ニュースレター国内版 2019年・冬(227号)

日賑グローバル・ニュースレター国内版(第227号)

 

1. 米企業の借入金急増の脅威はどこまで重大か?

2. アメリカの寿命100年時代の人生の在り方

3.東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の最新レポートを弊社にてダイジェスト版化

 

4.中小企業のM&Aによる事業承継

1.米企業の借入金急増の脅威はどこまで重大か?

 

リーマンショック後は米国内の金利が下がり、それに従い米国内の社債発行高は増大していった。 

その残高は10兆ドルに近づき、GDP総額の47%となっている。 

ここ数週間、連銀やIMF、そしてBlackRockAmerican Fundsといった機関投資家がこの大きく膨れ上がった米国内の社債発行残高に対する警鐘を鳴らしている様子をワシントンポストが伝えている。 

2009年の世界同時経済危機の結果、人工的に作られた低金利環境で、 AT&TGMCVS Healthといった財務的にも健全な大企業はもとより、格付けの最も低い企業による社債発行の伸びがすさまじい

その借金の用途は設備投資ではなく借入金返済や自社株買いと配当増、そして財テクであるという。

借金漬けで、本来の金利レベルならば市場から退出せざるを得ないような企業がこの低金利のおかげで生き残っているいわゆるゾンビ企業が増えている

財務的に最も健全な企業のみが数年前に得られていた金利水準で、信用格付けの低い企業が今や借り入れを行えている。 

米国経済は来年にかけても成長を続ける見通しだが、米中貿易協議の不調など、何らかのショックで暗転しかねない。 

格付け会社は、景気の減速に対しては低格付け社債を発行した企業の格付けを下げるという対応を行う。 

その結果、それらの企業は金利の支払いが困難になりかねない。

そうなると投資適格社債のみ保有することを許されているミューチュアルファンドや保険会社、年金関係者をしてそういった低格付けの社債を手放すことになる。

そしてその社債はジャンクボンドとなり投機的市場でのみ吸収されることになる。 

そうなると当該企業は景気減速の直接の影響だけでなく、高い金利と、社債の買い手不足に直面し、レイオフなどの苦痛を広げることになる。 

或いは社債の債務不履行に至ることも考えられるという。

ジャンクボンド一歩手前のS&PでいうBBBの格付けの企業の米国内社債発行残高が4兆ドルもあり、そのうち米企業によるものが2.5兆ドルもあることがその潜在驚異の大きさを物語っている

ゾンビ企業の本質的な問題は隠されたままだが、将来の景気減速期の調整局面でそれが様々な形で表出しかねなず、雇用や投資面での米国経済へのインパクトの大きさを脅威として認識すべきというのが記事の趣旨であるが、そもそもなぜ設備投資などに借金を使わないのかという実需不足の問題が本質にありそうである。 

 

2. アメリカの寿命100年時代の人生の在り方

 

昨年スタンフォード大学の長寿研究センター(Center on Longevity)が「人生の新たな地図」というプログラムを発表している。 

この長寿研究センターの所長で心理学教授のローラ・L・カーステンセン女史がワシントンポストに人生100年時代のとらえ方についての長寿研究センター(以下センター)としてのアプローチを寄稿しているのでポイントのみ紹介する。 

センターでは技術者、気候科学者、小児科医、老人専門医、行動科学者、財形専門家、生物学者、教育者、ヘルスケア提供者、人事コンサルタント、篤志家を含む専門家を集め、寿命が一世紀にも及ぶ中で、活気に満ちた人生とはどのようなものであるべきかを想像させ、そこに至る地図を描き始めている。

従来の伝統的なモデルである教育、仕事、ライフスタイル、社会的関係、収支計画、ヘルスケア、幼児期そして世代間の契約を長寿に合わせてどう変えるべきかが問われている。

専門家が早々に合意した点として、教育から始まって仕事をし、家族を持ち最終的に仕事を引退するというこれまでの固定的な人生を別の新たな固定的モデルに移し替えることは誤りであるということ。 

