキャンペーンをまずペンシルバニアから開始した。 

さらに、人口動態的に民主党勝利の芽も出てきたジョージアとテキサスの獲得も目指している。 

もちろんスイングステートのアイオワとオハイオの奪還を視野に入れキャンペーンを展開することになる。

一方、トランプ陣営は2016年にヒラリー・クリントンが勝利したニューハンプシャーとミネソタを奪取すべく、ペンス副大統領と分担して両州でキャンペーン中である。

トランプのスタイルや言葉遣い、そして大統領としての仕事についてはうんざりと思っている郊外に住む白人層は少なくないが、トランプ陣営はバイデンとハリスの二人を急進左派と悪者に仕立て上げることでこれらの有権者を取り込む可能性が十分にある、と語る選挙専門家もいる。

特に、Black Lives Matterの大本の事件が起こったミネソタ州では「法と秩序」のメッセージで臨もうとしている。 

コロナ感染を如何にも気にしないトランプのキャンペーンスタイルは「アメリカ人の多くがパンデミックに拘らず通常の生活を再開させている」という現実を反映しているという。  

この点で、バイデン陣営は各州の集会規制などを守ってきた分、そのメッセージと熱量の伝達に遅れている感は否めない。  

世論調査の専門家は、今の時点での世論調査でバイデンを支持すると回答した人々も、929日の第一回の候補者討論会が終わり、「バイデンで大丈夫だ」「大統領;はチェンジの時だ」と納得しない限り有権者の心は最後まで定まらないという。

やはり従来ながらの、叫び、鼓舞し、闘争本能を見せ、有権者のハートを揺さぶるキャンペーンスタイルで盛り上げていくプロセスが大切ということであろうか。

 

2. 米国は日本の致死率の低さから学ぶべきか?

 

ワシントンポストが先進国の中で日本のCOVID-19の致死率が低い理由を探る特集記事を出していたので要点を紹介する。 

COVID-19の致死率は高齢者ほど高くなるという世界の統計データと、日本が平均年齢47歳で、65歳以上の人口の割合が28%という世界ダントツの超高齢社会であるにも拘わらず、日本のCOVID-19による死亡者数は8月末時点で1225人と(人口が3倍ではあるが、65歳以上の割合が16%の)米国の死亡者数約18万人に比べ圧倒的に低い。 

そして日本の死亡者に占める高齢者介護施設内の死亡者の割合は14%であるのに対し、米国では40%となっている。 

日本の高齢者の介護施設利用率が1.7%とアメリカの1%未満よりもかなり高いにも拘わらずである。 

1つの理由として日本の介護施設の感染症に対する日頃の準備態勢と衛生基準の高さが挙げられる。 

コロナウィルス発生以前より、日本の介護施設ではノロウィルスやインフルエンザなどのウィルスを施設内に持ち込まないための態勢を取っている。 

職員は手洗い、うがいの徹底と共に、検温や体調の履歴記載を行ったうえで施設内に入る。 

またフロアごとの入退室の管理や、入居者の世話をするたびに手洗いをするという基本動作の徹底がある。 

今回のコロナウィルス発生後はそれ以上に、職員が自身の住まいと施設の往復以外には遠出をせず感染リスクを避けるというモラルの高い施設も多くあったようである。 

もちろん入居者の家族の訪問を制限するという手段も取らざるを得ない。 

米国会計検査院(GAO)の報告ではアメリカの高齢者介護施設の約4割はコロナ前から感染症予防規定違反の状況にあり、疾病管理予防センター(CDC)によれば毎年約38万人が感染症で亡くなっている。  

日本でのCOVID-19の致死率が低いその他の原因として欧米に比べ肥満率が低く、特にコロナ感染で重症化しやすい基礎疾患と言われる糖尿病患者の割合が低いことも挙げられる。

今回のパンデミック発生でアメリカや欧州の高齢者介護施設において見られた怠慢や予算不足による悲惨な状況を次の危機で繰り返さないために、日本の経験を重要な教えとすべきではないか、というのが本記事の要旨である。

 

3. 東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の最新レポートを弊社にてダイジェスト版化

 

(1)  中国

l  台湾への投資回帰を促す蔡英文政権

台湾政府は、海外に流れていた投資の台湾回帰を目指して政策対応しており、そうした効果もあり、海外資金の台湾回帰が見られている。

台湾政府・財務部税務局は770件以上の回帰のケースがあったと指摘、2,043億ニュー台湾ドルの台湾回帰が見られたとしている。

更に、このうち470億ニュー台湾ドル以上の再投資が台湾国内で行われたと分析している。

但し、この金額は財務省によって計画された目標よりは低く、更に高い水準を目指したいとしている。

その為には、国内資金回帰の為の優遇期間の延長と、効果的なプロジェクト投資を実際に実施するための環境整備をしたいとしている。

尚、海外資金の台湾回帰に関する特別法は昨年8月15日から施行され、その初年度は、台湾への回帰時に8%の特別税率が適用されることとなっている。

また、その資金が実際の投資に使用された場合、さらに50%が還付され、事実上4%の税に相当する優遇となっている。

一方、中国本土のファーウェイに対する国際的な制裁色が強まり、また、台湾海峡での軍事的緊張も高まる中、ファーウェイと米国のアップルの関連株の売り買いが積極的に見られ、台湾の株式市場は揺れている。

