ニュースレター国内版 2022年・夏(297号)

日賑グローバル・ニュースレター国内版(第297号)

 

1.「勝利宣言」か「不正選挙の訴え」の二択で「敗北宣言」は存在しない共和党候補者

2. 女性差別が横行する米国のYouTube

3. 東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の最新レポートを弊社にてダイジェスト版化 

4. 寺島実郎さんメディア登場情報

 

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1.「勝利宣言」か「不正選挙の訴え」の二択で「敗北宣言」は存在しない共和党候補者

 

11月の中間選挙で接戦が予想される19もの選挙区の民主共和両党の上院議員候補、州知事候補に対しワシントンポストが行った調査で、選挙結果が仮に自分の勝利でなかった場合、その結果を受け入れるかとの問いに、12人の共和党候補者は回答をしないか、敗北宣言をコミットすることを拒むという結果となった。 その12人の候補の州は下記の通り。

 

知事候補         

アリゾナ州、フロリダ州、カンザス州、ミシガン州、ペンシルベニア州、テキサス州、ウィスコンシン州                                      

上院候補          

アリゾナ州、フロリダ州、ニューハンプシャー州、ノースカロライナ州、ウィスコンシン州

 

これに対し、民主党候補者は18人が結果をそのまま受け入れると回答、1人(カンザス州知事候補)だけ無回答であった。前回の大統領選でのトランプ前大統領による「選挙に不正があり勝利を奪われた」との主張を共和党候補者が引き継ぐ形で現在の選挙態勢の信ぴょう性が中間選挙の争点の1つにすらなりつつある。普段は途上国での選挙が民主的に行われるようにすべく候補者に事前に選挙結果を受け入れる証明書を出させる活動をしているカーターセンター(カーター前大統領が自由と人権の唱道のために設立)は、今年は自国の中間選挙の特に激戦州のアリゾナ、ジョージア、フロリダ―、ノースカロライナ及びミシガンの5州で同様の証明書を出させる活動をしている。バイデン大統領は今月行われたスピーチで「もし候補者が2つの選挙結果即ち自分が勝つか、選挙が不正であったと主張するか、しか信じないならば、民主主義は生き残れない」と強調し、MAGAMake America Great Again)共和党員と呼ばれるトランプ陣営をけん制した。

 

もともと候補者は得票数が僅差であるとか具体的な不具合があった場合には選挙結果に正式に抗議をする権利を与えられている。即ち得票数の数え直しや司法に訴える道が備わっている。その道を経ても選挙結果を変えるに値する証拠や得票数にならない場合、集計を担当した郡や州の選挙運動委員が結果を認証することになるそれを行わない場合には州の最高裁がそうすることを命じることになる。ということで直近の懸念は中間選挙結果後の“敗北”した共和党候補がどういった行動に出るかだが、もっとややこしい問題が2024年の大統領選に出てくる可能性がある。

 

例えば共和党のペンシルバニア州知事候補のマストリアーノ氏は、前回の大統領選に不正があったと主張しており、自分が知事になったならば不正の原因の一つと見ている投票機を廃止し、自分と同じ考えの人間を州務長官として任命し納得いく選挙結果のみを認証させると公言している。筆者がこれまでテレビ報道などを通じてみてきた米大統領選では負けが濃厚となった候補者は勝者に電話を入れ潔く敗北を認め、応援者への感謝の演説を厳かにかつ品位をもって行うというパターンで、一方、勝者は勝利演説で敗者を称えてきた。 

 

2016年の大統領選でトランプ前大統領に敗れたヒラリー・クリントン候補もトランプに電話を入れていた。印象深かったのは2008年の大統領選に敗れた共和党の故ジョン・マケイン候補で、彼は敗北宣言演説で支援者に対し、「これからはオバマ氏が私にとっての大統領であり、みなさんもそう思って彼を支援しようではないか」と語った姿であった。

 

2.女性差別が横行する米国のYouTube

 