むしろ、レジャーや仕事、教育、家族の糸を様々に紡ぐ多くの異なるルートがあるべきで、途中でやめたり、休んだり、コースを変更したり同じステップを繰り返したり複線型を想定している。 

長寿は老齢期だけが伸びるのではなく、青年期も中年期も広がるべきである。

子供の学習は事実に拘るものから創造的に考える力を養ったり、一旦学ぶことを止め、また後で再開したり、或いは比較的早い段階でインターンシップを行ったりと、夫々の子供の発達に応じたオン・オフを検討すべきではとの問題意識もある。

一方で教育は子供に限らず、生涯学習として様々な形で学び続けるべきであろう。

職場も長寿に合わせ柔軟に変化すべきであろう。

例えば育児休業や介護休業を十分にとり、その後、職場に復帰する。 

単に60歳以降も長く働くのではなく、勤務時間や出勤日数を減らしたり自在に選択するようにして長寿でもたらされる時間の様々な目的での分散を図るべきであろう。 

保有資産以上に長生きしたくないという金銭面の懸念についても出生時点で預金口座を持たせ、早めの財産分与や早期の貯蓄の習慣を持たせるといった工夫が必要とこのプログラムでは考えている。 

もちろんカネでは買えないのが健康であり、子供のころからスポーツを奨励し、外出、ウォーキング、活動を促すことで心身の健康を長期にわたり保つことが人生100年を謳歌するカギとなる。 

センターではこれらのテーマを掘り下げて新たな人生のモデルを複数考えていき、政府、雇用者、事業主、親そして政策決定者に提示していく予定である。

長寿は人生設計を根本から見直す機会を与えてくれているが、最大のリスクは与えられた長寿を如何に前向きに積極的に活用すべきかを考えず、受け身にとらえてしまうことにあるとカーステンセン所長は強調する。

中曽根首相も101歳までお元気で朝鮮問題等への提言をされていたが、85歳の時に小泉首相(当時)から現役衆議院議員を定年のように辞めさせられても内に引きこもらず、勉強を継続され表舞台での情報発信を行ってこられた。 かなり特殊なケースだが、立派な100年モデルと言えよう。

 

3. 東アジア情勢 -愛知淑徳大学ビジネス学部真田幸光教授の最新レポートを弊社にてダイジェスト版化

 

(1)  中国

l  IMFゲオルギエバ専務理事に中国経済の回復トレンドを語った習近平主席

中国の習近平国家主席は、「中国経済の長期的な回復トレンドは変わらない見通しであり、中国経済には強い耐性と措置を講じる余地がある。」との見解を示した。

これは、国際通貨基金(IMF)のゲオルギエバ専務理事との会合で発言したものである。

 

l  台湾の大学で聴講する香港人大学生

香港の一般市民が民主化を意識、警察とデモ隊の衝突の激しさが残る中、香港では多くの学校が休校、そして混乱が続いている。

こうした中、台湾大学(台北市)など台湾の主要大学には、香港の大学に在籍する香港人学生からの聴講申し込みが相次いでいると報告されている。

 

l  ニンテンドースイッチ中国で正式販売

日本のゲーム大手である任天堂が、家庭用ゲーム機である「ニンテンドースイッチ」を中国で正式に発売すると言うニュースに接している。

そして、中国国内の流通は中国ゲーム大手のテンセントが担うこととなった点が注目される。

つまり、日中ビジネス連携の一つとも見える。

尚、ニンテンドースイッチは、12月10日に発売が開始され、価格は2,099人民元になると見られている。

 

l  中国によるアフリカへの中古車輸出

中国広東省で開催された中国国際貿易促進委員会と広東省自動車電子商務協会の共催による「中国第1回中古車輸出フォーラム」と「初出航イベント」の終了後、自動車専用船が500台の中古車をアフリカのベナンにあるコトノウ港(Port of Cotonou)に向け出港しており、中国の大ロット中古車輸出がいよいよ始まったとの見方が出てきている。

