ニュースレター国内版 2022年・冬(282号)

日賑グローバル・ニュースレター国内版(第282号)

 

1. ウクライナ危機を通じたバイデン大統領の対外的リーダーシップのバランスシート

2. トランプ前大統領の様々な嫌疑とアメリカの司法の行方

3. 共和党2024年大統領候補予想ランキング トップ10

4.イスラエル情報

 

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1.ウクライナ危機を通じたバイデン大統領の対外的リーダーシップのバランスシート

 

昨日、ウクライナへの侵攻を開始したロシアに対し、バイデン政権は第二弾の経済制裁を発動するところだが、これまでのところのバイデン政権の対外的リーダーシップについての評価を取りまとめたワシントンポストの記事の一部をご紹介する。バイデンが公約として掲げていたNATOに対する米国の強いリーダーシップの発揮は、丁度半年前のアフガニスタンからの米軍の一方的撤退で大きく損なわれていた。というのもその意思決定に関しNATO加盟国に対し事前相談が無かったため。

 

さらには豪州をしてフランスから購入予定であった潜水艦を米国製原子力潜水艦に切り替えさせたり、「ウクライナ情勢に関してはNATOの少なくとも4か国には相談する」といった失言を行い多くの欧州の指導者をいら立たせてきていた。ロシアのプーチン大統領は、元々トランプ大統領がNATOを軽視したことやバイデン大統領のこうした失策及び対中一辺倒の様子に懸案のウクライナ取り込みの一手がスムーズに打てると考えていたものと思われる。ところが、今回のウクライナ危機においてはバイデン政権はNATO各国に対する事前相談や情報共有を従来にないきめ細やかさで徹底することによりNATOとしての結束とロシアに対する“飴と鞭”の姿勢を一枚岩にすることに成功している。“飴”については大規模な軍事演習や通常兵力の配置及び戦略爆撃機に関するロシアへの通知や透明性の拡大、さらにはポーランドやルーマニアに配備するイージスアショアミサイル防衛システムへのロシア側の立ち入り監査を認めるといったものロシアはこのミサイル防衛システムがロシアを標的とするトマホークミサイルの配備のカムフラージュと疑っている

 

いずれにせよ、ロシアのウクライナ侵攻の結果、“飴”は無くなった。今のところのアメリカの外交専門筋は、ウクライナ危機に関し、ごく短期では、石油とガス価格の上昇によりロシアにメリットもあるであろうが、中長期的には「ロシア側に勝ち目はない」と見ている。というのも、まずロシアの収入源である石油・ガスの供給では、欧州で最もロシアに近いドイツがノードストローム2のロシアからのガスパイプライン運用の停止を決め、その他の欧州各国とのエネルギー供給関係も失くすか、減らすこととなるため。次に、安全保障的にはNATO内の軍事的結束を高め、より多くの軍がロシア国境沿いに配備されることになるため。もちろん今後の西側総出の経済制裁でロシア経済は立ち行かなくなる。

 

現状、ウクライナ危機対応がバイデン大統領の支持率を高めている様子はまだ見られていないが、NATO並びに欧州各国のバイデン政権への支持率は高まっていると言える。冷戦時代の遺物ともいえるNATOはソ連崩壊後、アフガニスタン対応やテロ対応でのみ機能していたところに、今般のロシアのお陰で(?)本来の結束を取り戻しているようだが、やはり中長期的には中国の脅威に米欧のプライオリティが置かれるであろうと見られる中、NATO自身の役割の変容も迫られるのであろう。

 

2.トランプ前大統領の様々な嫌疑とアメリカの司法の行方

 

今週、ワシントンポストでトランプ前大統領に関する記事が幾つか出ていたのでまとめて紹介する。1つ目は昨年16日の連邦議会襲撃事件に関する判決で、同事件に関する大統領の関与を調査する議会下院委員会からの当時のホワイトハウスの記録の開示請求に関しトランプ前大統領が同記録のリリースを認めない判断を裁判所に求めた訴訟で、まず最高裁は一昨日このトランプ前大統領の訴えを退ける判断を示した。 また、この事件を焚き付けた嫌疑で前大統領を訴追する如何なる訴訟に対しても“絶対免疫”を裁判所が認めることを求めるトランプの訴えに対し、連邦判事はこれを退ける判断を先週の金曜日に示した。

