ニュースレター国内版 2019年・春(236号)

日賑グローバル・ニュースレター国内版(第236号)

 

 

 

1. 米国経済活動復活の見通し

 

 

2. コロナ危機を契機に一気に遠隔医療を進めるイスラエル 

 

 

3. 東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の最新レポートを弊社にてダイジェスト版化

 

 

4. 中東フリーランサー東京報告47

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1.米国経済活動復活の見通し

 

 

 

今週、米国ウォールストリートの投資銀行で三菱UFJの傘下にあるモルガンスタンレーが「COVID-19:米国を元に戻す処方箋」という経済復活のシナリオを示すレポートを出したということで、その要点をワシントンDCの知人が下記のとおり教えてくれました。

 

 

  • 4月中に一日当たりの検査数を50にする。
  •  5月に全国の感染者数がピークとなるよう感染を抑え、同月末までに一日当たりの検査数を100万にする
  • 6月には血清試験を広く行えるようにし通常業務に戻る人々の第一波が生じる
  • 夏の最中に通常業務に戻る人々の第二波が来る
  • 9月に学校が再開する
  • 10月に医療従事者向けに潜在的ワクチンが用いられる
  • 11月中旬から新型コロナウィルス感染の第二波が生じる可能性あり。
  • 来年3月にワクチンが広く使われるようになる

 

 

トランプ大統領は早々に米国の経済を再開するべく発言を行っているが、憲法的にも現実的にも州知事がそのタイミングを握っており、彼らが致死率がピークを越えたと判断した段階でソーシャルディスタンスの制限を緩めるところから再開していくという。 

 

 

とはいえ、大きな活動の再開は今後約70日間は起こらないであろうといわれている。

 

 

この点、血清試験が広く行えるようになると、感染の有無だけでなく、抗体を持っているかどうかまでわかることからロックダウンのような全員の外出禁止でなく、部分的な制限に落ち着き、自由な行動が取れる人々が出てくることになる。 

 

 

もちろんワクチンが出回るまでは抗体を持たない人々の行動は制約される。

 

 

サンダース上院議員が民主党大統領候補選から撤退し民主党大統領候補となることが確定したバイデン前副大統領はニューヨークタイムズに彼の考える「米国の再開計画」を寄稿したが、内容に特にこれといった特徴は無く、専門家の英知を生かし、産業別にメッシュ細かく対応するべきといったものであるとのこと。

 

 

最後に、先月末から今月初頭にかけてCFO Research社が行った333社の財務担当幹部へのアンケート調査結果は下記のとおり。

 

  • 回答者の約半分は今年第3四半期にV字回復か通常の経済活動に戻っていると回答。
  • 40%の回答者は経済の停滞が来年まで続き、経済回復の姿はV字ではなくU字と予想
  • 9%の回答者が不況は2022年まで続くと予想。
  • 因みにミネアポリスの連銀のトップのニール・カシュカリ氏はウィルス感染の第二波が生じると18か月間もの間経済活動の停滞が続くと予想しており、仮に第二波がこなくてもV字回復は困難と見ているという。

 

 

 

2. コロナ危機を契機に一気に遠隔医療を進めるイスラエル

 

 

 

イスラエルにある総合病院で規模は中東一、医療の質は世界トップ10に入ると言われるShebaメディカルセンターが行っている新型コロナウィルス感染患者向けの遠隔医療(テレメディスン)の様子と、それを支える遠隔医療機器の紹介が今週在東京イスラエル大使館主催にてオンラインで行われたのでその要点を紹介する。 

 

 

今年横浜に停泊したダイアモンドプリンセス号の中で感染した乗客の中には14人のイスラエル人がおり、その全員がイスラエルに戻ってShebaメディカルセンターに入院している。 

 

そこでの治療は専ら遠隔医療にて行われている。 

 

 

症状の程度を診るために病院の外にあるテレテント内に感染者が入り、離れたところにあるコントロールルームからテント内にあるTyto Careという携帯デバイスを感染者自身が胸にあてたり、口内を映したり、目を映したりして通常医者が触診する内容を一通り遠隔で効率的に判断する