世界の自動車業界に見られる新たな動きであり、また、中国本土のアフリカビジネス展開の一つとも見られる。

 

(2)韓国/北朝鮮

l  韓国、フィリピンとのFTA交渉へ

文在寅大統領は、南部・釜山でフィリピンのドゥテルテ大統領と会談し、両国の関係発展策について意見交換した。

そして、両首脳は両国の自由貿易協定(FTA)交渉について、来年中の最終妥結を目指し努力することで一致している。

韓国経済の更なる発展に向けて新たな方向性を示そうとしているとも言える。

 

l  韓国、インドネシアとCEPA締結へ

文在寅大統領は、釜山市内のホテルでインドネシアのジョコ大統領と会談した。

文大統領は冒頭の挨拶の中で、韓国とインドネシアが包括的経済連携協定(CEPA)交渉で合意に至ったことと関連し、同協定により両国の貿易が更に活発になるとの認識を示し、両国の交流や協力の必要性を強調している。

 

l  メコン地域とのビジネス交流

韓国貿易協会は、第1回韓・メコン首脳会議の開催に合わせ、カンボジア、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナムのメコン川流域5カ国の経済団体と「韓・メコン企業協議会(MKBC)」設立に向けた業務協約(MOU)を締結したと発表している。

 

l  アセアンとの交流拡大

韓国・東南アジア諸国連合(ASEAN)特別首脳会議が、韓国の新南方政策の下、開催され、その声明が発表された。

この声明の中では、朝鮮半島の完全な非核化達成について、「国際的な努力の重要性を再確認し、北朝鮮にさらなるミサイル実験の自制を促す」

との文言も見られ、文政権の理念により進められている「南北融和」が、基本的に支持されるような内容となっている。

更に、「韓国がより多くの協力事業を支援するため、韓国とASEANの協力基金への供与額を2倍に増額したことを、ASEAN側が評価した」

とのコメントも見られている。

 

[主要経済指標]

1     対米ドル為替相場

韓国:1米ドル/1,180.46(前週対比-2.82)

台湾:1米ドル/30.51ニュー台湾ドル(前週対比+-0.00)

日本:1米ドル/109.54円(前週対比-0.99)

中国本土:1米ドル/7.0308人民元(前週対比+0.0098)

 

2.  株式動向

韓国(ソウル総合指数):2,087.96(前週対比-14.00)

台湾(台北加権指数):11,489.57(前週対比-77.23)

日本(日経平均指数):23,293.91(前週対比   +181.03)

中国本土(上海B):2,871.981(前週対比-13.307)

 

4.中小企業のM&Aによる事業承継

 

小生が所属します東京都中小企業診断士協会城西支部主催の勉強会で表題の講演を聴講しましたので幾つかのポイントをご紹介いたします。

小規模ビジネスを対象にインターネットでM&Aの相手を探す事業を行っている株式会社バトンズの方が講師を務められました。 

日本の社長の平均年齢は59.5歳で上昇中で、後継者不在率も66.5%と上昇中。

そんな中で、親族承継、関係者承継といった従来の承継に対しM&Aによる承継の割合が少しずつ高まっている。

バトンズの親会社の日本M&Aセンターで成約したM&Aによる承継で一番多いパターンは県外の隣接業種企業(48%)への承継、次いで県外の同業種企業(24%)となっている。

今や、アジアを中心に海外の中小企業の買収の例も相応に出てきている。

 

基本的には海外企業の創業者オーナーにはそのまま雇われ社長として残ってもらい経営を存続させてもらいつつ自社とのシナジーを模索していく流れとなっているという。バトンズではウェブ上で買収可能企業のリストが簡単に閲覧され、スムースに商談に入っていける建付けとなっている。 バトンズでは売り情報を登録して売り情報一覧に公開すれば買主候補からマッチングが受けられるとのことです。 詳しくは同社ウェブサイト(https://batonz.jp/sell)まで。