 

現状は連邦議会下院民主党議員から3件の訴訟が前大統領に対してなされており、上記の絶対免疫否定の結果そのいずれもが法廷で争われることになる。2つ目はアメリカの大統領を有罪にすることの良し悪しについての議論の記事で、まずウォーターゲート事件で現職大統領(ニクソン)の不法行為が明らかとなって辞職した後に、後任のフォード大統領がニクソン大統領の罪に対する恩赦を認めたことについて、アメリカ国民は81の割合で恩赦の判断は間違いだと思っているという世論調査結果が紹介されている。 Justice is blind; no one is above the law”(正義は人を選ばず、誰もが法に従う)というアメリカの正義の大原則からの評価のようである。

 

トランプ前大統領に対しては、上述の議会襲撃の犯罪教唆の罪の可能性もあるが、既に彼の銀行取引や納税に関する違法性の調査がニューヨーク市で、ジョージア州フルトン郡では2020年の大統領選における彼の干渉の違法性が調査中であり、一方、国立公文書館は司法省に対し、トランプ前大統領が国のトップシークレットの書類を彼のフロリダの別荘に持ち出していた行為についての捜査を行うことを求めている。他にもロシア疑惑の際の司法省への圧力の嫌疑の問題や2016年の大統領選での口止め料支払い嫌疑などがあり、民事訴訟でも十数件の被告となっている。仮にトランプがいずれかの嫌疑で起訴されればアメリカの元大統領としては初の出来事となる。バイデンは大統領就任前にその可能性について尋ねられた際に、「彼を起訴することは非常に異例なことであり、恐らくは民主主義にとってあまり良くない結果をもたらすのではないか」と答えているただ、最終的には司法省の判断に委ねることを約束している。嫌疑が明らかとなり、実際に起訴した場合にはトランプ支持者による暴力の拡散と、議会共和党による政治的報復といった社会を揺るがす大きな問題に発展しかねない。 

 

一方、もし起訴せず、法の下の正義がなされず、そのままトランプが仮に次期大統領となった場合、彼が一期目に語った「わたしには合衆国憲法があり、大統領として何でもやりたいことを行う権利がある」というその「何でも」が拡大し、正義を維持するための司法省をはじめとした政府機関の空洞化を促し、特定利益を支持する分断を生みかねない。そのようなは動きこそが南北戦争の始まりの兆候であったと『いかに南北戦争は始まったか』の著者で政治学者のBarbara Walterは警鐘を鳴らしている。

 

3. 共和党2024年大統領候補予想ランキング トップ10

 

中間選挙もまだ先の時点で気が早い話だが、掲題のランキングがワシントンポストで掲載されていたので紹介する。

 

                                                            トランプ前大統領が立候補しても立候補する?

1位 ドナルド・トランプ前大統領(前回1位) 

2位 ロン・デサンティス フロリダ州知事(前回2位)                                                               Yes

3位 ニッキ・ヘイリー 前国連大使で元サウスカロライナ州知事(前回3位)                                              ?

4位 マイク・ペンス 前副大統領(前回5位)                                           

5位 ドナルド・トランプ・ジュニア(前回7位)                                       No

6位 ティム・スコット 上院議員(サウスカロライナ州)(前回4位)                       ? 

7位 テッド・クルーズ 上院議員(テキサス州)(前回6位)                               

8位 グレン・ヤンキン バージニア州知事(前回圏外)                                   

9位 クリス・スヌーヌ ニューハンプシャー州知事(前回圏外)                            

10位 マイク・ポンペオ 前国務長官(前回10位)                                      No

 

4.イスラエル情報

 

在日イスラエル大使館からの情報を共有させていただきます。

 

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