ニュースレター国内版 2019年・冬(231号)

 

 

1. 就任後最高支持率と弾劾裁判無罪見通しを背景にしたトランプ大統領一般教書演説

 

2. 薬物被害が頭打ち? - アメリカの平均寿命微増

 

3. 東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の最新レポートを弊社にてダイジェスト版化

 

4. 外国人材アクセス.comコンテンツのご紹介

 

 

 

 

1.就任後最高支持率と弾劾裁判無罪見通しを背景にしたトランプ大統領一般教書演説

 

 

 

世論調査のギャロップが116日から29日にかけて行った支持率調査で、トランプ大統領は就任来最高となる49%の支持率を獲得、前回115日の調査の44%から5%も上昇した(不支持は53%から50%にダウン)。 

 

共和党支持層では89%から94%へ、無党派層では37%から42%に上がっている。 

 

イラン革命防衛隊のソレイマニ司令官殺判断を支持する割合が53%と高かったことも大統領の支持率上昇に寄与している模様。 

 

大統領にとっては好ましい状況下の24日、今年の大統領一般教書演説が議会にて行われた。 

 

その時点で弾劾裁判の判決は出ていなかったが、上院での無罪判決が予想されており、余裕を持っての登壇であった。 

 

トランプ大統領が壇上に立つと共和党議員からの「もう4年(Four more years!)」のシュプレヒコールが鳴り響いた。

 

壇上に登ってペロシ下院議長にスピーチ原稿を渡したあとに同議長が差し出した握手の手を大統領は握らず、また終了後も大統領はペロシ議長とペンス副大統領が控える後ろを振り返りもせずに降壇、一方のペロシはスピーチ原稿を破り捨てるというパフォーマンスであった。 

 

スピーチの内容は既に広く報道されている通りで、過去3年間の好調な雇用を背景にした経済の実績をオバマ政権との対比で強調した。

 

選挙対策のキーワードとして「inclusive(包摂政策)」というpolitically correct(政治的建前)と共に、「ブルーカラーブーム」という言葉で広く労働者層に実績訴を求するメッセージを送った。 

 

貿易協定改善が大統領としての最大の公約であったと位置づけ、つい最近NAFTAからUSMCAに切り替えたことで実現したと自画自賛、刑法改善、米国内への米企業の投資還元加速、対中取引改善、外交(対キューバでのオバマ政権との正反対の政策、ベネズエラの野党支援(野党リーダー議場に招待))、同盟国、特にNATOに応分の費用分担させるなどの実績を強調した。 

 

アフリカ系に対するメッセージとしての人権や教育改善、不法移民を利するヘルスケアを改定する方策、国境の壁建築の進展、医薬品・薬価問題から中絶問題、子供の医療ケア、家族有給休暇、不法移民対策などでも実績を強調した。

 

学校での信教の自由ではフランスのような制限をしないと当てつけ、不法移民問題ではペロシ議長の出身のカリフォルニアや民主党州のニューヨークが不法移民の権利を認めている聖域都市を批判、同都市で如何に理不尽な犯罪を不法移民が起こしているかを犠牲者の家族を招いて当てつけた。 

 

憲法修正2条の銃の保持の権利は譲らないと宣言、最高裁判事2名を含め180人以上もの連邦政府判事任命も実績として誇示。 

 

NASAの予算要求において、月面に初の女性飛行士を連れて行き、その後に人類初の火星着陸を目指すと公言した。

 

イランのソレイマニ司令官殺害の正当性を、彼のこれまでの作戦で殺された被害者家族を招きつつ説明し、イランには和平を望むのか、それともさらなる制裁かの選択を迫った

 

そして最後にアフガンからの完全撤収を宣言した。 

 

小生が最初にワシントンDCに駐在していた1991年には湾岸戦争で勝利したパパブッシュの支持率が90%を超えていたものが翌年の再選を争う年には不況から30%台にまで急降下した(ロスペローという第三の候補が彼の支持を食った分もあるが)。

 