 

 

無症状や軽症と診断された人々は自宅や宿泊施設で隔離される中で先ほどのデバイスで定期的に体調を医者に報告する。 

 

 

その際にUniperという通常のテレビに小型カメラを装着し、ルーターとリモコンとでそのテレビ画面を通じて医者と患者が双方向でコミュニケーションできるデバイスを用いる。

 

このデバイスにより医者とは別に、家族や患者同士、介護士とも双方向で繋がることができる

 

もう少し症状が進行して横になっている時間が長い患者にはマットレスの中に敷いてあるEarly Senseというセンサーがリアルタイムにバイタルデータの落ち込みをモニターし、AIの判断で人工呼吸器の必要性やICU移動の必要性に関する警報(アラート)を出す。 

 

また、In Touch Telepresence Robotというロボットが各病室間を動き回りある程度の介護業務を受け持つ。 

 

 

中等症状者向けにも相応の遠隔センサーが備わっており、重症患者向けにはDatosという中央集中管理ソフトで夫々の患者の状況をリアルタイムに把握し適切な治療に繋げているという。

 

この病院では1千人ものコロナ患者がこの遠隔医療を受けているという。

 

 

医療関係者を感染から守り、かつ限られた医療リソースを集中管理し、必要なところに効果的にタイムリーに提供して命を救うというシステムが完備されていると感じました。

 

 

当日のプレゼン資料を添付いたします。

 

 

因みにイスラエルの人口が少ない割に(日本の14分の1)感染者絶対数が日本より少し多い状況にあるのは、同国のハレディームと呼ばれるユダヤ教超正統派の人々が政府の行動制限を受け入れず、過ぎ越し祭など宗教イベントごとに活動し、冠婚葬祭も従来通りの宗教儀式に則り大人数で集まっていたために他の世俗派のイスラエル人の感染率の4倍以上の割合で感染しているためとのこと。 

 

 

一方で、致死率は日本よりもかなり低く、上記の遠隔医療の効果が出ているのかもしれません。 

 

したたかなのは、この危機をイスラエル製遠隔医療システムのハードとソフトの輸出機会ととらえているところでしょうか。

 

 

 

3. 東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の最新レポートを弊社にてダイジェスト版化

 

 

 

(1)  中国

 

l  米台バーチャルフォーラム実施

 

台湾と米国の高官がバーチャルフォーラムを開催した。

 

米国政府・国務省によると、フォーラムは米東部時間3月31日に開かれ、米国から国務省国際機構局のパム・プライアー次官補代理や対台湾窓口機関、米国在台協会(AIT)台北事務所のブレント・クリステンセン所長(大使に相当)らが、台湾からは高碩泰駐米代表(同)や外交部の謝政務次長らが参加している。

 

米台双方は、新型コロナウイルスの感染拡大防止に於ける台湾の取り組みを世界と共有することや、台湾をオブザーバーとして世界保健機関(WHO)総会に復帰させる方策などについて意見を交わしている。

 

 

 

3月のサービス業PMIは引き続き低い水準で推移

 

財新/マークイットが発表した本年3月の中国サービス部門購買担当者景気指数(PMI)は43.0となり、過去最低だった前月の26.5からは持ち直したものの、景況拡大と悪化の分かれ目となる50を依然大きく下回っている。

 

また、3月のサービス業PMIは2005年の統計開始以来の最低水準だった前月に次ぐ、2番目に低い水準となっている。

 

新型コロナウイルス感染拡大を受けて店舗閉鎖や移動制限など前例のない措置が取られたことで、3月はサービス業の受注が2カ月連続で落ち込み、企業が経費削減に動く中、かつてないペースで雇用が減少している。

 

 

 

3月の新車販売台数前年同月比43.3%

 

中国の中国自動車工業協会が発表した本年3月の新車販売台数は、前年同月対比43.3%減の143万台となっている。

 

2月の79.1%減からは落ち込み幅が縮小したものの、引き続き、新型コロナウイルスの影響で大幅なマイナスになっており、また前年実績を下回ったのは21カ月連続となっている。

