社員とのウィンーウィンの関係づくり(リンクトイン創業者リード・ホフマン著『ALLIANCE』より

Yoneyama, Nov 2022

8 社員とのウィンーウィンの関係づくり(リンクトイン創業者リード・ホフマン著『ALLIANCE』(ダイアモンド社)より

 

前回はコミットメント期間の3つの類型の中の2つ目の「変革型」をご紹介しました。 

今週は最後3つ目の「基板型」についてご紹介します。

 

会社と社員の成長の方向性が深く整合しているところが、基盤型コミットメント期間の最大の特徴だそうです。

社員からすればこの会社が自分の最後の職場だと考え、会社もその社員に現役引退までいてほしいと願うなら、その社員は基盤型コミットメント期間に入ることになります。

その社員にとって会社が自分のキャリアの基盤、時には人生の基盤にすらなり、会社にとってもその社員が経営の基盤を支えていくことになります。

社員にとってはこの会社の使命が自分の終生の仕事だと考え、会社もこの社員に会社の使命を果たしてもらいたい。このような関係を確認しているのが、基盤型コミットメント期間のようです。

ALLIANCE』によれば、基盤型コミットメント期間は上級幹部層に限定するものではないようです。 以下に詳細を引用します。

 

組織階層のどこに居ようとも、基盤型の社員は会社に継続性と組織的記憶をもたらす。その会社の流儀を守り伝え、知識面でも情緒面でも組織の基盤となる。たとえば、彼らは品質に関して強い誇りを持ち、細心の注意を払う。会社のことが他人事ではなく「自分事」になるような意識を持つからだ。

基盤型コミットメント期間を結婚のようなものと考えることもできる。死ぬまで続くと両者が見込む長期的関係であり、何があっても安易にあきらめず、関係が続くよう全力を尽くす道義的責任を双方が負う。

健全な婚姻関係と同様に、基盤型コミットメント期間もやはり定期的に率直な対話を重ね、双方の満足が続くようにする必要がある。人も会社も変わることがあり、社員と会社がいつも完全に同じ方向を向いているという保証はないからだ。

 

ということで、コミットメント期間の3つの類型を見てきましたが、本書の著者のホフマン氏は、「経験の浅い社員はおそらくローテーション型か変革型のどちらかのコミットメント期間から始め、より職位の高い社員は変革型で始めることになろう。変革型から基盤型へと移行する社員は会社の長期的ミッションを自らの者とした社員である」と語る。

さらには、「それぞれのコミットメント期間に優劣はない。殆どの大企業は社員の集団ごとに使い分けながら3つのタイプをすべて利用している。たとえば、社員の大半を基盤型にしようとしてはいけない。それでは本質的に終身雇用の旧モデルにもどることになってしまう」と語っています。 

 

日本は終身雇用をベースとして新入社員から入った社員の中で昇進昇格の階段を上りつつ、最終的に数少ないメンバーを基盤型社員に登用しているイメージがありますが、実はその見極めはもっと早い段階でなされている可能性はあり(幹部候補)、社員の方ももっと早い段階で会社に見切りをつけ、より良い成長を図れる場を求める適度な緊張感が社内にあっても良いのではと感じます。

 

会社の人事におけるその3つの類型の相互関係についてリード・ホフマン氏がどのように考えているかを紹介したいと思います。

 

まず、職歴の切り口から考えますと、「経験の浅い社員はおそらくローテーション型か変革型のどちらかのコミットメント期間から始め、より職位の高い社員は変革型で始める」ことになると予想しています。そして、変革型から基盤型へと移行する社員は、「会社の長期的ミッションを深く理解し、自らのものとした社員である」として「基盤型」社員にはある程度の社歴がひつようとなることを認めています。

 

次に、3つの類型の序列について触れています。「それぞれのコミットメント期間に優劣はない。殆どの大企業は社員の集団ごとに使い分けながら3つのタイプをすべて利用している」との認識を示しています。そして、「社員の大半を基盤型にしようとしてはいけない。それでは本質的に終身雇用の旧モデルにもどることになってしまう」と強調します。

 

日本企業ではいまだに終身雇用のカルチャーの下、会社に骨を埋めることはあっても転職というのは「脱藩」に近い否定的なイメージがついて回ります。この点で、ホフマン氏は、「基盤型」社員においてこそ、そうした長い関係があり得るものの、それ以外においてはむしろ転職後の関係でアライアンスを保つことの会社と本人双方にとってのプラスを強調しています。

 

改めて、企業における社員の3つの類型の相互関係についてホフマン氏は「合金」という表現を用いて説明しています。「各タイプのコミットメント期間は、合金をつくるための素材のようなものだと考えればいい。素材の配合を変えれば合金として異なる能力が生まれ、それぞれ異なる用途にうまく合う。ローテーション型は会社に「規模拡大」をもたらす。新たに大勢の社員を雇って、職務内容が安定した、誰もが良く知る仕事に就かせることができる。ローテーション型は標準化されているため、採用も実施もしやすい。特に大規模に行いたいときには効果的だ。変革型は「適応力」を与えてくれる。会社が、新たな必要スキルと経験を得る一助となるからだ。伸び盛りの業界は競争が激しく、技術の変化は急速で、人材争奪戦も激しいのが普通だ。こうした業界で成功するには「創業者マインド」が不可欠であり、それはつまり、会社が変革型の社員を高い比率で雇わなければならないことを意味する。基盤型は会社に「継続性」をもたらす。長期的目標を見据えた社員が会社に居続ける仕組みになるからだ。経営幹部チームは全員が基盤型であるべきだ。ローテーション型と変革型、そして基盤型のコミットメント期間をどのように組み合わせるのが理想的なのか、それは個々の会社の置かれた市場環境による」

 

経営者にとって大切な人事戦略の考え方をとても明快に示しているのではないであろうか。