ニュースレター国内版 2021年・冬(257号)

日賑グローバル・ニュースレター国内版(第257号)
1. “地元”ワシントンDCを大切にするバイデン大統領
2. マスク着用の徹底を進めるバイデン政権と公共輸送機関
3. 東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の最新レポートを弊社にてダイジェスト版化 
4. 在日米国大使館商務部が主催する"SelectUSA Webinar Series-U.S. Automotive Month"で、テネシー州が登
壇  
-------------------------------------------------------------------
1.“地元”ワシントンDCを大切にするバイデン大統領
トランプ前大統領は週末をキャンプデイビッドで過ごす以外には、専ら自らのホテル(Trump International Hotel Washington, D.C.)で過ごすか、ポトマック川を越えてバージニア州にある自分のゴルフ場でプレイを楽しといったパターンで、ワシントンDC内に立ち寄る特定の場所は特になかった。これに対し、バイデン新大統領は、就任早々から首都の市内に色々と“出没”している様子をワシントンポストが伝えている。就任後、最初の日曜日のミサにはジョージタウンにあるワシントンで最も古いカトリック教会のHoly Trinityを訪れた。カトリック信者として二人目の大統領となったバイデンは、同一人目の大統領であったJ.J.ケネディ大統領がミサで使った同じ教会を訪れたわけである。加えて、お気に入りのデリでクリームチーズを挟んだベーグルを買ったりしているようである。 
今後、コロナで苦しむ地元のレストランやアイスクリームパーラー、ハンバーガーショップ、チャリティ組織など、様々な”現場“に出没して、密にならない程度の”営業支援(?)“をすると予想されている。若くして地元デラウェア州が上院議員となったバイデンは、1972年に最初の妻と娘を事故で亡くした後、日中は公務でワシントンにいても、夜は息子たちの面倒を見るために電車でデラウェアに戻っていた。 
そのため、上院議員といってもワシントンの社交界でディナーパーティを梯子するようなこともなかった。副大統領として2009年から8年間ワシントンにいた際にも、外の派手なイベントに参加する社交はあまりなく、基本的に副大統領公邸であるNaval Observatoryの自宅で、孫娘を含めた家族で過ごしていた。 
ただ、自宅パーティは多く、夏にはスタッフや友人・知人、メディアの家族まで招いての大掛かりな謝恩BBQパーティを何回かに分けて開催、またWalter Reed Army Medical Centerに通院している傷病兵を招いてのディナーパーティなども開催してきた。大統領になっても、すでにこのメディカルセンターを訪れ、患者を激励している。もちろんアイルランド系カトリック信者として、セントパトリックデイのパーティを副大統領公邸で開いてきている。  
以上、家族を大切にする良き家庭人であり、公人として困っている人々に政治家としてはもとより、市民としてもボランティア活動で手を差し伸べ続け、地元の商売と生活を守るために各所に出没しようとするバイデン大統領の様子が紹介されていた。今や、アメリカ全土が“地元”となる地位についたバイデン大統領だが、それでも「核」となる家庭と、地元(この場合ワシントン)、友人・知人を大切にする基本方針は変わらないであろう。 
因みに、大統領は最近にツイートでワシントンDCを州に昇格することを支持する、とのコメントを出している(ワシントンDCの住民は連邦直轄地で、連邦税を支払うのに、議会上院・下院議員を自ら選ぶ投票権を有しないことに関し、第51番目の州とすることで問題解消を図ろうという動きに関してのこと)。
2.マスク着用の徹底を進めるバイデン政権と公共輸送機関
バイデン大統領は、就任早々に州境を超える移動にはマスク着用を求める大統領令を発したが、先週金曜日に、その大統領令に加える形で連邦公共衛生命令がCDC(疾病管理予防センター)から発令されている。その内容は、単に州境を超える移動者のみならず、公共輸送利用者に対するマスク着用義務を定める内容となっている。