YouTubeが女性差別の温床となっているというショッキングな記事がワシントンポストに出ていた。2016年の時点でこの問題が指摘され、YouTubeの女性社長のSusan Wojcickiは善処を誓っていたが一向に改善していないという。この問題を取り上げた新著『Like, Comment, Subscribe: Inside YouTubes Chaotic Rise to World Domination』の著者でブルーンバーグのレポーターのMark Bergenは、人気が出てくる女性のユーチューバーに対し嫌がらせやいじめ、付きまといといった集中攻撃をYouTubeビデオを通じて行い、それが多くのフォロワーを生んでそうした嫌がらせを行う人間に高額の収入が入るという悪循環が生じている様子を紹介している。

 

YouTubeとして2019年に新たな嫌がらせ禁止ポリシーを発表しているが具体的な取り締まりや排除行為にまでは至っていない。英国のCenter for Countering Digital Hateというオンライン上の人権監視団体は、女性蔑視や女性攻撃のYouTubeコンテンツがフォロワーを集め、それが時に大金になるということでその手のコンテンツが繁茂していると報告している。ある女性ユーチューバーの人気が高まるとその彼女への過激なメッセージや、プライバシーに関する情報を暴露したりすることでその女性ユーチューバーの注目の高さを原動力としたフォロワーを獲得するというパターンである。

 

例えばジョニーデップが元妻のAmber Heardを名誉棄損で訴え勝利したあとに、Amber Heardに対する攻撃のYouTubeコンテンツが急増し、またイギリスのハリー王子と結婚したメーガン妃に対する蔑視コンテンツが急増している。動画コンテンツとして人気が高騰しているTikTokに対するYouTubeとしての対抗馬がYouTube shortsだが、そこにも女性攻撃のコンテンツが掲載され、フォロワーの多さが収益をもたらしている。

 

以上はアメリカのYouTubeの様子だが、今年315日に1800人もの日本の小学生男子に総合人材サービス会社のアデコグループが行ったアンケート調査では、将来就きたい仕事トップ3は1位のサッカー選手に次いで2位にユーチューバー、3位が野球選手となっていた。中学生男子だと会社員、エンジニア・プログラマー、公務員の後の同率5位でユーチューバーが登場する。日本の小中生は面白いコンテンツでフォロワーを集めれば高収入につながると感じているのであろうが、上述のアメリカのようなフォロワーの集め方にはならないことを祈るのみである。

 

3. 東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の最新レポートを弊社にてダイジェスト版化

 

(1)  中国

l  台湾のブランディング動画公開

台湾政府・外交部、10月10日の双十国慶節(中華民国の建国記念日)を祝う為に制作した動画を公開した。「強靭な台湾、世界と一つに」と題し、民主主義や外交、科学技術、経済、文化などの各分野における台湾の成果と物語を紹介している。5分余りの動画は中国語の他、英語、日本語など13の言語で制作されており、英語版は30秒版と約2分半版の2つのバージョンも用意された。台湾政府・外交部の公式ユーチューブなどで公開されている。

 

l  中国のインフレは沈静化傾向

中国本土政府・国家統計局が発表した本年8月の中国の消費者物価指数(CPI)は前年対比2.5%上昇と、市場予想の2.8%上昇を下回った。また、消費者物価指数(PPI)は昨年2月以来の低い伸びの水準となった。猛暑や新型コロナウイルスの感染再拡大が影響、また内需の弱さを反映し、当局にさらなる政策緩和余地を与える内容となったと見られている。エネルギー・原材料価格の下落が物価上昇の鎮静化の背景とされている。