 

尚、中国では新型ウイルスの感染封じ込めが進展したのに伴い、自動車メーカーや販売店での活動再開が進んでおり、回復の期待は持たれている。

 

 

 

(2)韓国/北朝鮮

 

2月のオンラインショッピング前年同月比24.5%

 

韓国政府・統計庁が発表した、「オンラインショッピング動向」によると、本年2月のインターネット通販の取引額は前年同月対比24.5%増の11兆9,618億ウォンとなっている。

 

新型コロナウイルス感染の拡大を受けた外出自粛が影響し、増加率は2018年10月の30.7%増以来、16カ月ぶりの大きさを記録している。 

 

 

 

米軍による対中・対北偵察の動き

 

新型コロナウイルス感染者の米軍空母内での拡大等により、米国の東アジアに於ける防衛能力の低下が指摘されている。

 

こうした中、米国の最新鋭無人偵察・攻撃機となる「グレイ・イーグルER(Extended Range=飛行時間延長型)」6機が本年内に在韓米軍に配備される予定である。

 

この最新のグレイ・イーグルERは既存のグレイ・イーグルと比べて飛行時間と武装搭載量が50%ほど向上し、北朝鮮や中国本土に対する偵察および打撃能力が大幅に向上すると予想されている。

 

 

また、民間の航空追跡サイトである「エアクラフト・スポット」によると、米空軍の偵察機RC135Wが4月7日に、韓国の江原道春川市と京畿道広州市、首都圏、仁川市の上空を飛行したと発表している。

 

 

尚、この偵察機は4月4日にも韓国上空を飛行したと見られている。

 

 

RC135Wは米空軍主力の通信傍受用偵察機で、ミサイル発射前に地上の計測機器が発するシグナルを捉え、弾頭の軌跡などを分析する装備を備えているものであり、米軍がこのRC135Wを出撃させたのは、北朝鮮地域の移動式発射台(TEL)や主なミサイル基地を監視する目的と見られている。

 

 

そして、韓国軍、在韓米軍当局も、北朝鮮のTELの動きを精密に監視しているとも見られている。

 

 

 

[主要経済指標]

 

1     対米ドル為替相場

 

韓国:1米ドル/1,211.23(前週対比+19.30)

 

台湾:1米ドル/30.03ニュー台湾ドル(前週対比+0.21)

 

日本:1米ドル/108.38円(前週対比+0.05)

 

中国本土:1米ドル/7.0916人民元(前週対比-0.0007)

 

 

 

2.       株式動向

 

韓国(ソウル総合指数):1,860.70(前週対比+135.26)

 

台湾(台北加権指数):10,157.61(前週対比+493.98)

 

日本(日経平均指数):19,498.50(前週対比+1,678.31)

 

中国本土(上海B):2,796.631(前週対比+32.644)

 

 

 

4. 中東フリーランサー東京報告47 

 

 

 

三井物産戦略研究所の大橋研究員から掲題の報告を頂戴しましたので皆様と共有させていただきます。 大橋さんからは下記のメッセージを頂戴しています。

 

 

 

新型コロナウイルス禍で、国内外を問わず、殆どの読者の方々が在宅勤務を余儀なくされていることと拝察します。通勤時間が無いとけじめがつかず、運動不足に、夜の活動自粛に、髀肉之嘆を囲っておられる方も多いことでしょう。これで在宅勤務の方が成果が上がったら、オフィス勤務とはいったい何だったんだと言うことになりかねませんが、働き方改革と言うよりも、仕事の環境の見直しと言う点で、今回の事態を気づきの機会として前向きに受け止めようとしております。(が、やはり外出したい!)

 

 

さて、前号発出時にOPECプラス決裂、サウジ王族拘束と言うニュースが飛び込み、その後コロナ禍も相まって油価暴落、株式市場大荒れと言う動乱が続く一カ月間となりました。今回はこれらの事象を、メディアとは違った角度で「在宅の考察?」を行ってみました。皆様もお時間の余裕は増えたこととは思いますが、ご笑覧頂けましたら幸甚です。

 

 

 

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