具体的には、米国内での移動はもとより、米国に到着するべく公共輸送機関を利用する人々はマスク着用が求められる。また、米国内の駅や空港、バスターミナルなどにおいても同様となる。傷病などマスクを着用できない場合の例外規定や、飲食、医薬品服用、顔認証などのために一時的にマスクをはずすことは認められている。この命令の執行はTSA(移動安全局)が、関連する連邦組織や州・地方政府と協力して行う。例えばマスク着用を拒む乗客を強制的に外に出すなど。州境の移動に関する大統領令と共に、大統領は連邦政府の敷地内にいる人間は皆マスクを着用する命令も出している。既に科学者はマスク着用がコロナ感染防止に最も効果的なツールであると宣言している。
この点で、前政権はマスク着用を政争の道具とし、バイデンが頻繁にマスクを着用していることを揶揄し、CDCがかなり以前に出していたマスク着用命令をホワイトハウスでブロックするという状態であった。 
この負の遺産を完全に捨て去り、ムードを反転させるために、バイデン大統領は、マスクをつけることは愛国的行為であり、「専門家によれば、今から4月までマスクを着用し続ければ5万人以上もの人の命を救うことになる」とのメッセージを発している。エアライン各社は、これまで延べ数百人もの搭乗予定者を、マスク着用拒否の理由で搭乗を拒んできた。搭乗拒否の根拠はこれまで各エアラインの搭乗ルールであったため、搭乗拒否された乗客からの悪態が数多く報告されている。バイデン政権となって、行政がルールを設け、それを根拠に搭乗を拒むようにすることがエアライン各社の期待である。 飛行の安全を司る連邦航空局(FAA)は、このマスク着用拒否者の搭乗拒否に関する行政対応に関し、トランプ政権時代には、「その問題は自らの管轄ではない」として判断を避けていた。
それが、バイデン政権となって先週金曜日、FAA自らが他の関係する省庁やエアライン各社、組合及び各空港と協力して、搭乗者のマスク着用の徹底と、従おうとしないものへの容赦ない命令の執行を行うと発表している。
但し、具体的にどのように執行するのか、罰則の適用などの詳細は明かされてはいない。大統領の交代で手の平を返すFAAの様子もある種アメリカ的でわかりやすいが、シートベルトは飛行安全の点から強制できても、マスク着用の強制は難しいところが法体系的にも個人の自由を尊重するところからもアメリカらしいと言えなくもないが・・。 
3. 東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の最新レポートを弊社にてダイジェスト版化
(1)  中国
*  少数民族固有の言語による教育への制限
中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会の法制工作委員会(法工委)は、少数民族固有の言語を使った授業の導入を民族学校に義務づける地方の法
令に関して、
「憲法と一致しない」ことを背景として関係部門に改正を求める対応を示した。
1月20日の常務委員会で法工委員幹部が明らかにしたと、中国本土紙である「法治日報」が報じているものである。
中国の統治については、中国式の放置体制の下、統制国家色が更に強まっていくものと見られる。
*  香港統治のグリップを強化する習近平国家主席
中国の習近平国家主席は、香港の林鄭月ガ行政長官の年次報告を受けて、香港国家安全維持法(国安法)に基づく統治に関して、
「香港の混乱によって、一国両制度の安定には“愛国者による香港統治”を堅持しなければならないことが再度示された。
中国としての国家主権と香港の長期安定に関わる根本原則となっている」とコメントし、その正当化を示している。
これまでの中国政府の香港統治に対する基本姿勢は変えないということを改めて示したことにもなる。
また、香港政府は1月23日、新型コロナウイルスの感染拡大が続く、中国側の九竜半島の一部区域を封鎖し、域内の住民約1万人らを対象に強制的なPCR検査を実
施した。
香港で事実上のロックダウンが行われるのはこれが初めてとなる。
(2) 韓国/北朝鮮
*  新年記者会見で文大統領支持率反転上昇
韓国の世論調査会社であるリアルメーターが1月25日に発表した文在寅大統領の支持率は前週より5.1ポイント上昇した43.0%となった。
これにより、昨年11月第4週以来、8週ぶりに40%台を回復したこととなる。
リアルメーターは、文大統領が新年記者会見を通じ、様々な課題を克服しようと頑張っていることが支持率上昇の要因に挙げられると分析している。
