コラム第4号:「沈黙と向き合う」:静けさを“チームの原動力”に変えるファシリテーション

「沈黙と向き合う」:静けさをチームの原動力に変えるファシリテーション

読者の皆さまへ

日賑グローバルのブレットです。今回は、会議中の「沈黙」を味方につけるファシリテーションにフォーカスしてみたいと思います。

司会やファシリテーターとして参加者に問いかけをしてみたけれど、誰からも声が上がらない――そんな沈黙への戸惑いの経験は誰にでもあるのではないでしょうか。

ただ、沈黙自体は必ずしも「悪い反応」ではありません。 使い方次第で、むしろチームの深い対話や気づきの入り口になることもあるのです。

🔑 “沈黙エネルギーに変える3つの鍵

1. 沈黙の背景を見極める

弊社の米国のパートナーのボルテージコントロール社によるコミュニティ「Facilitation Lab」ではこのテーマは多くの関心を集めていました。

沈黙の理由は、ただ「答えがない」からだけではなく、参加者が以下のような状況に置かれている場合もあります:

    心理的安全性の欠如(上下関係のある場面など)

    文化的背景や初対面の緊張感

    頭の中では考えていても、まだ言語化できていない状態

    質問自体がわかりづらい

3回コラムでも少し触れましたが、私は元教師として、そして現在ファシリテーターとして、「間違えることへの恐れ」「場の空気を壊したくない気持ち」から発言を控える日本の参加者に数多く出会ってきました。

参加者のそうした気持ちは会議参加への拒絶ではなく、「条件が整えば参加したい」という準備のサインと受け取ることが大切だと感じます。

2. 沈黙を破り、話しやすくなる条件を整える ― 仕掛けをつくる

「大勢の前で話すのはハードルが高い」——そんな時は、話す順序や形式を変えてみましょう:

    1-2-4-All」のように、まずソロ(一人)で考え、意見をまとめる時間を与え、その意見をペアで共有したうえで、全体に共有してもらう

    一人ずつ順番に話す「ラウンドロビン」形式で、全員に発言のチャンスを与える

    違憲や考えをポストイットなどに書き出してから共有する(オンラインでも可)

Facilitation Labのメンバー、ロビン・ベラビー氏は、「この場の成功とは何か?」を冒頭で話し合い、その結果を張り出して見える化して掲示しておき、参加者にいさせることの発言効果も語っていました。

3. 沈黙を破る「問いかけ」

沈黙の原因が「質問の難しさ」にあることも。そんな時に参考になるのが、マイケル・ウィルキンソン氏が提唱する「Type A」と「Type B」の問いの違いです:

    Type A:事実を尋ねる直接的な質問(例:「今の業務プロセスは?」)

    Type B:イメージを思い描かせる質問(例:「最近うまくいった会議を思い出してみてください」)

参加者が頭の中で「場面をイメージ」できる問いの方が、言葉が出やすく、会話が広がりやすいのです。

効果的なフレーズの例:

「想像してみてください
「過去にこんな経験はありませんか?」
「ある状況を思い浮かべてください

💡 なぜこのテーマを選んだのか?

3回コラムでもお話しましたが、私は日本での教員時代に多くの沈黙の場を見てきました。今回お届けしたような“沈黙の原因の見極め”や“沈黙を破る仕掛け”づくり、並びに“問いかけ”のスキルがあれば、きっと沈黙を活発な議論のエネルギーに換えることができていたであろうと思います。

今回ご紹介した3つのアプローチが、読者の皆さまにとって沈黙を“エネルギー”に換えるヒントとなれば幸いです。

📩 最後に

「沈黙の時間、ちょっと苦手だな」という方も、ぜひ今日のアイデアをどれか一つ試してみてください。そして、ご自身の現場での体験や気づきがあれば、ぜひ私にもシェアしていただけたら嬉しいです。

今回ご紹介した内容や、ファシリテーションに関するご相談・ご質問がありましたら、どうぞお気軽にご連絡ください!

 

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日賑グローバル株式会社
ファシリテーター
ヒューステッス・ブレット
huestis@nisshin-global.com