 

l  ヒトモノカネを半導体に集中する台湾

台湾は、産官学・金融、国家を上げて半導体関連産業の育成、発展に努めている国である。

昨年末には蔡英文総統肝いりで、台湾に4つの半導体専門学校が設立され、必要に応じて、更なる支援も行うと約束した。 国家発展基金も、専門学校設立当初はやるべきことがたくさんあるであろうが、資金については、基金も積極的にサポートしていく予定であり、心配する必要はないとの姿勢を示している。台湾の半導体主要企業の台湾積体電路製造TSMCは2ナノの半導体を2025年には大量生産するとしている。市場の評価もそうしたTSMCの計画については楽観的に見ており、比較競争優位を拡大、TSMCのライバルとなる韓国の三星電子や米国のインテルを更にリードするのではないかとも予想されている。また、FINFLEX アーキテクチャを採用した3ナノプロセスは、本年の下半期に量産される予定と見られている。

 

(2)  韓国/北朝鮮

l  FDI減少に危機感を有する韓国財界と政府

本年上半期に韓国向けの海外直接投資(FDI)誘致が昨年に比べて15%以上減少したことが分かった。こうしたことから韓国国内では、「米国やフランスのように政府レベルでもっと海外投資の誘致を積極的に行うべきである」との声も出始めている。こうしたデータは韓国の経団連と言われる全国経済人連合会が示した、「主要先進国のFDI誘致政策と韓国への示唆点」と題された報告書の中で公表されたものであり、その中では、「過去5年間(2017~2021)に於ける20カ国・地域(G20)のFDIランキングを比較したところ、韓国は2017年の15位から2021年には17位へと2ランクダウンした」とされ、また、本年7月に産業通商資源部が公表したFDI誘致報告書によると、今年上半期のFDI誘致額(申告基準)は昨年に比べて15.6%少ない110億9,000万米ドルに留まったと報告されている。これに対して本年1~3月期における韓国企業による海外直接投資(ODI)は前年同期対比123.9%増の254億米ドルとなっている。

 

昨年1年間の海外投資誘致額と流出額を比較すると流出額が807億6,000万米ドル多くなっており、全経連は上記の報告書の中で、「韓国国内に於ける企業の経営環境悪化と韓国企業の海外投資ブームにより2014年からの7年間で投資の赤字が5倍を超えた。世界的な投資先としての韓国の魅力が徐々に低下している」と分析した上で、「FDI誘致に積極的な米国やフランスの事例をベンチマークとして活動すべきである」と主張している。

 

l  ポーランドと韓国製FA50戦闘機輸出販売契約締結

韓国航空宇宙産業(KAI)は、ポーランドで同国の国防省と韓国製戦闘機「FA50」48機の輸出に関する本契約を締結したと韓国政府。国防部などが発表している。契約金額は30億米ドル規模、契約式にはドゥダ大統領やブワシュチャク国防相が出席するなど、防衛力強化に向けたポーランド政府の強い意思が示されたと韓国では報告されている。韓国側からはKAIの姜求永(カン・グヨン)社長や防衛事業庁の厳東煥(オム・ドンファン)庁長が参加した。

 

KAIなどによると、戦闘機1機の輸出は中型車1,000台の輸出に匹敵する経済効果があるとされており、KAIは今回の輸出で約10兆ウォンの波及効果があると推算している。韓国は防衛産業を有望成長産業、外貨獲得産業として産官学・金融で支えている。

 

[主要経済指標]

1.    対米ドル為替相場

韓国:1米ドル/1,374.93(前週対比-17.26)

台湾:1米ドル/30.78ニュー台湾ドル(前週対比-0.21)

日本:1米ドル/142.35円(前週対比-2.14)

中国本土:1米ドル/6.9243人民元(前週対比-0.0233)

 

2.      株式動向

韓国(ソウル総合指数):2,384.28(前週対比-25.13)

台湾(台北加権指数):14,583.42(前週対比-89.62)

日本(日経平均指数):28,214.75(前週対比+563.91)

中国本土(上海B):3,262.054(前週対比+75.576)

 

4.寺島実郎さんメディア登場情報

 

寺島文庫殿から寺島実郎さんのメディア登場情報を下記の通り入手しましたので共有させていただきます。

 

