ニュースレター国内版 2021年・冬(256号)

日賑グローバル・ニュースレター国内版(第256号)

 

1. 「トランプの党」となっていた共和党の行方

2. 米国のコロナ感染状況 ― 死亡者は国民1,000人当たり一人以上

3. 東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の最新レポートを弊社にてダイジェスト版化 

4. 中東フリーランサー報告4

5.外国人材受入専門コンサルティングサービスのご案内  

 

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1.「トランプの党」となっていた共和党の行方

 

先週、トランプ大統領の2度目の弾劾裁判を決定する下院での投票において、民主党の全議員に加え、10名の共和党議員も賛成票を投じた。ジョージ・ブッシュ政権時代の副大統領のディック・チェニーの娘で下院共和党序列第3位のリズ・チェニー議員(ワイオミング州選出)はこの10名の一人で、今回のトランプ支持者による議会乱入、占拠、暴動と5人もの死者を出した事態を招いた責任はトランプ大統領の扇動にあると非難した。逆に、下院共和党リーダーのケビン・マッカーシー議員と196名のその他の共和党下院議員は弾劾に反対票を投じた。この全員が、トランプの主張の通り、大統領選挙に不正があり、勝利が盗まれたのだから最高裁が結果を正すべきと思っているかと言えば、本音では全く一枚岩ではない。ただ、トランプに逆らって再選できなくなる嫌がらせを受けたくないという蛇ににらまれた蛙の状態にあるようである。 

 

上記の投票行動の通り、共和党は一枚岩ではなく、まずトランプの党かトランプを拒否する党にクリアに分かれつつある。前者の党員は、昨年11月の国政選挙で民主党の地滑り的勝利はなく、下院では議席数を伸ばせたのもトランプの力であり、2022年の中間選挙では与党奪還を狙えると考える。かかる状況下、弾劾裁判で上院共和党から有罪投票を行う議員が17名出てくるかどうかは幾つかの理由から疑問である。 

 

一つ目は、ワシントンポストとABCニュースによる最新の共同世論調査結果で、共和党支持層と、共和党寄りの無所属に限った場合、85%が弾劾に反対と答えているため。 さらには66%が、「選挙に大掛かりな不正があったとのトランプの主張を支持する確固たる証拠がある」と答えている。 57%は共和党幹部がトランプのリーダーシップに従うべきで、それと異なる方向に進むべきではないと答えている。極めつけは、約半分(48%)が、「共和党幹部はトランプによる選挙結果逆転の努力を十分に支援できていない」と答えている。二つ目の理由は、昨夏の党大会において、共和党の拠って立つ党の綱領を今年の党大会で設けないと決めていること。 

 

トランプ大統領が進むところに共和党がどこまでもついていくということである。“トランプの党”では減税と規制緩和のみが伝統的共和党の政策であり、共和党の従来の主張である財政健全化や自由貿易からは遠ざかっているヘルスケア、気候変動、人権、外交などにトランプの党は方向性を示さない。 

 

2012年の共和党大統領候補で、党内では数少ない反トランプのミット・ロムニー上院議員は共和党がトランプの党から本来の共和党に戻るための処方箋として、「まずトランプ大統領の嘘を信じてきた人々に真実を語るところから始めるべき」と語り、トランプこそが白人至上主義者の運動を国中に広げることを許し、それが政治に毒を持ち込んだことを見逃さず対応すべき」と語る。 

ただ、現状ロムニーは議会共和党内で仲間外れ状態にあるという。

果たして、レーガン、ブッシュで冷戦に勝利し、アメリカングローバリゼーションをもたらしたかつての華やかな共和党はどうなるのであろうか?

