ニュースレター国内版 2022年・春(290号)

日賑グローバル・ニュースレター国内版(第290号)

 

1. シャドーキャンペーンを展開中の共和党大統領候補立候補予定者

2. テックカンパニーバブルの終焉?

3. 東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の最新レポートを弊社にてダイジェスト版化 

4. 寺島実郎さんメディア登場情報

5.「ジャパンボウル世界大会2022」開催のこと 

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1.シャドーキャンペーンを展開中の共和党大統領候補立候補予定者

 

ワシントンポストとABCニュースが先月行った共同世論調査では共和党支持層の60%がトランプ前大統領を支持、トランプと異なるリーダーが党を率いるべきと回答したのは34%であった。

 

ただ、今年の中間選挙前の現段階で、トランプが2024年の大統領選出馬の意向を明らかにすると、中間選挙において反民主党の票が割れてしまいかねないことからトランプ陣営はまだ沈黙を保っている。 

 

相変わらずトランプに注目が集まる陰で、2024年に備えて虎視眈々と準備を進めている他の共和党大統領立候補予定者の様子をワシントンポストが“シャドーキャンペーン”と称して報じている。

 

マイク・ペンス前副大統領: キングメーカーと称される大富豪で共和党大口献金元のDeVosファミリーに共和党のあるべき姿をプレゼンしたトム・コットン上院議員(アーカンソー州選出): 大口献金者に過去の共和党大統領候補者と自分との違いをプレゼンして回るロン・デサンティス フロリダ州知事: 今年の州知事選で単に再選を果たすだけでなく、2020年にフロリダ州でトランプがバイデンに勝利した際のマージンの3%ポイント以上の差をつけて勝利することで自らの大統領候補としての適格性を示そうと準備マイク・ポンペオ前国務長官: アイオワ州やニューハンプシャー州といった予備選の緒戦が繰り広げられる州を訪問中

 

ニッキー・ヘイリー前国連大使: 同上

クリス・クリスティ前ニュージャージー州知事: ロナルド・レーガン大統領図書館で講演を行い、共和党のビジョンを示す  

ラリー・ホーガン メリーランド州知事: 同上

テッド・クルーズ上院議員(テキサス州選出):  同上

ティム・スコット上院議員(サウスカロライナ州選出): 同上

リック・スコット上院議員(フロリダ州選出):  同上   

 

彼らを含め少なくとも15人が“シャドーキャンペーン”を展開中だが、表立ってトランプと対峙してまで立候補する意欲を示すものは今の時点ではいない。トランプ自身、メディアとのインタビューで、「もし(立候補に意欲のありそうな共和党の人間が)本当に立候補したら自分としては驚きだ」と語り、けん制している。  

 

また、トランプ政権時の閣僚や仲間或いはトランプが支援して選挙に勝たせた政治家が自分に歯向かって立候補した場合にどのように攻撃することが効果的かをアドバイザーに尋ねているという。ニッキー・ヘイリーはトランプが立つならば自分は立候補しないと明言している。トランプに対する様々な訴訟や嫌疑が残る中、彼が次期大統領選に立候補しないという可能性はゼロではないとして、これだけ多くの立候補希望者が全米を駆け回っている。

 

2.テックカンパニーバブルの終焉?

 

シリコンバレーのテックカンパニーからスタートアップ企業、そしてベンチャー投資家にいたるまで10年以上もの繁栄が続いていたものが、ここにきて顕著な減速を示している様子をワシントンポストが特集した。  

 

代表的な兆候は以下の通りである。   

 

l  フェイスブック驚異的なペースで新規雇用を増やしていたものが、それを減速  

l  アマゾン:  同上  

l  Bird(電動スクーターのベンチャー):  従業員をレイオフ 

l  Superhuman(高速メーラーサービス):  同上  

l  テスラ: イロン・マスク社長は社員向けメッセージで「景気についてsuper bad feelingを感じている」と語った  

l  Lightspeed Venture Partner(ベンチャー投資企業): ブログで「過去10年の好況は明らかに終わった」と記している  

l  Stitch Fix(ファッションテック会社):正社員の15%をリストラ  

l  Cameo(ビデオアプリ):  レイオフを実施済み

l  世界のベンチャー投資資金は先月390億ドルと202011月以来の最低値に下落

 

