リンクトインに学ぶ社員との関係づくり

 

以前、図書館でたまたま見つけた本がALLIANCE -人と企業が信頼で結ばれる新しい雇用』です。リンクトインのリード・ホフマン社長他2名の共著で、糸井重里氏が社長を務める()ほぼ日の篠田真貴子取締役が和訳を担当し、ダイヤモンド社から出版されています。

この本は企業と従業員の関係の在り方を議論しています。

筆者のホフマン氏等は両者の関係を、日本のかつての相互信頼ベースの終身雇用・年功序列型に求めるものでもなければ、米国を中心とした実力・成果主義ベースの双方が縛られない転職・解雇自由なものにも求めていません。 上司と本人の間の事前合意に基づく「コミットメント期間」を通じて企業と従業員の目指すベクトルを確認していくフェーズドアプローチを提唱しています。 実際、シリコンバレーの多くのベンチャー企業が成功しているのはこのコミットメント期間を通じたアプローチがあるからとのことです。

入社の段階で特にやりたいことがまだはっきりしていない従業員は「ローテーション型」と称するフェーズで会社の様々な業務と自分の相性を、ローテーションを通じ探っていくことになります。相性が見いだせなければローテーション型としてのコミットメント期間(数年)後に会社を辞めることもあります。 自分が相性を感じ、そこで自分の実力をフルに発揮し、「何か変化」を起こしていきたいと感じれば「変革型」人材として、一定期間(2年乃至5年)の間にどのような変革(新商品・サービスの開発、新規市場開拓、投資・買収など)を起こしたいかを上司と相談の上決定します。もちろん上司の方もその変革が会社の成長のための変革になるかどうかを判断していきます。

どうもこの部分がシリコンバレーでの人材育成の肝のようで、いわゆる起業家タイプの人間が思う存分イノベーションを起こせる環境をお互い納得づくの有期契約においてつくっているわけです。 問題はそのコミットメント期間を通じ、約束通りの成果を残した人材を会社に繋ぎとめられるかという点です。 この点で、シリコンバレーの成功例は、コミットメント期間終了より1年前後前に上司と面接を行い、待遇条件の見直しを含め次のコミットメント期間での目標設定の話し合いにスムーズに入ることです。

もちろん自分の実力が確認されたことから最初のコミットメント期間終了後は転職或いは起業する社員もいます。 その場合は本の題名のように、退社後も一生仲間としてアライアンス関係(OB/OG関係)を築くことが相互の将来の発展に有益であると語っています。

最後に「基盤型」というカテゴリーもあります。 これはこのフェーズドアプローチを通じ社員が会社の理念、使命、価値観と同じベクトルを有し、そのベクトルを守り育てることを自己実現と感じ、実力を発揮できる人間と判断されるときに、会社の経営陣として育てていくことになる人材です。

「ローテーション型」から「変革型」に移り、最終的に「基盤型」に進化していくケースもあれば中途入社の早い時点から「基盤型」である場合もあるようです。

長々とこの著作の紹介をした理由として、この著作の「会社、企業」のところを「日本」に、「社員」を「日本が好きで、或いは興味を持って日本に来た外国人材」に読み替えたときに、「ローテーション型」は日本に数年ほど滞在し仕事をし、母国の家族に仕送りなどをしたり、駐在員として日本に来たりして、そのあとは母国に戻る人々、「変革型」は日本の文化、伝統の価値観に触れ、それをきっかけに何らかの変革を日本と母国の間に起こしていこうと積極的に関わる人々、そして「基盤型」は日本のコアバリューを完全に自分のものとして日本で自己実現を目指す人々と感じました。

単純な例かもしれませんが、大相撲の白鵬はその考え方や言動から日本人以上に「基盤型」人材と感じます。

今後の日本にとって、海外の有意な若者が日本のコアバリューに触れやすくする情報発信や教材・ツアーといったプログラムの準備が大切になると思います。

 

一方で、外国人材を通り一遍に扱うのではなく、上記のように一人でも多く「変革型」、「基盤型」人材となるよう外国人材一人一人の訪日動機、教育、就職でのフィードバック、動機づけを行っていくことが本人はもとより日本の「変革」のためにも大切であると感じます。 当社でもそのような有意な外国人が「変革」や「自己実現」を日本で起こしやすいような環境づくりにまい進したいと思います。