 

2.米国のコロナ感染状況 ― 死亡者は国民1,000人当たり一人以上

 

20日に行われた米国大統領就任式で第46代大統領となったバイデン大統領は就任演説の途中、パンデミックにて命を落とされた人々に黙とうをささげた。その上で、「その死亡者数は第二次世界大戦で米軍戦死者に匹敵する規模であり、米国民一丸となってパンデミックに立ち向かい勝利しよう」と宣言した。今から丁度3か月前、米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長は、「今から冬までの間にやるべきことをやらないと米国内のコロナ感染による死亡者数は30万人から40万人となってしまう」と警告を出していた。

 

選挙戦最中のトランプ大統領は特に対策を取ることもなく、逆に自分自身と身内が感染していった。 

米国現地20日夜9時の時点で米国内の感染者数累計は2,443万人、死者は406,001人と、ファウチ所長の警告通りの状況に陥っているワシントン大学のシミュレーションモデルでは、41日までに累計死者数は567千人となり、もしマスク着用義務が緩和されれば70万人を超えると予測されている。

 

あまりの数の多さに圧倒され、マクロの数字にばかり世間の関心が及んでいる中、実際に亡くなっていく一人一人が、隔離のために家族や友人に看取られずに息を引き取り、亡くなった後も、遺体の扱いや、葬儀も感染予防の観点から到底「手厚い」ものとはなっていない悲しい状況にあることをワシントンポストが「人目に触れずコロナで亡くなる多くの人々」として特集していた。

 

最後の力を振り絞ってSNSで家族や友人に、コロナに感染しないよう注意をする最後のメッセージを送る様子も伝えられていた。先月の調査では米国でワクチンを接種したいと答えた人の割合は48%であったものが、今月の調査では60%に跳ね上がっている。

 

現時点でのワクチン接種者の数は約1,110万人となっている。ワクチンはファイザーを皮切りにモデルナもスタート、ノヴァヴァっクスとジョンソンアンドジョンソンが試験結果待ちの状況にある今や米国民1000人に一人以上がコロナで亡くなっているが、バイデン大統領はマスク着用義務を含め、ファウチ所長等科学者の提言を重視してコロナとの戦いに臨むとしているが、このある種「国家安全保障上の脅威」のピンチを、分断されたアメリカを纏める「有事」のチャンスとして位置付けることができるか注目される。

 

3. 東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の最新レポートを弊社にてダイジェスト版化

 

(1)  中国

l  人口減少が始まった台湾

台湾政府・内政部が発表した2020年の人口動態統計(速報)によると、台湾の出生数は過去最少の16万5,249人(前年対比7.04%減)となり、台湾が初めて、出生数が死亡数を下回る人口の「自然減」に転じたことが明らかになったと伝えられている。

同年の人口総数は2,356万1,236人(同0.18%減)となっている。

2020年1~12月の死亡数は17万3,156人(同1.78%減)で、出生数と死亡数の差である自然増減数がマイナス7,907人となっている。

このように、人口減少が顕在化していることからも、「台湾は質の経済への転換」を図るべく急いでいると見られる。

 

l  2020年の中国の輸出前年比3.6%増

中国の輸出は、コロナウイルスの大流行の中でマスクや医療機器に対する強い需要、世界各国での所謂「巣ごもり需要」などに支えられて、2020年は増加したと見られている。

即ち、中国政府税関当局の速報によると、中国の2020年の総輸出額は前年対比3.6%増の2兆5,900億米ドルという過去最高を記録している。

尚、輸入は1.1%減に留まり、2020年の中国の輸出入合わせた貿易総額は前年対比1.5%増となったとも報告されている。

 

l  中国の「海上交通安全法」改正の動き

中国政府は1984年施行の「海上交通安全法」を年内にも大幅改正するであろうとの見方が出ている。

海事当局を傘下に持つ交通運輸部が、外国船による領海の通航を、国際法で認められた無害通航でないと判断すれば阻止できるようにするとしている。

海洋権益を強化する狙いとみられ、中国公船が沖縄県・尖閣諸島周辺海域でさらに組織的に日本領海に侵入する口実とする可能性があると予想される。

 