テックカンパニーが中心を担うNasdaq株式市場も年初から28%も下落している。 

マイクロソフト、アマゾン、アップル、テスラ、グーグルなど有名大手も例外なく20%以上株価を下げた2020年のパンデミック発生後の経済の下落の中でもテックカンパニーは比較的影響は限定的であり、むしろステイホーム需要で業績を伸ばした会社も多かったが、今年に入ってのロシアのウクライナ侵攻、連銀による利上げ、そして中国のゼロコロナ政策の影響による景気の不透明感はシリコンバレーを直撃している。 

 

ただ、テックカンパニーの減速がそのまま米国経済の減速、不況入りの前兆となるかどうかはまだ明らかではないと専門家は語る。むしろテックカンパニーには低コストの資金が大量に流れていたものを、連銀が景気の過熱とインフレを抑え、経済を健全化させるために利上げをしたことで調整局面に入ったとの見方。 

 

20代~30代と若いアントレプレナーが過去10年のテック業界の好況から右肩上がりの成長しか知らないところに、本来はローラーコースターのように上下運動があると知る良い教育効果になると捉える専門家もいる。

 

3. 東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の最新レポートを弊社にてダイジェスト版化

 

(1)  中国

l  中国共産党の言論統制や少数民族抑圧を非難する台湾大陸委員会

台湾で中国政策を担当する大陸委員会は、天安門事件から33年となるのを受けて声明を発表し、中国共産党に対して、「真摯に歴史の真相と向き合い、政治改革を進めた上で着実な民主化と市民社会の実現を目指すように」呼び掛けている。大陸委員会は、中国共産党が1989年に政治改革を求める学生と民衆を武力によって鎮圧し、現在まで過ちを省みず、言論の自由を抑圧し、人権を侵害している、特に最近はこうした統制色を強めていることに触れ、強い遺憾の意を示した。

 

その上で、「中国共産党は一党独裁体制を固める為、言論の統制や自由の制限を強化し、近年は改善の余地がますます狭まり、台湾や国際社会の懸念が黙殺されている」と強調した。また、いわゆる「再教育施設」については、非合法に少数民族を監禁し、強制労働をさせているとした他、香港に関しては「一国二制度」への約束を破り、香港国家安全維持法(国安法)により香港人の民主主義と自由を弾圧し、人権の価値と国際的な約束を無視していると強く非難している。

 

l  台湾、TSMC 2024年からアリゾナで半導体製造開始

台湾積体電路製造=TSMCのアリゾナでのプロジェクトとなる5ナノメートルファブは、2024年に大量生産を開始すると発表している。このファブは、米国で最も先進的なチップ製造技術を備えているとされている。TSMCは海外のウェブサイトLinkedInに工場建設に関する短いビデオを投稿し、多くの注目を集めている。

 

尚、台湾国内では、調査会社であるIDCが発表した最新の「Global Semiconductor Technology and Supply Chain Intelligence」調査による、世界の半導体生産は2022年には6,610億米ドルに達し、年間成長率は13.7%になると予想されていることを受けて、積極的なビジネス展開姿勢を示す動きが出ている点、付記しておきたい。

 

l  中国本土新車販売台数3か月連続前年比減

中国本土の中国自動車工業協会が発表した本年5月の中国本土の新車販売台数は、前年同月対比12.6%減の186万2,000台となった。これにより、3カ月連続で前年を下回ったものの、マイナス幅は前月から縮小している。新型コロナウイルスの感染対策緩和を受けて、中国本土の生産や消費は徐々に回復しつつあると見ておきたい。 

 

(2)  韓国/北朝鮮

l  一人当たりの国民所得35千ドル超え

昨年の1人当たりの国民総所得(GNI)は史上初めて35,000米ドルを超えた。2017年に3万米ドルを超えた後、4年で35,000米ドルを突破したことになる。1人当たりのGNIは、国民が国内外で稼いだ総所得を人口で割ったものである。即ち、中央銀行である韓国銀行が発表した「2021年国民アカウント(暫定値)」によると、昨年の1人当たりのGNIは3万5,373米ドルを記録した。