下記にて、918日放送のMXテレビ「寺島実郎の世界を知る力」第24回放送につきまして、

YouTubeでの見逃し配信が始まっておりますので、ご連絡致します。

 

TOKYO MX「寺島実郎の世界を知る力」(2022918日放送)

【第24回放送】

2022年秋の世界認識・多次元化する世界/21世紀は宗教の世紀~旧統一教会問題の構造」

https://www.youtube.com/watch?v=TVWB53sG6YI&list=PLkZ0Cdjz3KkhlIA30hZIT5Qnevsu0DBhY&index=1

 

また、今週末の「対談篇 時代との対話」(第18回放送・2022925日(日)午前11時~)は、DX分野におけるベンチャー企業の若手経営者の謝英弟氏(株式会社VRC 代表取締役社長)、米重克洋氏(株式会社JX通信社 代表取締役社長)をゲストにお迎えし、寺島と鼎談致します。ぜひご視聴頂ければと存じます。

 

《メディア出演情報(追加)》

2022/10/9(日)08:00

TBS系列「サンデーモーニング」

 

さらに、全国約500店舗の「快活CLUB」で視聴頂けます

寺島文庫オリジナル動画及び寺島文庫YouTubeチャンネルに関して、お知らせ致します。

 

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◆◇『学びの再出発』◇◆

~寺島文庫のオリジナル動画が

 全国約500店舗の「快活CLUB」でご視聴いただけます~

【月1回更新】 9月分は21日(水)より配信!

 

今回は、「21世紀を生きる人間として磨くべき感受性」をテーマに、人間が持つ「意識の力」について深く掘り下げます。また、戦中・戦後を生き抜いた2人の女性詩人の「詩」から生身の人間が持つ感受性を読み解き、現代を生きる私たちが時代とどのように向き合うべきか、寺島が語ります。

 

また、「今月の本棚」では、朝日新聞編集委員・三浦俊章氏との対談(後編)をお送り致します。今回は、ウクライナ危機が続いている現状を踏まえてE.H.カーの『歴史とは何か』及び『危機の二十年』を取り上げ、過去と現在の対話を通じて歴史と向き合います。

 

また、『「ナパーム弾の少女」 五○年の物語』(著:藤えりか)と『キャパの十字架』(著:沢木耕太郎)の戦争写真を切り口に、戦争ジャーナリズムの在り方について独自の視点から、寺島との対談を通じて深めます。

 

ぜひ快活クラブの店舗にてご視聴頂けましたらと存じます。

 

・詳細はこちら

https://www.terashima-bunko.com/minerva/kaikatsu-manabi.html

 

・お近くの店舗の検索はこちら

https://www.kaikatsu.jp/shop

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■□寺島文庫【公式】YouTubeチャンネル□■

「寺島文庫とは?寺島実郎が本にかける想いからルーツを語る」、

https://www.youtube.com/watch?v=uOgcnHILN4U

 

◆寺島文庫リレー塾アーカイブス配信中!◆

★第12期(2021年度)後期

 第1回講義(講師:寺島実郎)、第2回講義(講師:二木芳人氏)

https://www.terashima-bunko.com/minerva/bunko-archives.html

 

◆寺島文庫オリジナル「60de新常識シリーズ」配信中!◆

★第1弾「資産運用『お金を増やす常識・非常識』」

★第2弾「ビジネスの新常識-グローバル化とダイバーシティ」

https://www.terashima-bunko.com/minerva/60min.html 

 

◆『「みねるばの森」基金 設立にあたって」配信中!◆

https://www.youtube.com/watch?v=rxB8V3pJQDc

 

◆書籍紹介コーナー◆

「寺島文庫×NHK出版 コラボ企画」配信中!

https://www.youtube.com/playlist?list=PLJPVVD8dB3b34896ZMEQIA9ze1WXR6S2l

 

「寺島文庫×岩波書店 コラボ企画」配信中!

https://www.youtube.com/playlist?list=PLJPVVD8dB3b3TYPOrtDdkdEzIOPHvNFzn