(2) 韓国/北朝鮮

l  対韓直接投資2年連続減少

韓国政府・産業通商資源部は、2020年の海外企業による韓国への直接投資額は207億5,000万米ドルとなり、前年対比11.1%減少したと発表している。

やはり、新型コロナウイルスの感染拡大が影響したと見られている。

過去最高を記録した2018年以降、2年連続の減少となったが、産業通商資源部は、

「新型コロナの流行による世界的な経済危機の中でも6年連続で200億米ドル台を維持していることから、韓国が安全な投資先であることが示されている」

と、これを肯定的に評価している。

 

l  2020年の造船受注高世界1

造船・海運市況分析機関である英国のクラークソン・リサーチが発表した統計によると、2020年年間の世界船舶発注量1,924万CGT(標準貨物船換算トン数、738隻)のうち、韓国が819万CGT(187隻)を受注し、世界1位となっている。

韓国の昨年の受注シェアは43%で、中国が41%(793万CGT、353隻)で2位となった。

韓国は昨年下半期から、主力船種の液化天然ガス(LNG)運搬船や超大型オイルタンカー(VLCC)などを本格的に受注、11~12月の2カ月間に年間受注量の半分を占める411万CGTの建造契約を締結したことによって、中国を最後に逆転した格好となる。

 

l  デジタル技術見本市(CES)で高評価を受けた三星電子とLG電子

本年1月11~14日にオンラインで開催された世界最大級のデジタル技術見本市となる「CES」で韓国の三星電子とLG電子の製品が多くの賞を獲得したと報告されている。

三星電子はCES主催団体の米民生技術協会(CTA)が授与するCES革新賞44個とメディア選定の賞を合わせ計173個の賞を、LG電子はCTAのCES革新賞24個をはじめ計139個の賞をそれぞれ受賞していると報告されている。

 

[主要経済指標]

1.    為替市場動向

韓国:1米ドル/1,099.56(前週対比-7.69)

台湾:1米ドル/28.02ニュー台湾ドル(前週対比-0.03)

日本:1米ドル/103.67円(前週対比+0.30)

中国本土:1米ドル/6.4718人民元(前週対比+0.0002)

 

2.      株式動向

韓国(ソウル総合指数):3,085.90(前週対比-66.28)

台湾(台北加権指数):15,616.39(前週対比+152.44)

日本(日経平均指数):28,519.18(前週対比+380.15)

中国本土(上海B):3,566.378(前週対比-3.730)

 

4.中東フリーランサー報告4

 

元三井物産戦略研究所シニアフェローの大橋さんから掲題の中東レポートを昨年末に頂戴しましたので添付の通り皆様に共有させていただきます。 

大橋さんからは以下のメッセージを頂いております。

 

今年初めての中東フリーランサー報告ですが、前号を大晦日に出した数日後、サウジアラビアで開催された第41GCCサミットで、「カタール断交」が遂に収束し、湾岸情勢に大きな変化が訪れました。今回は同サミットの共同コミュニケの分析を中心に、関係国、特にサウジの今後の動きについて考えてみました。同時にイラン情勢についても少し触れています。

 

ところで、30年前の本日は湾岸戦争勃発の日に当たります。多国籍軍の攻撃は17日に開始されましたが、16日には通信へのジャミングが開始され、戦争が起きることを覚悟させられたのを思い出します。私は最後の最後まで、先にイラク軍が撤退を始め、多国籍軍の攻撃の名目を潰し、サダムフセインはイラク軍を温存すると信じていたのですが、事実はそうはなりませんでした。サダムフセインも、軽々に撤退できぬほど、国内政治的には追い詰められていたのでしょう。今日、日経新聞などは湾岸戦争時の日本政府の姿勢を教訓として、日本の防衛政策が今後どうあるべきかに議論を集中していますが、当時の人質の心情からすれば、そうした米欧にいかにご納得頂くかの政策(と言うよりも方法)を論じるよりも、こうした事態を前に、国民の心の持ちようはどうあるべきかを議論する方が、より本質的だと今も思っています。コロナ禍対策も、医療の充実は勿論大切ですが、一番大切なのは、国民がどのような認識を持って生活を続けるかが一番重要なのではないかと思う次第です。政府のアピールも、一歩間違えば情報統制やミスリードに繋がってしまう。実に難しい問題だとは思いますが。

 

詳細の報告書はこちらにご覧ください。

 

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