ドイツに学べること その3 トップと底辺を攻める
前回、欧州の富裕層向けにドイツの中小企業が超高級な腕時計やワインを提供しているお話をしました。
マーケットを良くピラミッドに例えたりしますが、頂点の富裕層の数は当然少なく、ボトムの世界で最も数が多い層は低所得層となっています。
このピラミッドの攻め方やセグメンテーションについて、以前、ドイツのフラウンホーファー研究機構の日本代表のドイツ人の方から日独企業比較のお話を聴く機会がありました。
両国の自動車産業を想定し、両国の違いを分かりやすくするためかなり単純化していて疑問に思う部分もあるかもしれませんが、少なくともライバルが我々をどう見ているのかという参考にはなりますので下記いたします。
日本企業 ドイツ企業
構造 系列型 独立中堅企業(ミッテルスタンド)
製品のセグメント化追求 製品の特化
ボリュームゾーン狙い 特定顧客狙い
フォーカス 製品のイノベーション 顧客ニーズに応えるイノベーション
プロセス・セグメントの革新 顧客が語る文脈に応じた革新
知識の輸出 知識を使ったサービスの提供
戦略 コストパフォーマンス 付加価値
新製品 製品とサービスの組み合わせ
国際的サプライチェーン マネジメントのグローバル化
新興市場 成長市場 グローバル市場
ピラミッド中間(ボリューム圏) ピラミッドの頂点と底辺(注)
(注)ここでいう、頂点はポルシェが良い例ですが、底辺の例として、世界最安値の車、インドのタタ・ナノにはドイツ製の付加価値型部品がふんだんに用いられ新興市場の技術基盤に貢献している話の紹介がありました。ボリュームゾーンで日本との価格競争に巻き込まれ薄利多売となるよりも、単品は安くとも利幅の高いものを広い新興市場の底辺で多く販売し巨大な利益を上げる狙いと受け止めました。 顧客のニーズに特化していく付加価値を提供することにフォーカスし、同質的価格競争を避けるというドイツ企業の姿勢が伺えます。