そのころ、ホワイトハウス前を歩くと「Four more years?」というプラカードを持って歩いている人を見かけました。 

 

「あと4年?勘弁してよ」というトーンだったと記憶してます。

 

 

 

2. 薬物被害が頭打ち? - アメリカの平均寿命微増

 

 

 

薬物の過剰な服用による死亡者の数が過去28年間増加の一途をたどっていたが、2018年に初めて減少に転じ、また、アメリカの平均寿命が4年ぶりにわずかながらも増加に転じたと米国疾病管理予防センターが発表した内容をワシントンポストが報じた。 

 

2018年のアメリカ人の平均寿命は78.7歳(男性76.1歳、女性81.1歳)で2017年の78.6歳からわずか0.1歳ながらプラスに転じた

 

寿命延伸に最も貢献した要因はがんによる死亡率が下がったこと。 

 

死因トップの心臓病や、慢性呼吸器疾患、脳卒中やアルツハイマー病による死亡率も減少している

 

糖尿病と腎臓病の死亡率は変わらずで、自殺とインフルエンザ、肺炎については死亡率が高まっている。 

 

アメリカ医療協会のジャーナルによれば、年代ベースで振り返ると、2010年代で平均寿命に特に大きな進展は見られず、寿命の伸びと死亡率の減少は1970年代がピークであったという。 

 

特に足を引っ張っているのが、25歳から44歳という最も活動的な世代の死亡率が長期的に高まっていること。 

 

これにより他の先進国と比べて平均寿命はかなり低い

 

根本的な理由としては予防治療など含めた基本的な医療体制が乏しく、個人負担の医療費が高いことが挙げられ、結果として予防可能な病気での入院率と適切な医療制度なら避けられた死亡率が先進国で最高となっている。 

 

また、肥満率が高く、10人中4人が「(医学的に)肥満」、3人が「太り過ぎ」で、生活習慣病の予備軍が多いことも原因となっている。

 

ただ、今回の記事での特筆点はオピオイド鎮痛剤の過剰服用や中毒に伴う死亡率が2012年以来増加していたものが2018年に下降に転じ、死亡者数そのものも総人口増加にも関わらず2017年の70,237人から67,367人に減少したことである。 

 

1990年代末に始まった処方薬としてのオピオイド鎮痛剤の製薬会社による大規模な販促が20年でこれだけの被害をもたらしてきたといえる。 

 

この薬害を食い止め、患者を救うために連邦・州・市政府は何十億ドルもの公的資金を注ぎ込んできている

 

オバマ大統領の国民皆保険実現への強い思い、ミシェルオバマ前大統領夫人の食育を通じた児童の肥満防止など、前政権はこの医療・健康問題に真っ向からぶつかっていたが、過去20年を通じてアメリカ社会が積み上げてきた格差や「中西部の忘れられた人々(地域)」のストレスのはけ口として営利主義の医薬品メーカーの手口に乗ってしまったのであろうか。 

 

トランプのキャンペーンメッセージがそういった人々に多少の気晴らしを与えたとしても抜本的解決には至っていないのが現状といえよう。

 

 

 

3. 東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の最新レポートを弊社にてダイジェスト版化

 

 

 

(1)  中国

 

l  台湾の昨年第4四半期GDP3.8%アップ

 

台湾の2019年10~12月(第4四半期)国内総生産(GDP)は前年同期対比3.38%増加したと台湾政府は発表している。

 

また、企業による投資が中国本土から台湾域内へと回帰していることが押し上げ要因となり、市場予想を上回る成長を果たしたとコメントされている。

 

 

 

l  コロナウイルスで経済悪化が見込まれる北朝鮮

 

北朝鮮と国境を接する中国の東北3省を含む中国全域で新型コロナウイルスの感染が急速に拡大する中、北朝鮮政府は中国との貿易をストップし、中国国内に駐在する北朝鮮領事館は、中国人に対する北朝鮮入国ビザの発給を全面的に中断している。

 