 

l  韓国の科学技術分野の革新力 OECD8

最新の韓国の科学技術分野の革新力は、経済協力開発機構(OECD)加盟国・地域のうち8位となったと報告されている。韓国科学技術企画評価院(KISTEP)が最近公開した「国家科学技術革新力量分析」と題する報告書によると、韓国の科学技術革新力量指数は評価対象35カ国・地域のうち8位(12.246点)で、前年に比べ1ランクダウンした。国別に見た科学技術革新力を比較する科学技術革新力量指数は、韓国科学技術企画評価院が2006年から毎年算出している数値で、関連政策の方向性を提示する基礎資料として活用されているものである。

 

l  トラック運転手のストの影響

韓国では6月7日から、トラック運転手の労働組合である「全国運送産業労働組合貨物連帯」(貨物連帯)の全面ストライキが始まり、その結果、物流が混乱、例えば現代自動車の水素自動車「ネクソー」のユーザーらが水素を充填できないといった事態も見られている。韓国政府・産業通商資源部は、貨物連帯のストによって韓国南部の麗水、ウル山などへの水素供給に支障が出る可能性があるとして、水素ステーションの情報提供アプリを通じ、水素自動車ユーザーに対しスト開始前に水素を充填するよう呼び掛けていたほどである。物流の混乱は経済の混乱につながることは言うまでもない。

 

[主要経済指標]

1.対米ドル為替相場

韓国:1米ドル/1,276.88(前週対比-29.29)

台湾:1米ドル/29.59ニュー台湾ドル(前週対比-0.27)

日本:1米ドル/133.88円(前週対比-3.35)

中国本土:1米ドル/6.6997人民元(前週対比-0.0401)

 

2.株式動向

韓国(ソウル総合指数):2,595.87(前週対比-74.78)

台湾(台北加権指数):16,460.12(前週対比-92.45)

日本(日経平均指数):27,824.29(前週対比+62.72)

中国本土(上海B):3,284.834(前週対比+89.376)

 

4.寺島実郎さんメディア登場情報

 

寺島実郎さんのメディア出演情報を入手しましたので共有させて頂きます。

 

TOKYO MX1「寺島実郎の世界を知る力」

【第3日曜日】第21回放送:619日(日)午前11時~ 番組前半では、ロシアのウクライナ侵攻開始から100日が過ぎ、懸念される「ロシアの弱体化」と戦況の膠着・長期化の背後で動く「悪魔のシナリオ」について触れ、さらにウクライナ危機が日本にもたらすインパクトについて分析します。

 

後半では、熱心に番組をフォローして下さっている視聴者に、

引き続き「ロシア・ウクライナ認識を深める試み」をテーマに、欧州理解の軸となる「黒海」に焦点を当てたユーラシア地政学の変遷と近代史におけるロシアと日本の関係について、寺島独自の視点から深掘りします。

 

【第4日曜日】「対談篇 時代との対話」第15回放送:626日(日)午前11時~

<ゲスト>:真壁昭夫氏(多摩大学 特別招聘教授)、白井さゆり氏(慶應義塾大学総合政策学部 教授)今回の鼎談では、コロナ禍とウクライナ危機に直面する世界・日本の経済及び金融政策における構造変化と課題、そして日本の経済・産業政策のあるべき姿について、議論を深めます。  

 

5.「ジャパンボウル世界大会2022」開催のこと  

 

一般社団法人日本国際教育協会では昨年のエキシビションマッチに続き、今年、710日に「ジャパンボウル世界大会」を正式に開催いたします。世界の様々な国々で日本語を学ぶ若者が、オンラインでその語学力や日本文化の知識を競うコンテストです。詳細はこちらのプレスリリースをご参照ください今年は本大会の主旨にご賛同を頂いた外務省殿からのご後援も頂きました。是非多くの方々にこの大会の存在を知って頂ければと思います。

 

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