 

l  ソマリランドとの外交関係を目指す台湾

台湾政府・外交部は、アフリカ東部にあるソマリランドに代表機関を開設したと発表している。

ソマリランドは1991年にソマリアから分離独立を宣言した地域であり、台湾は中国本土の執拗な国際外交戦略によって、世界各国との外交関係が次々と断交され、国際機関からも排除されている中、新たな外交関係の樹立を模索している。

 

l  ファーウェイの影響を受けるMedia Tek

米国政府は、中国本土の通信大手ファーウェイに対する規制を拡大、強化し、台湾の半導体関連企業であり、ファブレスIC設計企業であるMedia Tek及びその他のファーウェイに関連が深い台湾株も打撃を受けている。

しかし、MediaTekは、こうした株価動向に対して、「米国の輸出管理規則の変更は、同社の短期的な経営状況に大きな影響を与えるものではない」とコメントしている。

 

(2)韓国/北朝鮮

l  韓国のWTO提訴を批判する米国

日本の韓国に対する半導体関連製品三品目に対する対応に関して、韓国がWTOに提訴、小委員会が設置されることに関して、WTOホームページに掲載された議事録要約によると、

「7月29日(現地時間)にスイス・ジュネーブWTO本部で行われたWTO紛争解決機関(DSB)定例会議で、米国は、何が自国の核心的国家安保に必要な措置かを判断できるのは日本だけであると述べた。

米国はその上で、韓国の今回の提訴は、70年間避けてきた安保関連事案不介入の立場を困難に陥れ、WTOに重大な危険をもたらすと批判した」

ことが示されている。

 

l  UAE向け原発の送電成功

韓国が海外に輸出した初の原子力発電所であるアラブ首長国連邦(UAE)のバラカ原発1号機が、同国の送電網と繋がり、送電に成功している。

同原発を手掛ける韓国電力公社と発注元のUAE原子力公社(ENEC)が8月19日伝えたものである。

原発で発電された電力がUAEで使われるのはこれが初めてとなる。

 

l  現代自動車、水素新技術に向け国際提携強化

韓国有数企業の一つである現代自動車は、オーストラリア最大の総合研究機関であるオーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)と世界第4位の鉄鉱石生産会社フォーテスキューと水素を大量輸送する際に必要な核心技術を開発する為の協約(MOU)を締結したと発表している。

水素の生産と貯蔵、輸送など供給インフラ関連の新技術を商用化して水素供給コストを下げ、水素電気自動車普及の早める目的を持って、こうした協約を締結したと見られている。

 

[主要経済指標]

1     対米ドル為替相場

韓国:1米ドル/1,187.82(前週対比-2.13)

台湾:1米ドル/29.38ニュー台湾ドル(前週対比+0.01)

日本:1米ドル/105.50円(前週対比+1.25)

中国本土:1米ドル/6.9122人民元(前週対比+0.0364)

 

2.      株式動向

韓国(ソウル総合指数):2,304.59(前週対比-102.90)

台湾(台北加権指数):12,607.84(前週対比-187.62)

日本(日経平均指数):22,920.30(前週対比-369.06)

中国本土(上海B):3,380.683(前週対比+20.584)

 

4.中東フリーランサー東京報告52

 

三井物産戦略研究所の大橋シニアフェローから掲題報告を頂戴しましたので皆様と共有させていただきます。 大橋さんからは以下のメッセージを頂いております。

 

残暑お見舞い申し上げます。「中東フリーランサー東京報告52」をお届けします。今月は会社生活最後の夏休みを八ヶ岳の山麓で満喫しました。卒業後は毎日が休暇ですが、「勤務がありながら休める喜び」を改めて噛み締めた次第です。しかし、そうした間にもレバノン大爆発、イスラエルUAE国交樹立合意など、中東関連の大ニュースが続々飛び込み、静養先にいながらも、ついネットニュースに噛り付いてしまいました。そして今や、リビアで停戦提案が同意される等、石油市場にも影響を及ぼしかねないニュースが続いているのは、中東の政治環境が、コロナ禍も強く影響し、急速に変化を遂げつつあり証左ではないかと思う次第です。

と言うことで、今回はレバノン大爆発、イスラエルUAE国交樹立合意の2点に絞って、歴史的背景等も含めて深堀りしてみました。いささか小生の独断が多いかも知れませんが、夏季休暇に免じて?ご笑覧ください。

さて前号でご案内した中東木曜フォーラム「湾岸危機から30年」ですが、かなりの方にご視聴頂き、共感のコメントを多く頂き、大変嬉しく思いました。今後「中東木曜フォーラム」のサイトで公開される予定ですので、追ってご案内致します。まだご覧になられておらず、ご興味をお持ちの方はご覧ください。

さて、9月には中東店長GM会議に参加し、その足で湾岸センチメンタルジャーニーを目論んでおりましたが、コロナ禍の状況改善が遅く、いまだ域内移動は容易でない状況で、まことに残念ながら中東に足を運ぶ最後の機会はなくなりました。結局今年は一度も中東に行けませんでした。代わりに、同会議中にTeams形式でおしゃべりのお時間を頂きました。また、924日(木)には、日本エネルギー経済研究所の小山堅先生をお迎えしての戦略研セミナー「激動する内外エネルギー情勢の展望と課題」の案内役を仰せつかりました。これが最後の社内イベント参加になろうかと思います。小山先生のお話は貴重ですので、お時間が許せば是非ご視聴ください。追って戦略研より社内イントラにご案内が出る予定です。