北朝鮮にとっては、国連の制裁による経済難と恒常的な外貨不足を補う最大のルートであった中国の新型コロナウイルスの拡大により、経済の更なる悪化は必至との見方も出ている。

 

そして、人的交流をストップする一方、食糧とエネルギー資源の供給だけ、中国などに要請しているものとも見られている。

 

 

 

l  資金供給で景気下支えを図る中国人民銀行

 

中央銀行である中国人民銀行は、1年物の標的型中期貸出制度(TMLF)を通じて一部の商業銀行に2,405億人民元を国内金融市場に供給し、景気の下支え姿勢を示している。

 

一方、金利そのものは、国内金融市場の引き下げ予想に反して、据え置くと発表されている。

 

金融緩和の一一旦のペース鈍化姿勢とも見られている。

 

 

 

(2)韓国/北朝鮮

 

l  米側に不満がみられる米韓防衛費分担交渉

 

米韓の防衛費分担金交渉について、米国政府・国務省は公式声明を発表し、

 

「歩み寄りにはまだ相当多くの努力が必要である」とコメントしている。

 

韓国国内ではこの米韓交渉の妥結について、楽観的な見方が出ているが、これに対する米国政府の不満や警告とも見て取れる。

 

そして、米国国務省は、「我々は、防衛費分担特別協定(SMA)が米韓両国の間でほぼ合意に至ったという報道を見たが、実際のところ互いに受け入れ可能な合意に到達するにはまだ相当の努力が必要である」と厳しいコメントをしている。

 

 

 

l  「四重苦」に苦しむ韓国中小企業

 

韓国も日本同様、経済社会に於ける中小企業の比率は高く、中小企業は約630万社、雇用者は1,599万人となっており、韓国全体の企業数の99.9%、雇用の82.9%を占め、むしろ、日本以上に中小企業の役割は大きいとも言える。

 

そして、これまで、例えば1997年のアジア通貨危機や2008年の世界的な金融危機となるリーマンショックなど、大きな経済危機にも耐えてきたが、ここにきて、内需景気の悪化、輸出不振、最低賃金の急上昇、労働時間の短縮という、韓国国内では、「四重苦」と言われるピンチに直面し、そこに、金融機関の貸し渋りや貸し剥がしも最近では見られ、追い打ちが掛けられる中、自主廃業や倒産も増えてきている。

 

 

 

[主要経済指標]

 

1     対米ドル為替相場

 

韓国:1米ドル/1,192.37(前週対比-26.28)

 

台湾:1米ドル/30.23ニュー台湾ドル(前週対比+0.07)

 

日本:1米ドル/109.01円(前週対比+0.60)

 

中国本土:1米ドル/6.9364人民元(前週対比+-0.000)

 

 

 

2.  株式動向

 

韓国(ソウル総合指数):2,119.01(前週対比-127.12)

 

台湾(台北加権指数):11,495.10(前週対比-623.61)

 

日本(日経平均指数):23.205.18(前週対比―622.00)

 

中国本土(上海B):2,976.528(前週対比+-0.000)

 

 

 

4.外国人材アクセス.comコンテンツのご紹介

 

 

 

新たにアップしたコンテンツをいくつか紹介をさせていただきます。

 

 

 

1.【動画】(株)日照堂社長、追分健爾さんとのインタビュー, YONEYAMA ASKS: https://www.youtube.com/watch?v=SvzYEe731UQ&feature=youtu.be

 

2.【動画】(株)大和合金社長、萩野源次郎さんとのインタビュー, YONEYAMA ASKShttps://www.youtube.com/watch?v=fYbUwrX3dpY&feature=youtu.be 

 

3.【ブログ】「文化の日本人と血の日本人」荻野アンナさんの講演録から感じたこと: https://www.gaikokujinzai-access.com/post/thoughts-1

 

4.【ブログ】「フィリピンへの展開を目指すR社とフィリピン人M君」 https://www.gaikokujinzai-access.com/post/gaikokujinzai-2

 

 

 

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