*  韓国の対中姿勢を評価する中国
韓国の文在寅大統領は、中国の習近平国家主席と今年初の電話会談を行い、「新型コロナウイルス感染症の状況が安定し、条件が整い次第、早期に訪韓が実現されるよ
う、両国が引き続き意思疎通を図っていくことを期待する」との文大統領の思いを伝えている。
また、これに対して、中国本土メディアは、文大統領の発言の中で、「中国共産党創立100周年を心からお祝いする」
という内容を最初に紹介し、文大統領の中国に対する姿勢を一定程度評価する姿勢を示している。
*  ウズベキスタンとの貿易協定を進める韓国
文在寅大統領は1月28日、ウズベキスタンのミルジヨエフ大統領とテレビ会談をし、両国の貿易協定に関する交渉を開始することで合意した。
韓国にとってはロシアや中央アジア諸国との協力を強化する「新北方政策」の対象国と推進する初めての貿易協定となり、これによって、新北方地域への進出の足掛か
りとなるとも期待されている。
文政権は中央アジアとの経済連携強化が、韓国の経済発展の新たな突破口の一つにもなると見ている模様である。
[主要経済指標]
1.    為替市場動向
韓国:1米ドル/1,116.09(前週対比-11.44)
台湾:1米ドル/28.01ニュー台湾ドル(前週対比-0.03)
日本:1米ドル/104.77円(前週対比-1.00)
中国本土:1米ドル/6.4361人民元(前週対比+0.0458)
2.      株式動向
韓国(ソウル総合指数):2,976.21(前週対比-164.42)
台湾(台北加権指数):15,138.31(前週対比-880.72)
日本(日経平均指数):27,663.39(前週対比-968.06)
中国本土(上海B):3,483.069(前週対比-123.681)
4.在日米国大使館商務部が主催する"SelectUSA Webinar Series-U.S. Automotive Month"で、テネシー州が登壇
米国テネシー州 経済開発庁 日本事務所代表 寺澤 英光さんから掲題のウェビナーのご案内を受けましたので皆様と共有させていただきます。寺澤さんからは以下のメッセージを頂戴しています。「今般、在日米国大使館商務部が主催する"SelectUSA Webinar Series-U.S. Automotive Month"で、テネシー州が登壇致しますので、ご案内致します。ご多忙中とは存じますが、ご参加下さいますようお願い致します。また、ご社内でもご共有頂けますと幸いに存じます」
日 時:2月18日(木)午前10時〜11時15分(日本時間)
テーマ:米国のCAsE事情〜生産現場と開発現場で起こっていること〜
形 式:ウェビナー(日本語)
お申込み:下記の在日米国大使館商務部のWebサイトから直接お申し込み下さい
Tennessee - CS Japan SelectUSA Webinar Series
テネシー州では「EV Evolution(EV革命)」が進行中で、コロナ禍にあってもEV関連の投資が相次いでおり、2022年には米国で有数のEV生産州となる見込みです。
cs-japan-selectusa-webinar-series.mailchimpsites.com
キーノート・スピーチでは、ビル・ハガティ第30代駐日アメリカ合衆国大使が連邦上院議員として初めて、日本の皆さまにご挨拶致します。
また、パネル・ディスカッションでは、日産ノースアメリカの生産現場と研究・開発現場から米国自動車市場の現状についてお話し頂きます。事前のご質問も受け付け
ていますので、奮ってご参加下さい。
ご不明な点がありましたら、弊事務所までお問い合わせ下さい。何卒、よろしくお願い申し上げます。
寺澤 拝
Terry Terasawa | Director & Representative, Japan Office
Tennessee Department of Economic and Community Development
米国テネシー州 経済開発庁 日本事務所代表 寺澤 英光
〒231−0001 横浜市中区新港2-2-1 横浜ワールドポーターズ6階
P: +81-(0)45-222-2042 (recently changed)
C: +81-(0)50-6872-5643 (business mobile)