「沈黙と向き合う」:静けさを“チームの原動力”に変えるファシリテーション
読者の皆さまへ
日賑グローバルのブレットです。今回は、会議中の「沈黙」を味方につけるファシリテーションにフォーカスしてみたいと思います。
司会やファシリテーターとして参加者に問いかけをしてみたけれど、誰からも声が上がらない――そんな“沈黙”への戸惑いの経験は誰にでもあるのではないでしょうか。
ただ、沈黙自体は必ずしも「悪い反応」ではありません。 使い方次第で、むしろチームの深い対話や気づきの入り口になることもあるのです。
🔑 “沈黙”を“エネルギー”に変える3つの鍵
1. 沈黙の背景を見極める
弊社の米国のパートナーのボルテージコントロール社によるコミュニティ「Facilitation Lab」ではこのテーマは多くの関心を集めていました。
沈黙の理由は、ただ「答えがない」からだけではなく、参加者が以下のような状況に置かれている場合もあります:
● 心理的安全性の欠如(上下関係のある場面など)
● 文化的背景や初対面の緊張感
● 頭の中では考えていても、まだ言語化できていない状態
● 質問自体がわかりづらい
第3回コラムでも少し触れましたが、私は元教師として、そして現在ファシリテーターとして、「間違えることへの恐れ」「場の空気を壊したくない気持ち」から発言を控える日本の参加者に数多く出会ってきました。
参加者のそうした気持ちは会議参加への“拒絶”ではなく、「条件が整えば参加したい」という“準備”のサインと受け取ることが大切だと感じます。
2. 沈黙を破り、話しやすくなる条件を整える ― “仕掛け”をつくる
「大勢の前で話すのはハードルが高い」——そんな時は、話す順序や形式を変えてみましょう:
● 「1-2-4-All」のように、まずソロ(一人)で考え、意見をまとめる時間を与え、その意見をペアで共有したうえで、全体に共有してもらう
● 一人ずつ順番に話す「ラウンドロビン」形式で、全員に発言のチャンスを与える
● 違憲や考えをポストイットなどに書き出してから共有する(オンラインでも可)
Facilitation Labのメンバー、ロビン・ベラビー氏は、「この場の成功とは何か?」を冒頭で話し合い、その結果を張り出して“見える化”して掲示しておき、参加者にいさせることの発言効果も語っていました。
3. 沈黙を破る「問いかけ」
沈黙の原因が「質問の難しさ」にあることも。そんな時に参考になるのが、マイケル・ウィルキンソン氏が提唱する「Type A」と「Type B」の問いの違いです:
● Type A:事実を尋ねる直接的な質問(例:「今の業務プロセスは?」)
● Type B:イメージを思い描かせる質問(例:「最近“うまくいった会議”を思い出してみてください…」)
参加者が頭の中で「場面をイメージ」できる問いの方が、言葉が出やすく、会話が広がりやすいのです。
効果的なフレーズの例:
「想像してみてください…」
「過去にこんな経験はありませんか?」
「ある状況を思い浮かべてください…」
💡 なぜこのテーマを選んだのか?
第3回コラムでもお話しましたが、私は日本での教員時代に多くの沈黙の場を見てきました。今回お届けしたような“沈黙の原因の見極め”や“沈黙を破る仕掛け”づくり、並びに“問いかけ”のスキルがあれば、きっと沈黙を活発な議論のエネルギーに換えることができていたであろうと思います。
今回ご紹介した3つのアプローチが、読者の皆さまにとって“沈黙”を“エネルギー”に換えるヒントとなれば幸いです。
📩 最後に
「沈黙の時間、ちょっと苦手だな…」という方も、ぜひ今日のアイデアをどれか一つ試してみてください。そして、ご自身の現場での体験や気づきがあれば、ぜひ私にもシェアしていただけたら嬉しいです。
今回ご紹介した内容や、ファシリテーションに関するご相談・ご質問がありましたら、どうぞお気軽にご連絡ください!
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日賑グローバル株式会社
ファシリテーター
ヒューステッス・ブレット
huestis@nisshin-global.com